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spice-1- 個性豊かな塩と出会う
戸越銀座「solco」
豊かな食を楽しむために欠かせないスパイス。馴染み深いものから、聞いたこともない珍しいものまでさまざまな種類があり、その特性を知ることで、日々の食卓がさらに楽しくなる。今月はそんなスパイスの奥深き世界に触れられる2軒を紹介。前編は昨年12月、戸越銀座商店街に新しく誕生した塩の専門店「solco」。国内外の個性豊かな約40種類の塩と、塩を使ったデリやスイーツが充実。
塩を知れば、食がもっと楽しくなる
塩のエキスパートと言われる、ソルトコーディネーターの田中園子さんがオーナーを務める塩の専門店「solco」。塩に関する知識や愉しみ方を深め、多くの人に塩の魅力を知ってもらいたいとオープンした。現在、日本だけでも2500種類以上の塩が存在すると言われているが、solcoでは味、色、香り、結晶の形など特徴的なものを厳選し、国内外の約40種類を販売している。それぞれの個性が際立つよう統一のボトルに手作業で詰め替えられ、ソルトバーにずらりと陳列されている。
「“塩”と一口にいっても本当に様々な種類があります。料理やその日の気分によって使い分ける愉しみがあると、さらに食卓が楽しくなると思います」と田中さん。
キッチンやテーブルに載せても邪魔にならず、スタイリッシュな雰囲気を演出するボトルにもこだわった。また、塩が作られたバックストーリーも大事にしており、商品ひとつひとつにつけられたコメントカードも読んでいるだけで楽しい。
表情豊かな塩たちが集まる
solcoでは「日本の海の塩」「海外の海の塩」「海外の岩塩」「海外の湖塩」「ブレンドの塩」など大まかにカテゴリー別に紹介している。一番人気は白トリュフソルト。イタリア・ピエモンテ州で収穫された希少な白トリュフと、フランス・ゲランド産の天日塩をブレンドした香りの高い塩だ。
もちろん日本の塩も人気。一目見ただけでは塩とはわからない濃い茶色の塩は、島根県で作られている珍しい藻塩だ。ほかにも、戸越銀座ブランドを冠した、とごしぎんざのソルトは、スパイスのプロ・シャンカール野口氏と共同開発したカレー味。戸越銀座商店街はコロッケの町としても有名で、肉屋や総菜店などで提供されるコロッケと相性がいい塩だ。このように、ミネラルがたっぷり含まれた塩を日々上手に摂り入れることで、食の愉しみがさらに広がり、食への意識もさらに深まるという。田中さん曰く「紹介したい塩がまだまだたくさんある」ため、一部の商品は期間限定で販売したり、入れ替えを行ったりしていく。
食材との組合わせを楽しむ
塩は料理に生かしてこそ、その魅力がひらく。「塩の特徴を知り、生かして食材と組み合わせることで、味付けを複雑にしなくても、素材の良さだけで美味しい料理を楽しめるようになりました」と田中さんはいう。
このように組合わせの楽しさを知ってもらうため店内では塩の販売だけではなく、塩と相性のいいデリも提供している。塩結び(えんむすび)と名付けられた滋賀県産無農薬米のおにぎりは、ソルトバーで好きな塩をふりかけて楽しむことができる。平日にはさまざまな塩を使ったおかずがたっぷり入ったソルコべんとうや、塩で熟成したサイコロ豚のグリルは土日限定で登場する。
「小さな頃からスイーツ作りが得意だった」という田中さんお手製の塩スイーツも並ぶ。甘いものが苦手な人にもおすすめで、ワインなどのお酒のおともとしても楽しめるという。