Green
内と外を繋ぐグリーンルーム心地良さを求めて
ボタニカル・ライフ
「フェイバリット」ファイルに思いを込めて
結婚して11年というKさん夫妻。医療業務に従事するご主人の仕事の都合で、これまでに海外も含めて引っ越すこと6回。いよいよ永住を考え、ご主人の実家近くに土地を探し、家を建てた。
「植物を取り入れた暮らしに憧れていた」という奥さま。「森林の中に入ると気持ちいいじゃないですか(笑)。花というよりも葉っぱ系が好きで、緑に囲まれ、癒されながら暮らしたいとずっと思っていたんです。1、2年ごとに移動する生活ではなかなか難しかったので、家を建てるときには植物とともにある生活を始めようと考えていました」
設計は、インターネットでご主人が見つけた『NATURE DECOR』に依頼。自然素材を活かしたオリジナリティ溢れる建築事例にご夫妻ともに魅かれたという。そして、「こういう家にしたい」「こういう暮らしがしたい」といった思いを詰め込んだファイルを用意。タイトルには『フェイバリット』と付けた。「外観やLDKなどの雰囲気から素材や細かいパーツに至るまで、好みの雰囲気が載っていた雑誌の切り抜きやネットの画像、気に入った物を撮影してはファイルしていきました。また、その写真や画像からどのような印象を受けたかコメントもつけて、建築家に渡しました。私たちの好みやイメージが充分に伝わり、ほかにはない自分たちらしい家が完成したと思います」(ご主人)
「風の谷のナウシカ」の実験室を
「植物を取り入れた暮らし」をコンセプトに始まったK邸の家づくり。建築家から、「グリーンルームを設けてみては」と提案があり、最初はそこまでは考えていなかったそうだが、思い切って造ることに。軽井沢の『ガーデン&ファニチャーズ』に基本的なところを造ってもらい、その後は家族で好きなように手を加えていき、現在も進行形である。
「映画の『風の谷のナウシカ』に登場する実験室が印象に残っていて。グリーンルームはあのイメージで造っています。緑を育ててみると思い通りにはいかず、簡単ではないですね。それがまた楽しいです」と目をキラキラさせて話す奥さま。
休日は、ご家族で行きつけのボタニカルショップに足を運んだり、旅先で流木を拾ってきては飾ったりと、グリーンを取り入れる生活を楽しんでいる。「芽が出たり、垂れかかってきたりと毎日変化があって目が離せません」とはご主人。「まるで研究しているかのように集中しています(笑)」と奥さまが言われるように、最近は、ご主人の方がはまっているようだ。
ぬくもりと無骨さの融合
「ちょっとした遊び心を加え、オリジナリティをもたせたかった」というご夫妻。1階のLDKは、壁は珪藻土、床はモールテックス、壁の一面だけを古材にするなど、素材にこだわった。また、古材で作製したテーブルやテレビ台、棚などのあたたかみのある雰囲気に加え、ダイニングの上にはインダストリアルなライト、リビングテーブルの脚はハードな車輪、窓枠や手すりにはアイアンを効かせるなど、無骨さをプラスするのがK邸風だ。「きれいすぎるのは物足りないんです」と笑う奥さま。
さらには、ドアや壁にもアクセントをつけている。古材を使用したリビングの壁以外にも、2階の子ども部屋のドアは全て色を変え、部屋内にはドアと同色のアクセントウォールを採用した。「アメリカのオハイオ州に住んでいたのですが、壁の色を好きに塗り替えていいというのは普通でしたからね」(ご主人)と、海外での生活が活かされているようだ。
「好きな素材や好きなものに囲まれ、自分たちが心地よく暮らせることを追求し、それが形となりました」と話すKさんご夫妻。ご家族のイキイキとしたのびやかな笑顔から、その心地よい健康的な暮らしが伝わってきた。