Style of Life

稲村ヶ崎のサーファーズハウス目の前に水平線が広がる
海沿いの家の暮らし

稲村ヶ崎のサーファーズハウス  目の前に水平線が広がる 海沿いの家の暮らし

人生を豊かにする海辺の住まい

「この家の特等席です、どうぞ座ってみてください」。小泉夏樹さんに勧められるまま、2階のリビングのソファに腰を下ろしてみた。目の前に広がる水平線、寄せては返す波の音……。体の芯からリラックスできる贅沢なひとときだ。
稲村ヶ崎の海沿いに11年前に家を建てた小泉さん。
若い頃からサーフィンに親しんでいた小泉さんが、「やはり海の側に住みたい」と土地を探し始めたら、考えていたよりすんなりと見つけることができたのだそう。
「この土地を見つけられたのは幸運でしたね」。

家は建築家に頼まず、地元の工務店と二人三脚で作り上げた。
「建材の選定や塗り方、階段、ドアや把手、ダクトの素材に至るまで、細かく注文しました。担当者がいい方で、投げ出さずに最後まで僕のワガママに付き合ってくれました」

たとえばリビングの壁と天井は同じ材料で張っている。
「板の裏面を表に使い、味の出た質感になりました」


ガムボールマシーンやフォトフレームなど、小泉さんらしいモノが並ぶ作り付けの本棚。
ガムボールマシーンやフォトフレームなど、小泉さんらしいモノが並ぶ作り付けの本棚。
小泉家には6匹の猫が暮らしている。特に奥様が猫好きなのだそう。屋根裏には猫専用のソファも。
小泉家には6匹の猫が暮らしている。特に奥様が猫好きなのだそう。屋根裏には猫専用のソファも。
ひとつひとつの椅子やクッションにストーリーが感じられる。窓と窓の間にもお気に入りのものを飾る。
ひとつひとつの椅子やクッションにストーリーが感じられる。窓と窓の間にもお気に入りのものを飾る。
小泉さんのお母さんが使っていたミシンをデスクに。椅子の座面は、専用のテープをアメリカから通販して自分で張り直した。
小泉さんのお母さんが使っていたミシンをデスクに。椅子の座面は、専用のテープをアメリカから通販して自分で張り直した。


窓一面に広がる稲村ヶ崎の海。朝イチの波のチェックが至福の一時なのだとか。週に2〜3日はパドルボードで海に出ている。
窓一面に広がる稲村ヶ崎の海。朝イチの波のチェックが至福の一時なのだとか。週に2〜3日はパドルボードで海に出ている。

1階に降りる階段の手摺りも特注で作ってもらったものだそう。時間とともにいい味が出ている。
1階に降りる階段の手摺りも特注で作ってもらったものだそう。時間とともにいい味が出ている。
キッチンのレンジフード、タイルや、吊り戸棚のガラスなど、ディティールにも気を配っている。
キッチンのレンジフード、タイルや、吊り戸棚のガラスなど、ディティールにも気を配っている。


扉の向こうに遊びゴコロいっぱいの空間

玄関扉を開けるとすぐに遊び道具や小泉さんのお気に入りのモノたちに出迎えられる。ここは玄関ホールであり、廊下であり、もうひとつのリビングでもある。冬は薪ストーブの前でゆっくりと寛ぐのだそうだ。

「このアンティークの薪ストーブも僕がワガママを言って家を建てている途中に設置してもらったものです。急遽煙突を立て、タイルを張りました。2階のリビングまで暖まるので、無理を言ってつけてもらってよかったです」

階段を5段上がると、夏樹さんの部屋と奥様の部屋、そして趣味で始めたという『vintage-room82』のショップがある。

アンティークのドアの向こうが夏樹さんの部屋だ。
「ほんとうは監獄のようなインテリアにしたかったんですけど、妻にそれだけはやめてと反対されました(笑)」


玄関扉を開けると、テラコッタと古材を張った広い玄関スペース。階段を5段上がると、夏樹さんと奥様のそれぞれの部屋がある。
玄関扉を開けると、テラコッタと古材を張った広い玄関スペース。階段を5段上がると、夏樹さんと奥様のそれぞれの部屋がある。
「家を建てている最中にやはり薪ストーブが欲しくなって急遽設置。鎌倉の『ノーザンライトストーブ』で買ったものです」
「家を建てている最中にやはり薪ストーブが欲しくなって急遽設置。鎌倉の『ノーザンライトストーブ』で買ったものです」
夏樹さんの部屋はあえて壁に内装材を張っていない。構造のままなので、棚として利用することができる。
夏樹さんの部屋はあえて壁に内装材を張っていない。構造のままなので、棚として利用することができる。
暖房設備かなにかのスイッチパネルと思いきや、古いクルマのインパネ。最高速度は時速60km/hなのがご愛嬌。
暖房設備かなにかのスイッチパネルと思いきや、古いクルマのインパネ。最高速度は時速60km/hなのがご愛嬌。
小物を飾ることができる棚。「この棚のアイディアはいただきもの(笑)。家を作る時にぜひやりたかったことのひとつです」
小物を飾ることができる棚。「この棚のアイディアはいただきもの(笑)。家を作る時にぜひやりたかったことのひとつです」
「開き戸にすると廊下を塞いでしまうので、アンティークのドアは吊り戸にしました」
「開き戸にすると廊下を塞いでしまうので、アンティークのドアは吊り戸にしました」
トリコロールカラーの三脚、壁につけたネットの小物入れ、グリーンのハンガーラック……、ひとつひとつにこだわりを感じる。
トリコロールカラーの三脚、壁につけたネットの小物入れ、グリーンのハンガーラック……、ひとつひとつにこだわりを感じる。


シルバーグレーの外壁に、白の窓枠とテラスの手摺りが爽やかな外観。玄関扉と、小泉さんが自分でペイントしたというガレージの窓枠のブルーが効いている。

「海沿いの家は潮風がダイレクトに当たるので、家のケアにそれなりに手間がかかります。庭の植物も、潮風に強い種類に限られます。芝生は潮風にも強いようです。マメに刈り込んで手入れしてます。しなければいけないことも増えましたが、逆にそれを楽しんでいます」と小泉さん。

「ここに越してきてから、時計をしなくなって、靴下を履かなくなりました」と笑う。人生を豊かにしてくれる念願の海沿いの暮らしを満喫している。


船のような形のポスト、ロープの上にはカモメ、柵には救命用の浮き輪。海を感じさせる小物たち。
船のような形のポスト、ロープの上にはカモメ、柵には救命用の浮き輪。海を感じさせる小物たち。
ガレージのブルーの窓枠や、アンティークの木製のブイは、小泉さんがペイント。
ガレージのブルーの窓枠や、アンティークの木製のブイは、小泉さんがペイント。
鎌倉の海によく似合う小泉宅の外観。板張りの外壁は潮風に当たるといい感じに色褪せてくる。
鎌倉の海によく似合う小泉宅の外観。板張りの外壁は潮風に当たるといい感じに色褪せてくる。


綺麗に手入れされた前庭。エントランスのステップに植物を植えこむアイディア。
綺麗に手入れされた前庭。エントランスのステップに植物を植えこむアイディア。

呼び鈴がお花模様。「プラスティックの質感が好きじゃないので、カバーしちゃってます」
呼び鈴がお花模様。「プラスティックの質感が好きじゃないので、カバーしちゃってます」
テラスに出るとさらに海が目の前に迫る。「天気が良ければ江の島の向こうに富士山が見えますが、雨の日の雰囲気も好きです」
テラスに出るとさらに海が目の前に迫る。「天気が良ければ江の島の向こうに富士山が見えますが、雨の日の雰囲気も好きです」
ガレージの天井の古材は自分で張ったそう。壁のトタンもいい味が出ている。
ガレージの天井の古材は自分で張ったそう。壁のトタンもいい味が出ている。