ストックホルムで毎年、1月と8月に開催される「フォーメックス」は北欧最大の生活雑貨の見本市。パリの「メゾン・エ・オブジェ」やフランクフルトの「アンビエンテ」に比べると規模は小さいが、ここ数年、北欧以外からの来訪者も増え、スカンジナビア・デザインへの意識が高まっているようだ。老舗からの新たな新製品も目を引いたが、この秋冬の傾向はリバイバル。スウェーデン絵本作家のエルザ・ベスコウのモチーフの復刻。そして、2014年はムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソン生誕100周年を記念しての限定版商品の数々が、登場する。洗練されたデザインも伝統も大切にする豊かさとストーリーのある北欧プロダクト。どうぞ、ご覧ください。
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機能的で美しい、ギフトアイテム・デザイン
ヴェルナー・パントンを筆頭に気鋭の北欧出身デザイナーとのコラボレーションを続け、1970代からスカンジナビアを代表するデンマークのデザイン・ブロダクトハウス。この秋冬コレクションからロゴを一新し、再スタートでより洗練された北欧デザインを生み出している。「メニュー」はブランド内で、デザイナーによりいくつかのラインに分けたプロダクト展開をしている。
例えば「New Norm ニュー・ノーム」は2010年にコペンハーゲンのレストランのために「メニュー」とデザイン・デュオのノーム・アーキテクツが特別にプロデュースしたテーブルウエア・ラインの商品化。デンマーク人画家のヴィルヘルム・ハンマースホイから色のインスピレーションを受けている。今秋からのシリーズではカラー・チョイスも更に充実。
「New Norm」 アーバン・ロマンテックなセラミックのシリーズ。蓋のついたカップはお茶を入れたり、調味料入れたりと使いこなせる。
パスタ、サラダと何にでも合うサービング・ボール。丸みを帯びたラインは洗練されている反面、どこか温かみも感じる。 「Flip Around table フリップ・アラウンド・テーブル」。世界で最初のテーブル・トレイ・スツール。機能的なだけでなく、どんなインテリアにも合う。 「Gray Stitches グレイ・スティッチズ」は陶芸家のグリー・フェーガーによる伝統的なステッチとモダンとの融合。 「Gridy Me Mirror グリディ・ミー・ミラー」シンプルなデザインでバスルームにもリビングにも。オスロのデザインチーム、グリディのニュー・デザイン。
ペッパー&ソルト・グラインダー。北欧らしい色合い。 フランスの産業用チェアやデンマークのキャビネット・メイキングのデザインを意識しつつ、構造は中国や韓国の建築から取り入れたという実は多国籍なアイデアから生まれた優れもの。こちらもノーム・アーキテクツのデザイン。 ステッチで綴ったリーフがエレガント。品質を重視した豊かな生活のための洗練された女性らしいプロダクトだ。 片面はポラロイド・フィルムのような少し霞んだノスタルジックな風合いを演出している。ウッドのベースから取り外し、縦横どちらにもたて掛けられる。微妙な傾きかげんも魅力。
Kähler ケーラー
デンマークの名窯新たなデザインの領域へ
「ケーラー」の代表的なライン「Ommaggio オマッジオ」。
ストライプ・セラミックのテーブルウエアで知られる「ケーラー」は実は1839年から続く、デンマークを代表するセラミック・メーカー。現在は新しいデザイナーとの共に時代にあったラインをポルトガルで生産している。
今回、特に目についたのは森を彷彿とさせるキャンドル・スタンド「Avento アヴェント」で「ケーラー」でも人気のライン。北欧の木をモダン・デザインに取り入れたクリスマス・キャンドル用スタンドはスタイリッシュ。逆に鮮やかな配色の「Mano マノ」シリーズは日常使いが楽しそう。そして、植物用のセラミクポット「Botanica ボタニカ」もグリーンに合う、さわやかな色とフォルムが時代を反映していた。
「Avento アヴェント」神聖な雰囲気が漂うホワイトのライン。 「Botanica ボタニカ」キッチンのハーブのポットとして。落ち着きのある6色は優しいシェイプで自然な色の組み合わせも考えられている。 「Mano マノ」デザイナーのジャネッテ・リスト・アムストルプは感覚的な生産プロセスからユニークで実はとても機能的なラインを作り上げた。色選びが楽しい。
陶器の温かみも感じる緑のカラーバリエーションも今シーズンから。 観葉植物をインテリアに取り入れる人は年々増えているという。癒されるお部屋のアクセント。 今シーズンからはパープル、ライトグリーン、レッドと鮮やかな色のバリエーションも加わった。赤いトーンの食器は朝から元気になる。
手にしっくり馴染むカップ。
Marimekko マリメッコ
テキスタイルのみならず、ライフスタイル・アイテムへも大進出
すっかりお馴染みのフィンランドのテキスタイルメーカー。社名はフィンランド語で「小さなマリーのためのドレス」という意味だそうだ。大きなプリント柄のファブリックを使ったドレスは特に60年代、ケネディ大統領夫人、ジャクリーンが着ていたことでアメリカでの知名度が上がった。カーテンやクッションカバーなどインテリアや生活雑貨などもバリエーションが豊富。年末のパーティーシーズン、クリスマスを前に、今回の見本市では、紙ナプキンがずらりと展示されていた。
お問い合わせ:
www.marimekko.jp
ホットと暖かくなるような2013秋冬の最新版、紙ナプキンのパターン「PUKETT」 Marimekko® 「RATI RITI RALLA」ヴィヴィッドな色合い Marimekko®
「マリメッコ」らしい大きな花のライン「UNIKKO」 Marimekko® 「KUUSIKOSSA」 北欧からのクリスマス Marimekko®
Stelton Rig Tig ステルトン リグ・ティグ
洗練度の高いデザインメーカーのクッキング・ガジェット
シリンダー型のクラシック・ジャグで知られるデンマークのメーカー「ステルトン」。「リグ・ティグ」はキッチン周りの機能性を追求した使いやすいグッドデザインのシリーズ。このところ、北欧の食が世界的に注目されるようになり、有名店が続々とインターナショナル・メディアでも紹介されている。
お料理好きに嬉しいプロダクトが目立った。「Organise オーガナイズ」は包丁やヘラなどを一緒に立てられるスタンド。「Zig Zag Trivets ジグザグ鍋敷き」はお鍋の大きさによって形を変えられる。また「Tidy タイディ」はお料理中におたまや鍋蓋をちょいと置けるプラットフォームで便利。小技が効いたこうしたアイテムが登場しているということは北欧のホームクッキングのレベルも上がってきているということだろうか?
「Organise オーガナイズ」8本の包丁とヘラやおたま1つにまとめられる便利な入れ物。合成樹脂とストーンウエア素材だが、安定もよく、メンテナンスしやすい。
「Zig Zag Trivets ジグザグ鍋敷き」丸い鍋も四角いオーブントレイにも自由自在に形を変えられられる。色はグレー、ライトグリーン、ライトブルーの3色。
シリコンとナイロンを使った鍋を置いてもガッシリしていて丈夫、手洗いですぐ綺麗に洗え、デッシュウオッシャーでの洗浄も可能。
「Tidy タイディ」料理をしている間に鍋の蓋やヘラ、おたまなどを立てたり、のせたりできる万能プラットフォーム。お料理中、そこら中が汚れること無く、洗浄も簡単。
ノーディック・レトロ
古き良き北欧シンボルやデザインのリバイバル・ブーム。
ノーディック・レトロの風潮が強かった今回の見本市。個人や小規模で質の良い製品をブランド展開している人達が目立った。古き良き時代のモチーフやパターンを用いたり、リサイクリングしたりとユニーク。
「gladeholm グラーデホルム」はスウェーデンの古い伝統がある刺繍のパターンを取り入れて、ナプキンやティータオルなどを展開している。また、姉妹で展開するレーベル「Brusewitz ブルーセヴィッツ」も刺繍のパターンを撮影したものをトレイなどのモチーフにしている。「ReThink Design リ・シンク・デザイン」はテキスタイルを再利用した完全な1点もの。おばあちゃん子のリンダの絶妙な感覚で、クッションやベットカバーなど味のあるプロダクトがいっぱいだ。スウェーデンのお土産のダラーナ地方の木製のお馬さんなどをプレゼントアイテムに取り入れた「My Design マイ・デザイン」。大量生産では実現しないような、小さなブランドが独自の展開をしているのも北欧の動きのようである。
草花と蝶々の刺繍のクッションはリサイクルされた生地で作られている。「ReThink Design リ・シンク・デザイン」のプロダクト。
「gladeholm グラーデホルム」のペーパーナプキン。ホームパーティなど、お客様を招いた時に使いたい。 「Brusewitz ブルーセヴィッツ」はストーリーのあるものづくりをモットーに考えたティラとエヴァ姉妹のブランド。古い刺繍を撮影してトレイのモチーフにしている。
パッチワークのクッションなどは一点もの。スウェーデンで何世代にも渡る女性が手作りで作り上げて来た美しいプロダクトがインスピレーションという。
刺繍やパッチワークのイメージを取り入れたカッティングボードはユニーク 1点ものの「ReThink Design リ・シンク・デザイン」プロダクトには必ずロゴが入る。 コットンのテーブルクロスでパン専用袋の出来上り。 「My Design マイ・デザイン」自然や森を象徴するダナ馬の玩具のモチーフ。ティータオルはプレゼントに最適。
ムーミン・フォーエバー
「トーベ100」は世界的規模のイベントに。
「フォーメックス」の「トーベ100」の特設会場。「トーベ100」を記念し、展示にも工夫がいろいろ。© Moomin Characters™
トーベ・ヤンソンのドローイングやムーミンのイメージが壁にいっぱい展示された。© Moomin Characters™
2014年はムーミンの原作者トーベ・ヤンソン(2014-2001)の生誕100周年。見本市初日にはきぐるみのムーミンが登場、会場が沸きに沸いた。2014年はムーミン・イベントが世界中で目白押し。地元フィンランドではムーミン・キャラクターのドキュメンタリーを収録。ヘルシンキの現代美術館「KIASMA」では多彩だったトーベの大回顧展が予定されている。国内でも2014年秋から5箇所で企画展が巡回する。
ムーミン谷のお話はトーベが自分の身の回りから影響を受けて描かれているといわれている。人間の内面を描写し、時代を超え、大人でも子供でも楽しめて時には怖く、時には哲学的で説得力のあるものがたり。「Artek アルテック」「Arabia アラビア」「Finlayson フィンレイソン」「Le Klint レ・クリント」など北欧中のブランドがアニバーサリー・バージョンを発表。2014年は益々、ムーミンの良さを再発見できる年になりそう。
「トーベ100」のオフィシャル・チャリティ・パートナーがユニセフ。セールスの一部が世界の貧困国の子供の教育、独立のため、寄付される予定だ。
トーベとムーミン谷の仲間たち© Moomin Characters™
42歳のトーベ。画家としても才能を発揮していた。© Moomin Characters™
北欧家具と言えば歴史も技術もあるフィンランドのArtek社。1935年に建築家アルヴァ・アアルトがデザインした椅子にムーミントロールが描かれている。4本足のスツールE60。各32,000円(税抜) © Moomin Characters™
3本足のスツール60ミー。ムーミントロール、スナフキン版もあり。各28,000円(税抜)© Moomin Characters™ 65チェア、N65子供用チェア。各42,000円(税抜) © Moomin Characters™
子供用スツール NE60。スナフキンは最高傑作と言われている「ムーミン谷の冬」のおはなしから引用されている。各32,000円(税抜)© Moomin Characters™ 90Bテーブル、82,000円(税抜)© Moomin Characters™ 「Artek」の椅子とテーブルはインテリアショップ Sempreなどで発売中。
フィンランドの陶器ブランド「Arabia」。1873年創設の名窯は飽きのこないロングライフ・デザインと品質が定評。ムーミン・アドベンチャーMove プレート 4,000円(税抜)© Moomin Characters™
ボウル 4,500円(税抜)このシリーズは「ムーミン谷の彗星」から。ムーミン谷に彗星が落ちてくると聞いて、みんな自分の大切な荷物を抱えて逃げて行く場面が描かれている。© Moomin Characters™ サウナの国フィンランドで生まれたタオルとテキスタイルの会社「Finlayson」からセレブレーション・ムーミン・シリーズ。ファブリックバスケット 6,000円(税抜)© Moomin Characters™ ショッピングバック 3,500円(税抜)ムーミントロールとフローレン、スナフキン、スニフは「ムーミン谷の彗星」からの引用。ミイは「ムーミン谷の冬」、ランタンは「ムーミン谷の十一月」といろいろなシーンが混ざる、賑やかな柄。© Moomin Characters™ デンマークのクリント家は20世紀はじめからランプ・シェードのザインを手がけてきた老舗。「Le Klint」のダークフォレストは1946年に出版された「ムーミン谷の彗星」の一場面から。 © Moomin Characters™ トーベ・ヤンソンがファブリック用に自らデザインした柄。1952年に発行された絵本「The Book About Moomin, Mymble and Little My」(日本語版:それからどうなるの)からのパターン。© Moomin Characters™
マグ 3,500円(税抜)。「Arabia」の商品のお問い合わせはスキャンディックまで。
http://www.scandex.co.jp/ © Moomin Characters™ メイクアップケース 5,700円(税抜)100%フィンランドで生産され、北欧で早い時期からエコロジカルな哲学を持ったブランドだけに安心。© Moomin Characters™ ミトン 2,100円(税抜)「Finlayson」の商品のお問い合わせ先はピーオーエスまでwww.posjapan.co.jp © Moomin Characters™ ブルーロックスも「ムーミン谷の彗星」より。インナーシェードも替えられる。 © Moomin Characters™ ボーイ(ブルー)とガール(ピンク)あり。価格:ベーシックセット(アクリル製本体+上記柄インナーシェード1枚)Sサイズ 39,900円 Mサイズ 47,250円© Moomin Characters™「Le Klint」の商品のお問い合わせはスキャンディックまで。http://www.scandex.co.jp/ 9月下旬発売予定。
Design House Stockholm デザイン・ハウス・ストックホルム
デザイン・ハウスが国民的絵本作家のモチーフを復刻
この夏に発売になったシリーズから、ストロベリー。
フクシアは「リーサの花まつり」登場するキャラクターだ。
北欧デザインの出版元である「デザイン・ハウス・ストックホルム」。こだわりのプロダクトが多く、商品の洗練度、品筆の良さが定評だ。スウェーデン人若手デザイナー、カタリーナ・キッペルがエルザ・ベスコウの絵本のキャラクターを今年6月にプロダクト・モチーフに復刻した。「リーサの花まつり」「ブラウンおばさんの誕生日」「キュリアス・フィッシュ」など北欧人に馴染みの深いお話に登場するキャラクターのマグ、ティータオル、トレイなどがスウェーデンで発売になり、今回の見本市でも大々的に紹介された。かなりの反響をだったが、さて、日本上陸なるか?
北欧の出身、スウェーデン人だったらだれでもが知っているという国民的人気の絵本作家エルザ・ベスコウ(1874-1953)はトーベ・ヤンソンも一目置いていた作家。5人兄弟で15才の頃、父親を亡くした彼女は親族と共に暮らし、後の彼女の作品には実の叔父さんや叔母さんがキャラクターとしても登場している。自らも6人の息子を育てながら自然の中で、日々の暮しからアイデアを生んだ。ユーモアとファンタジーいっぱいの彼女の作品は長く愛され、50カ国にわたり翻訳されている。
「ミス・キャベッジ」のトレイ、この秋からスウェーデンで発売されている。 コウモリのマグ。この秋から販売に。
長方形のラディッシュのトレイ。こちらも、この秋から発売に。 柳のマグ、やさしい色使い。2013冬のコレクション。