Style of Life
愛犬との湘南ライフ 非日常性を求めて
暮らしを楽しみ尽くす
海を見下ろす環境に一目惚れ
「海の近くで暮らしたい」。初めて訪れた小笠原諸島の自然の美しさに衝撃を受け、漫画家であり小説家である折原みとさんはそう考えた。そして、それまで住んでいた中目黒のマンションを離れ、湘南に一軒家を建てることに。
「たまたま知り合いから土地を紹介してもらったのですが、初めは逗子ってどこ? っていうくらい土地勘も何もなくて」。高台に開発された電信柱のない住宅街は、都心とは全く違うのどかな環境。海が望める条件に即決した。
「同時に、犬を飼いたいという子供の頃からの思いがあったんです」。動物を育てられなかった苦い経験、飼いたくても飼ってもらえなかった幼少期の思い出は著書『おひとりさま、犬をかう』に詳述。それから歳月を経て、ゴールデンレトリーバーの子犬りき丸を迎え、幼い頃からの夢が湘南の地でスタートした。
立地を活かした設計に
家は自分で間取り図を描いて、設計士に依頼。「漫画家が好んで建てる白亜の豪邸みたいなのは嫌でしたね。天井が高いこと、仕事部屋とバスルームからの眺めが良いこと、人がいっぱい集まれること、を設計士さんにはリクエストしました」。
もともとあったカキの木を残してもらうためにコの字型に設計。瀟洒な庭に囲まれた、落ち着いた洋館が海を見下ろすように建つ。
「いちばん長い時間を過ごすのは仕事部屋なので、2階の見晴らしのよいところを確保してもらいました」。仕事中も窓の外に広がる海を眺めて、ついぼんやりとしてしまうこともあるのだそう。
同じく2階の眼下に海が広がるバスルームは、3〜4年前にリフォーム。ダークブラウンで統一されたアジアンリゾートのような空間には癒しムードが漂う。「バリテイストにしたかったんです。お風呂が好きなのでゆっくりと海を眺めながら、リラックスしたいと思って」。絶景を眺めながらのバスタイム。サウナやミニバーもあり、入浴後はテラスに出て気持ちのよい風にあたりながら1杯、もできる。
家で味わえる非日常性
「いつも非日常的な気分で暮らしたいんです。以前はよく旅行に行っていたのですが、旅行から帰ってきたときの“がっかり感”が嫌で。それならば家で非日常感が味わえるようにしてしまおうと」。
天井の高い豪奢な空間に、開放的な吹き抜け。1階のリビングには煖炉があり、秋から冬はパチパチと燃える火が部屋を温める。「火を眺めているのが好きなんです。だから煖炉は欲しいと思っていました」。友人を呼んで皆で燃え盛る火を眺める“湘南焚き火クラブ”も開催。
「何に惹かれるんでしょうね。火を眺めていると、みんな普段言わないようなことを語り出したりするんですよ。ここに来てからパーティーもよく開くようになりました。友人たちに楽しんでもらえるように、玄関ホールにはウェイティングバーも設けたんです。デッキの、夕日を眺めながら飲めるサンセットバーも人気です(笑)」。
アクティブな生活を楽しむ
湘南に来てからアウトドア派に。外にいることが楽しくなったという折原さん。手入れの行き届いたヨーロッパ庭園風の庭では、2代目の愛犬・こりきと遊んだり、仕事をしたり、食事をとることも多い。「スペインのアルハンブラ宮殿が好きで、お庭はイメージしたところがあります。水の音が聞こえるよう、水場も欲しいとお願いしました」。
流れる水の音だけが響く、喧噪を離れた環境。ここには間違いなく非日常の空気が漂う。
「歩いて10分くらいのところにすごくきれいなビーチがあって、よくお散歩したり、シュノーケリングをしたりしに行きます。それでも気分を変えたくなったときは八ヶ岳の別荘と、茨城に借りている古民家を行ったり来たり。犬がいることもありますが、旅行には行かなくなりました。でも毎日が楽しいので満足しています」。
20代の頃は仕事漬けの生活で紙の上でトリップ。いわばそれが非日常だったという折原さん。今は毎日の生活を旅のように楽しんでいる。