Interior
マンションの中の小さな店-1-南青山「はいいろオオカミ
+花屋西別府商店」
小さなマンションの一室で船出した店がある。店主の思いが濃く反映された店内には「ここにしかない出会い」があり、独特な空気が流れている。そんな無二の世界観が魅力の、古道具と花屋の店「はいいろオオカミ+花屋西別府商店」を紹介。
一度聞くと忘れられない店名の「はいいろオオカミ+花屋 西別府商店」はアンティークと花を扱うショップだ。南青山の小さなマンションの一室にある。ここを営むのは、建築設計士の顔も持つ佐藤克耶さんと花屋の西別府久幸さん。元々は2011年7月に佐藤さんが一人で「はいいろオオカミ」をスタートさせたのが始まり。アンティークはロシアで買い付けたものが多く、「はいいろオオカミ」はロシアの民話から名付けられているという。その頃、近くで花屋を営んでいた西別府さんと知り合い、お互いの店を行き来するうちに自然と距離が縮まった。「互いの感性が似ていて、選ぶものの相性がいい」と西別府さん。骨董市や展示など2人でユニット的な活動を重ねるうち、「それなら一緒に店をやろう」と2014年2月に現在の店の形になった。素朴で温かみのあるアンティークと野性味のある植物たち。それぞれ見立てたものを並べ、組み合わせる。「完璧が好きじゃない」と話す2人の感性が心地よく調和した空間だ。
店に並ぶロシアのアンティークは19世紀から20世紀初頭の頃のものがほとんど。その特徴を、ロンドンやパリなどヨーロッパのアンティークに比べて「作りが大らかなものが多い」と佐藤さん。形がゆがんでいたり、絵付けがちょっと下手だったり。そういう点こそが魅力であり、西別府さんが選ぶ植物との相性がいい理由だ。ここの植物は一般的に花屋で売られているような花ではなく、「ひねくれものの植物が多い」と西別府さん。幹が太すぎたり、細すぎたり、そういうユニークな造形のものは市場にもあまり出回らない。だから、西別府さんは千葉県や長野県など、時間があれば生産者の元へ出向き、直接見て選ぶこともある。一般的な花屋ではどうしても形が整ったものばかりがもてはやされる。でも、植物は人の手の及ばない自然の形にこそ、真の魅力が宿っているのではないか。ここではそういうものの見方についても発見がある。
西別府さんは「いつも意識しているのは、お客さんが店に入った瞬間にハッとする空間にすること」と話す。ここでしか体験できない出会い、驚き、発見を提供したいという。ときには床一面にイチョウの葉を敷き詰めることもあるとか。また、「店を休まないことも大切にしています」という。お互いが一人で店をしていたとき、どちらかの店へ行くと休みだったということもあり、とても残念な思いをしたことから極力休まないのがポリシー。「定休日はありません。どちらかがお店に立つ、もしくはどちらも都合がつかないときは手伝いに来てくれる人がいます。“いつ行っても開いている”。そういう店でありたいです」と話す。
はいいろオオカミ+花屋西別府商店
東京都港区南青山3-15-2 マンション南青山102
03-3478-5073
11:00〜20:00
年末年始休
東京都港区南青山3-15-2 マンション南青山102
03-3478-5073
11:00〜20:00
年末年始休