Interior
ニュー・クラフトショップ -2-北欧の奥深さに触れる
表参道「t-b-d」
北欧のものづくりの背景や豊かなライフスタイルを様々なプロジェクトで紹介するbiotopeが、新店舗「t-b-d(ティービーディー)」をオープンさせた。インテリアとして楽しめる北欧のアートセラミック、工芸品、手仕事の温かみが伝わるプロダクトのほか、日本の作家などを紹介している。
北欧文化のその奥へ
かつて世田谷区にあった、北欧のビンテージを中心に扱うショップの人気店「biotope」や、雑貨や服飾雑貨、自然派ワインやグロッサリーなど、ヨーロッパで作られている「最小単位のプロダクト」を中心に扱う「doinel」を手がけるbiotope。代表の築地雅人さんは、豊富な知識と確かな審美眼で2004年に最初の店をオープンさせて以降、北欧プロダクト、ひいては北欧文化を幅広く日本へ紹介してきた。そんな築地さんが10月はじめ、新店舗「t-b-d」をオープンさせた。店名は、to be determinedの略語で、「後日決定」の意。最初からテーマを決めるのではなく、そのときどきで心に響いたもの、琴線に触れたものを一期一会の出会いの中から選んで紹介していくという。
築地さんはこれまで、買い付けのため北欧へ何度も足を運び、その度ごとに貴重なヴィンテージアイテム、作家、作り手、文化など多くのものに触れ、現地の人々とコミュニケーションを重ねてきた。そこから北欧のライフスタイルや、ものづくり、デザインの素晴らしさを日本に伝え続けている。「biotope」が始まったばかりの2004年と比べると、北欧のインテリアやライフスタイルはより一般に広く知られ、私たちがそのプロダクトに触れる機会も多くなった。こちらの店では、それらが広く知れ渡るようになった今こそ、もっと深くその魅力を伝えることを目的に、民族性、その土地の記憶や文化がより強く影響しているもの、作家の個性が色濃く出ているものを中心に集めて紹介する。北欧プロダクトの魅力を問うと「マイルドな心地よさ」と築地さんが話してくれたように、普段の日本人の暮らしにすんなりと溶け込むような中庸的魅力がある。ここではそんな北欧のものだけではなく、鹿児島睦さんをはじめとする日本の作家も紹介していく。
アラビア、ホガナスのヴィンテージを紹介
t-b-dは毎月テーマをもってイベントを開催する。オープン前にフィンランド、スウェーデンへ渡った築地さんは、コンセプトはあらかじめ決めず、集めていく中でそのテーマを集約させたという。「COLLECTiON〜ARABIA&Hoganas ART CERAMICS〜」展と名付けられた今展では、アラビアとホガナスのアートセラミックを中心に、特に作家の手のあとが残るもの、時代性が強く反映されたアイテムを揃えた。アラビアとホガナスのアートセラミックで、ライヤ・トゥーミ、フランチェスカ・マスティッティ=リンド、アンニッキ・ホヴィサーリ、イングヴェ・ブリクスト、ヘニング・ニルソンといった1950年代〜1970年代を中心に活躍した作家の作品を紹介。実際に使って楽しむことはもちろん、インテリアの一部として眺めて楽しむ味わい深さもある。これまでのシンプルで機能的といった北欧プロダクトとはまた違った表情を見せてくれる、魅力的なアイテムたちだ。