Hobby
カリフォルニアの風が吹く愛する海と暮らす
サーファーズハウス
潮風を受けてなじんでいく家
七里ケ浜と代官山に実店舗を構え、ビーチスタイルを提案する「CherShore」オーナーの山崎嘉子さん。湘南の海をこよなく愛する山崎さんが、七里ケ浜の海が一望できる高台に土地を見つけたのは2年半前。「七里ケ浜の中でも特に風の抜け具合がよくて、海に近すぎず遠すぎない、この通り沿いが希望だったんです。南東の望み通りの場所が見つかりました」。前家主が住んでいた家屋を取り壊してもらい更地にして、愛犬との生活とサーフィンを楽しめる、カリフォルニアテイストの家を完成した。
「もしも自分で家を建てるならここに頼みたい、と決めていた施行会社があったんです。湘南の自然環境を知り尽くしていて、この地にふさわしい家を建ててくれるんです。海の近くの家はこうあるべき、というポリシーがあるんですね」。自然の風化が感じ取れるベイスギの外壁の家は、鎌倉、湘南あたりでよく見かけられる。ナチュラルな木の素材は、潮風を受けて時間とともにだんだん黒グレーに変色していく。その佇まいからは、海の近くにふさわしい風合いが感じられる。
目指したのはカリフォルニア
「間取りのことよりも、とにかくひと部屋ずつ広く、目一杯大きい家にしたいというのが一番でしたね。窓もなるべく大きくして光が入るように、あとは1階と2階にバスルームを設けることと、和室、ガレージを設けてもらうことをリクエストしました」。
吹き抜けのリビングには、天窓から明るい日差しが届けられる。「家の中にいても日焼けしてしまうくらい、太陽の光がよく入るんです(笑)。冬も暖房が要らないし、風邪もひかなくなりました」。
リビングの床は、無垢のウォールナットを使ったこだわりのヘリンボーン。「子供の頃の音楽室のイメージです。寄せ木の床もいいなと思ったのですが。とにかく普通にはしたくないと思いました」。
山崎さんは毎年休みをサンディエゴで過ごすことに決めている。カリフォルニアのホテルや友人の家、お気に入りのインテリアブック…、現地で目にして気に入ったものを空間やインテリアに取り入れた。「バスルームはマリブの大好きなホテルを参考にしました。黒いタイルと雨だれシャワーは、ぜひつけたかったものです。とても気持ちよくてリラックスできます」。
自然を楽しみ尽くす
一緒に暮らすパートナーとともに大のサーフィン好き。「夏は週5日、冬でも2〜3日は朝、東京に仕事に向かう前に海に入ります」という山崎さんにとって、サーフィンを楽しむための家づくりは必然だった。
「海から帰ってきてまずボードを洗えるように、外づけのシャワーは2カ所に付けました。バスルームは裏口から入って直行できるよう1階に。ただこれは早いもの勝ちで、後から帰った方は2階のバスルームになりますが」。ふたりが所有する合わせて30数本のボードを収めるロッカーも設置。ガレージには、BBQグリルなどアウトドア関連のグッズが、圧倒されるほどたくさん保管されている。
「友人がよく集まってくる家なんです。だからみんなで過ごせるよう庭やデッキは広くとってもらいました。テーブルや椅子を出して、30人くらいでパーティーを開いたり、お月見会など季節毎のイベントを楽しんだりしていますね」。
湘南の自然を満喫したい、との思いから、屋根に上がる階段も取り付けた。「屋根に登ると目の前に海が広がって、江ノ島も間近に見えます」。
七里ケ浜での暮らし
2階のベッドルームにも天窓をつけた。夜、ベッドに横になると満点の星空が広がる。「満月の夜は、月明かりが眩しくて目が覚めてしまうくらい。本当にきれいなんですよ」。
山崎さんはどんなに仕事で帰りが遅くなっても、必ず七里ケ浜に戻ってくる。「東京からタクシーを飛ばしてでも帰ってきます。134号線に出ると、あー帰ってきたなあ、とほっとするんです。自然も魅力だし、食べ物もおいしい。ご近所の人とのおつきあいも密ですが、それが性に合っているんですね。お年寄りや子供をみんなで見守るという気持ちを街全体が持っているんです」。
3匹のトイ・プードルとともに朝、海岸を散歩。休みの日はどっさり買い物をして、作り置きの食材作り。デッキを磨いたり、網戸をはずして洗ったり、家のメンテナンスにも自ら手をかける。そんな当たり前の生活がとても輝いて見える。「サンディエゴに住みたいと思っていたこともありましたが、もう一生ここで悔いはありません。家にも暮らしにも満足しています」。愛する海の近くでの、土地に根付いた暮らし。その充足感が家中に満ちていた。