Interior
グリーンのある生活-2-新しいスタイルの
盆栽を提案する「品品」
現代の生活と植物を結びつけ、豊かな生活を提案する「品品」。景色盆栽という新しいスタイルを提唱しながら、現代のさまざまな生活空間に見合った緑を創作する。
風景を鉢の中で見立てる「景色盆栽」
自由が丘駅から少し離れた、奥沢の住宅街にある「品品」。ここは、オーナーの小林健二さんが確立した新しい盆栽のスタイル、景色盆栽をはじめ、現代の生活と植物を結びつけ、心の豊かさにつながる暮らしを提案するショップだ。景色盆栽とは、鉢の中に自然の景色を切り取り、室内で四季のうつろいを愛でる新しいスタイルの盆栽のこと。山野にある植物を室内で育てることで、自然の美しさを身近に感じることができる。
鉢は手の平に乗るほど小さなものからあり、ミニチュアを置くような感覚で気軽にインテリアの中に取り入れることができる。小さな1本の木でも鉢の中でしっかりと根を張り、葉を広げた姿からは、凝縮された大自然の美しさを感じることができる。都心で暮らす人にとって、山や森は遠い存在になりがちだが、室内で山の木を育てることで、自然に触れる楽しみが広がっている。
景色盆栽の魅力
もともと中国の墨絵に見られるような山水を盆の中で楽しむために生まれたとされている盆栽は、平安時代の末期から日本の風土や精神に合わせて磨かれていった文化。盆栽家が手をかけ、技を競いあいながら独自の発展を遂げてきた背景もあり、一般の人にとっては「高い」、「難しい」、「手間がかかる」というイメージがあったが、「品品」が提唱する景色盆栽は、あらかじめ水はけのよい土やコケを使うことで、初めての人でも手入れがしやすく、小さなスペースでも自然の景色を楽しむことができる。また、山の木を取り入れることで、芽吹きの春、新緑の夏、紅葉の秋、冬枯れといった季節の移ろいを感じることができる。
「自分の手で植物を育てることで、日頃から植物を深く観察する力、季節を愛でる感性を養うことができます」と小林さん。和や洋といったインテリアのスタイルにとらわれず、自由に取り入れられるのも景色盆栽の魅力という。
景色盆栽を自分で作ってみる
「品品」では、初めての人でも自分で景色盆栽を作ることができる教室も開講している。基本的な土の作り方や手入れの仕方を学びながら、実際にコケを使って一つの景色を作り上げるまでを学べる初級コースでは、作った作品を持ち帰り、自宅で育てながら四季の景色を楽しむことができる。また、自分で好きな苗や鉢を選び、植込みと景色作りが楽しめる応用コースもある。こちらは、鉢の上に大きな苔山を作る「品品」オリジナルの新しい技法を学ぶことができたり、庭用の大きな鉢植えも作ることができる。「植物や土いじりに馴染みがない人も気軽にできる教室です。実際に手を動かし植物に触れることで、自然に興味を持ってもらいたい」と小林さん。盆栽の楽しみ方は人それぞれ。自身のライフスタイルに合わせて、グリーンのある生活を楽しみたい。