テキスタイル-1-デンマークのテキスタイル
メーカー「クヴァドラ」

1968年、デンマークで創業したテキスタイルメーカー「クヴァドラ」は、高いクオリティと豊富なカラーバリエーション、北欧の伝統に根ざしたデザイン性で、フリッツ・ハンセンやカッシーナなど世界の有名ブランドが家具の張り地として採用していることでも知られている。「長く使い続けられるもの」をコンセプトに、ウールの材料となる羊を育てる農家や、染色、織りの工場などと直接契約を結ぶことで、「クヴァドラ」の高いクオリティを保ち続けている。創業当時から作り続けられている「ハリンダル」は自然界にある豊かな色彩を平織りにしたテキスタイルで、50年以上たった今でもさまざまな家具メーカーから支持されているアイコニックなアイテムだ。また、日本とも関わりが深く、伊東豊雄や隈研吾といった建築家が手がけるプロジェクトの室内装飾も数多く担当している。日本のショールームは2014年、南青山にて開業。全面ガラス張りの開放的な空間にパターン約150種類、カラーバリエーション約3500色にも及ぶ全コレクションが並んでいる。

「クヴァドラ」が展開するテキスタイルはそのほとんどが外部のデザイナーとの共同開発によって生まれたものだ。トーマス・デマンドなどのアーティストからロナン＆エルワン ブルレックやパトリシア・ウルキオラといったデザイナーなど多彩な顔ぶれが揃い、長きにわたって革新的なデザインを発表し続けている。2006年からは「ミナ ペルホネン」の皆川明とコラボレーションし、ブランドの代表的なモチーフ「タンバリン ハリンダル」をリリース。今春は「Akira Minagawa Collection for Kvadrat」と称し、3種類のインテリアテキスタイルと1種類のカーテンを発表した。また、2014年からはラフ・シモンズを迎え、インテリアテキスタイルとアクセサリーを中心としたハイエンドなコレクション「クヴァドラ/ラフ・シモンズ」をローンチしている。2017年の新作「Ria」は、点描にインスピレーションを得て生まれたテキスタイルで、ベースから２色の糸を織り込んだ柔らかな表情をもつアイテムだ。また、毛足の長いテキスタイル「Argo」には秋冬らしいシックな新色が加わっている。

今年の6月には1階部分に加え、2階の一部をショールームとして増床。ここには「クヴァドラ」のグループ・ブランドである「キナサン」のコレクションを展開している。「キナサン」はスウェーデンの200年以上の歴史を持つカーテン＆ラグブランドで、2012年にイサ・グリンクをクリエイティブディレクターに迎えてリニューアル。イサが生み出すテキスタイルはモダンなカラーリングや斬新なユニークなテクスチャーが特徴で、ブランドに洗練されたモダンさをもたらした。今回のショールームを開設以降、日本での人気も広まりつつあり、今後さまざまなところで目にする機会も多くなりそうだ。