Outdoor
海辺のスローライフ海から歩いて0分、
五感で海を感じる家。
窓の向こうに広がる水平線
美しい海岸線で知られる秋谷海岸。晴れると富士山も見えるその眺めは古くから絶景として知られ、シーズンには海水浴も楽しめる。夫のグレゴリーさん、妻の麻紀さん、そして小学生の娘さんのスターさん一家が暮らすのは、その秋谷の海辺というロケーションを最大限に生かした住まいだ。
スターさんの家の玄関を入ると、まず目に飛び込んでくるのは、リビングダイニングの窓一面に広がる水平線。眺めていると、太陽の日差しできらきらと光る海面をゆっくりと船が横切っていく。「海と家の間を隔てるものが何もないから、海とダイレクトにつながっている感じがします」と麻紀さん。
ウッドデッキに立てば砂浜が見えるが、リビングダイニングからは海しか見えない。水平線を眺めながら心地良い潮風と波の音に包まれていると、まるで船の上にいるような気がしてくる。
思い切って東京から引っ越し
スターさん一家が秋谷にこの家を建てたのは約4年前。けれども、この場所との縁は古く、1990年頃にさかのぼる。もともとは築80年を超える平屋を、グレゴリーさんが数名の友人とシェアして借りたのが始まりだった。「みんな都内に住んでいて、休みになると秋谷に来ていました。そのうち友人が帰国したりして、僕が借り続けることになったんです」(グレゴリーさん)。
麻紀さんと結婚してからは、一家の別荘として、週末になると当時暮らしていた広尾から通っていた。「長年通っているうちに、子どもも含めて家族全員が秋谷を大好きになっていました」(麻紀さん)。
そんなある日、大家さんから高齢を理由に平屋を手放したいと声をかけられた。「頑張れば手が届く値段だったことと、ずっと通ってきた愛着のある土地と建物だったので、思い切って決断したんです」(グレゴリーさん)。そして、これを機に、住まいの拠点を東京から秋谷に移すことを決意した。
かつての平屋の雰囲気を残して新築
秋谷に住まいを移すにあたり、当初はもともとの平屋に2階部分を増築することを考えたという。けれども、相談した地元の工務店から基礎が古く耐震面でも無理だとアドバイスされ、雰囲気を残して新築することに。解体は大工の手で丁寧に行い、建具などをできる限り新築する家にいかせるようにした。
リビングダイニングはできるだけオープンな空間とし、上下階も吹き抜けを設けることで、空間につながりをもたせている。さらにできるだけ自然な心地よさを感じられることを大切にした。「エアコンは使わなくても、夏は海風、冬は薪ストーブで快適に過ごせます」。
一方で、和室はかつての平屋の雰囲気をできるだけ再現。間取りはそのまま踏襲し、建具も再利用して、懐かしさを感じられるスペースとした。
さらに、新築にあたっては、麻紀さんがかねてから学び、資格をとっていたアロマセラビーのサロンを併設することに。「ずっと東京でフルタイムで働いていましたが、家族との時間を大切にしたいと思ってキャリアチェンジを考えていたんです」(麻紀さん)。
海辺のライフスタイルを楽しむ
この家で暮らし始めてから、一家の暮らしは大きく変わった。当初は片道2時間ほどかけて通勤していたグレゴリーさんは、現在はフリーランスとして、自宅で仕事をしている。「海に入れる季節は、午前中に海で泳いでから原稿を書いています。今となっては、都心での忙しい暮らしは考えられませんね」。
麻紀さんは「自然のちょっとした変化に気づけるようになりました」と話す。「すぐそばの漁港に百年以上つづくシラス漁師さんのお店があったり、農家の直売所で野菜を買ったり。新鮮な野菜や魚を使ってゆっくりお料理をするのが楽しみになりました」。
また、海ばかりでなく、すぐそばに山もあるのもいいところだとか。「去年からは近くの休耕地を友達と借りて、田植えから手作業でお米づくりも始めました」(グレゴリーさん)。
「ここに暮らしてから、家の居心地がいいので、旅行に行かなくなりました」と笑う夫妻。その言葉からは、海辺の暮らしを丸ごと楽しむ喜びが伝わってくる。
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