Green
リバーサイドを満喫 庭も、住まいも、自分たちで
手づくりを楽しむ暮らし
自然豊かなロケーション
ゆったりと流れる川の岸辺にはヨシなどの植物が茂り、堤防には桜並木が続く。そんな緑豊かな川沿いに建つ南欧風の建物が、山本さん一家の住まいだ。「家から見える景色は、まさに田園風景。生き物もたくさんいて、青鷺や白鷺はもちろんカワセミも姿を見せるんですよ」と話すのは妻の洋子さん。
8年前にこの家を購入したときは、夫妻双方の実家に近いこのエリアで、何軒かの家を見てまわったという。夫の啓介さんは「二人ともこのエリアになじみがあるということに加えて、これだけ自然に恵まれた環境でありながら、最寄り駅まで歩いていける。そんなロケーションに魅かれました」と当時を振り返る。
バラに包まれる住まい
舞台美術の仕事に携わる啓介さんと、デザイナーの洋子さん。自分の手でモノづくりをすることが得意な二人は、住まいや庭に少しずつ手を入れてきた。
「入居してすぐに、『サマースノー』という白いツルバラを新苗で植えました。子どもがいるので、トゲのない品種を選んだんです」(洋子さん)。数十センチだった苗は、8年の間にぐんぐん成長し、2階のバルコニーを越えて屋根の庇に届くまでになった。今では、庭には20種類ほどのバラが植わっており、シーズンには咲き誇るバラで家が包まれるようになる。
そして、入居1年後には啓介さんによるウッドデッキづくりがスタート。「まずは家のコーナー部分に10平米ほどのデッキを自作しました」(啓介さん)。仕事柄DIYが得意ということもあり、デッキづくりやレンガ舗装などの外構に少しずつ手を入れてきた。
傾斜地を活かした第二の庭
さらに3年ほど前からは、川に面した法面に花やハーブを植え、斜面の庭を楽しんでいる。「階段状のステップを設けてラクに行き来できるようにした上で、しっかりと土留めをして安全性にも気を配っています」と啓介さん。
その斜面に足場を組むことで、ウッドデッキも大幅に拡張。今では、まるで京都の川床のように、川面をすぐそばに感じられるくつろぎのスペースに。「休日にはデッキで食事をしたり、バーベキューをしたり。子どもたちの遊び場としても大活躍です」(洋子さん)。
今年に入ってからは、さらに傾斜地に鉄筋を配筋してブロック塀を積んだ基礎を造成し、地盤をより強固に整えた。「平らなスペースを確保したので、今後はここにピザ窯を作りたいなと思っているんです」(啓介さん)。
愛着あるモノが暮らしを彩る
家族が集まるリビングダイニングにも、あたたかみを感じさせる手づくりのモノが並ぶ。リビングの主役・大きなグレーのソファには、洋子さんが生地を取り寄せてつくったクッションが。「季節に合わせてクッションカバーを替えています。今の時期は、ウィリアム・モリスの『いちご泥棒』と『トレリス』のカバーにしています」。
重厚感あふれるダイニングテーブルは、マルニ木工のもので、啓介さんの実家から譲り受けたものだそう。手彫りの椅子は、昭和期に活躍した木工家・林二郎氏の作品で、こちらは洋子さんのお母様からいただいたものだとのこと。「母は林二郎さんに木工を習っていたんです。4脚の椅子のうち2脚は母がつくったものなんですよ」。
庭の実りを食卓に
「この家に暮らすようになって、もともと好きだったお料理が一層楽しくなりました」と話す洋子さん。「庭で採れるイチゴや梅で果実酒を漬けたり、ハーブを料理にあしらったり。子どもたちもハーブ摘みや野菜の収穫を楽しみにしていて、積極的にお手伝いしてくれるのも嬉しいです」。
取材に訪れた日は、ウッドデッキでランチを楽しんでいた山本さん一家。これからも、周囲の恵まれた自然を満喫しながら、家族の暮らしが紡がれていくのだろう。