Style of Life

目指したのはカフェイームズを愛でる
白いモダン空間

目指したのはカフェ  イームズを愛でる 白いモダン空間

イームズありきで考えた

「カフェのような家にしたかったんです」

吹き抜けのモダンなリビングに、イームズの椅子、北欧のレ・クリントの照明。星野さん夫妻の理想の空間は、4年前に誕生した。

「昔からミッドセンチュリー系の家具を集めていたんです。家を建てるときはそれに似合う空間にしたいというのが、前提にありましたね」

と語るのは妻の三季さん。家の設計もインテリアもほとんど三季さんの希望が活かされた。夫の圭介さんは、

「リビングを1階にしてほしい、というのが僕の唯一のリクエストでした」

日あたりを考えて、2階にリビングをもってくることを設計事務所に提案されたが、そうすると帰宅したときに家族の気配を感じることができない。玄関のドアを開けてすぐに、家族の顔が見られるように、1階にリビングを設けたい、というのはふたりの一致した意見だった。


2階の渡り廊下から吹き抜けのリビングを眺める。イームズの椅子や目黒のマイスターで購入したソファーが空間を彩る。チワワの虎太朗は青のアームシェルチェアがお気に入り。
2階の渡り廊下から吹き抜けのリビングを眺める。イームズの椅子や目黒のマイスターで購入したソファーが空間を彩る。チワワの虎太朗は青のアームシェルチェアがお気に入り。

憧れのリビング階段を実現

「部屋数は最低限でいいから空間を広くしてほしい、というのもありました。リビングは、上から光を取り入れられるように、2階まで吹き抜けにしたのですが、解放感が得られてよかったと思います」

オープンキッチンからは調理をしながらリビング全体が見渡せる。クールでスタイリッシュな空間の中、あえて中央近くに設けた階段が、オブジェのように鎮座している。これも三季さんの希望で取り入れた。

「昔からリビング階段に憧れがあって、これだけは譲れなかったんです。手すりも、絶対にスチールと決めていました」

隙間の空いた抜け感のあるグレーチングの階段に金属の手すりが、近未来的な雰囲気を与えている。


整然と片付けられたキッチン。収納は床の茶色に揃え、家電は白で統一。
整然と片付けられたキッチン。収納は床の茶色に揃え、家電は白で統一。
リビング脇に設けたワークスペース。椅子はハリー・ベルトイアのワイヤーチェア。
リビング脇に設けたワークスペース。椅子はハリー・ベルトイアのワイヤーチェア。
どうしても取り付けたかったリビング階段。グレーチングにより抜け感を演出。
どうしても取り付けたかったリビング階段。グレーチングにより抜け感を演出。
イームズのサイドシェルチェアに、グリニッチのテーブル、ノーマン・コペンハーゲンの照明。北欧ものも調和している。
イームズのサイドシェルチェアに、グリニッチのテーブル、ノーマン・コペンハーゲンの照明。北欧ものも調和している。


ミッドセンチュリーで統一

もともとインテリアに興味があった三季さん。結婚の為、家具などを買い揃える際には、それまでの思いが一気に溢れ出た。

「家を建てる前はアパート暮らしだったので、椅子に囲まれて生活している感じでした」

新築マイホームの内装は、愛するイームズの椅子に合わせて選択。

「椅子の色がカラフルなので、壁の色は白で、なるべくシンプルにしたいと思いました。床は濃いめの茶色がミッドセンチュリーっぽいと思い、ウォールナットで統一しました」

白い空間にイームズの椅子、サビニャックのポスター、ジョージ・ネルソンのボールクロックなどが色彩を加えている。

「生活スペースなので、どうしても生活感は出てしまいます。その時にシンプルモダン過ぎると、生活感が目立ってしまうんじゃないかと。だからカラフルな感じを演出したい、というのもありますね」


低めの座面のアームシェルチェア。あやとりのようなベースの組み方が魅力。
低めの座面のアームシェルチェア。あやとりのようなベースの組み方が魅力。
原色のカラフルな色遣いが楽しい、ジョージ・ネルソンのボールクロック。
原色のカラフルな色遣いが楽しい、ジョージ・ネルソンのボールクロック。
市原淳のポスター。犬と椅子に魅かれて購入。
市原淳のポスター。犬と椅子に魅かれて購入。
家の模型は、設計時のプレゼンテーションに使われたもの。車は白い家に似合う青を乗り継いでいる。
家の模型は、設計時のプレゼンテーションに使われたもの。車は白い家に似合う青を乗り継いでいる。
鮮やかな色彩のワイヤーチェア。エッフェルベースが美しい。
鮮やかな色彩のワイヤーチェア。エッフェルベースが美しい。
 
陰影が美しいノーマン・コペンハーゲンのペンダントライト。照明や雑貨で北欧ものも取り入れている。
陰影が美しいノーマン・コペンハーゲンのペンダントライト。照明や雑貨で北欧ものも取り入れている。
サビニャックのユーモラスなタッチがお気に入り。
サビニャックのユーモラスなタッチがお気に入り。
玄関脇に設置されたウーテンシロ。デザイン性豊かに、かつ機能的に小物を収納。
玄関脇に設置されたウーテンシロ。デザイン性豊かに、かつ機能的に小物を収納。


ベッドルームはシンプルに

吹き抜けのリビングは、2階から見下ろしても美しい。2部屋のベッドルームをつなぐ廊下は、リビングの周りに沿って回廊のように設置。

「設計士さんのアイデアなのですが、面白いかなと思いました」

現在使用しているベッドルームは、やがて家族が増えたとき2部屋に仕切られるよう、スイッチや電気の配線などをシンメトリーに取り付けた。

「ベッドルームはリビングと違って落ち着けるように、ポスターもモノトーンのものを選んだりして、シンプルにまとめました」

ここには決して座ることのない、鑑賞用のアームシェルフチェアが。

「眺めているだけで幸せなんです。イームズの椅子のフォルムとか色とかに、うっとりとしますね。嫌いなものは置きたくありません。好きなものだけに囲まれて過ごしていたいと思います」


リビングを回廊のように取り囲む2階の廊下。右側の開口部から光が差し込む。
リビングを回廊のように取り囲む2階の廊下。右側の開口部から光が差し込む。
2階のトイレ前の洗面。無駄のない造りがモダン。
2階のトイレ前の洗面。無駄のない造りがモダン。


手前が、座ることのないロッキングチェアタイプのアームシェルチェア。ベッドルームはシンプルに徹している。
手前が、座ることのないロッキングチェアタイプのアームシェルチェア。ベッドルームはシンプルに徹している。

カルテルのコンポニビリをベッドサイドテーブルに。北欧の照明が優しく灯る。
カルテルのコンポニビリをベッドサイドテーブルに。北欧の照明が優しく灯る。
ディアマンティーニ・ドメニコニーの鳩時計。切り絵のようなデザイン。
ディアマンティーニ・ドメニコニーの鳩時計。切り絵のようなデザイン。
ベッドルームにはモノトーンのポスターを。キッズ服ミニ・アンド・マキシマスのもの。
ベッドルームにはモノトーンのポスターを。キッズ服ミニ・アンド・マキシマスのもの。
ベッドサイドのシェルチェア。クッションはサルボアのファウナピロー。
ベッドサイドのシェルチェア。クッションはサルボアのファウナピロー。


好きなものを追求したい

無駄なもの、気分になじまないものは使わない、というポリシーはキッチンにも。床に合わせて、濃い茶色で造作してもらったキャビネットには、毎日使うものだけを整然と収納している。

「ブランドにはこだわっていないのですが、食器類はすべて白で、形が面白いものを選んでいます。冷蔵庫などの家電も見た目重視。壁に合う白で統一しています」

シンク上の照明は、省エネ電球プルーメン。これを見つけるまでは、妥協することなく、電球なしで過ごしたのだとか。

「気に入るものが見つかるまで探します。週末はインテリアショップめぐりなどをして、いろいろとチェックしていますね。平日、家にいるときはいつも、次はどこをどう飾ろうか、と考えています。玄関からリビングを眺めては、椅子の位置を直したいな、と思ったり。そんな時間がとても幸せです」

家とインテリアへのあくなき思いとこだわりが、クールなカフェ空間を彩っていく。


キッチンから眺めるリビング。プルーメンの電球は、カフェなどでも使われている。
キッチンから眺めるリビング。プルーメンの電球は、カフェなどでも使われている。
白い冷蔵庫にイッタラのマグネットが印象的。
白い冷蔵庫にイッタラのマグネットが印象的。
 
窓は横長で、あえて採光は控えめに。「普通っぽくない家が良かったんです」
窓は横長で、あえて採光は控えめに。「普通っぽくない家が良かったんです」
造りつけの食器棚。気に入ったものだけを、必要な数だけ揃えるのが信条。
造りつけの食器棚。気に入ったものだけを、必要な数だけ揃えるのが信条。
ジョージ・ネルソンのマシュマロチェアのミニチュア。「本物は高いので」。
ジョージ・ネルソンのマシュマロチェアのミニチュア。「本物は高いので」。
インターフォンもモダンなデザイン。
インターフォンもモダンなデザイン。


星野さん夫妻。車は白い壁に映えるブルーのミニを、圭介さんが選んだ。
星野さん夫妻。車は白い壁に映えるブルーのミニを、圭介さんが選んだ。