Style of Life
収納の工夫も満載心地よさを求めて辿り着いた
シンプルでクリーンな白い箱
徹底して無駄をカット
「お豆腐みたいに白くて四角い箱が良かったんです」。のどかで緑豊かな住宅街。真っ白な明るい家に磯貝さん一家は暮らしている。「採光を考えて天井は斜めになったのですが、本当は真四角がいいと思っていました」。と奥さんの夏海さん。
磯貝邸が建てられたのは6年前。「前に住んでいた家が暗かったので、明るくしたかったんです。リビングは日当りが絶対条件でした」。そのため2階にリビングを、1階に寝室やバスルームを設けた。真っ白な壁に包まれたシンプルな空間は、どこもピカピカで清潔感に溢れている。
「間取りなどは自分たちで考えて、工務店さんに設計を依頼しました。付け足し案ももらいましたが、余計なものはなくていいです、と。便利だけれど見た目にマイナスなものはすべて外してもらいました。家のイメージは既に固まっていましたね」。
磯貝邸のプランニングはすべて引き算。余計なものをそぎ落としていくことから始まった。
選び抜いたものと暮らす
「家を建てたときは下の子がまだ生まれていなかったので。育っていく中で変わっていけばいいと思いました」と言うのはご主人の雄一さん。長男・琉音君、長女・汐音ちゃんが遊ぶ1階の子供部屋は、いずれ2部屋に仕切ることも可能。一面だけブルーグレーの壁は、北欧風をイメージして家族みんなで塗り上げた。
「いちばん悩んだのは収納です。子供のおもちゃや家族の趣味のものを収めていますが、試行錯誤の末に現在の状態に辿り着きました」。無印良品のボックスをスタッキングしてクローゼットを無駄なく活用。子供たちの大好きなレゴも色別にしまい分け、片付けの習慣を身につけさせている。
「ものが好きで物欲もあるのですが、必要なものを選り分けることも大事だと思うんです。子供たちにもここに収まらないものは捨てるよ、と言っています」。ベッドルームにも家具はおかず、必要なものはすべてクローゼットに収納している。「服も日用品もここに収まる以上は買わないようにしています。増えたらフリマに出したりして、処分するようにしていますね」。
バスルームのソープなども、厳選したものだという。「ここにはこういうものを置きたい、というのがあって、歯ブラシ1本を探すのにも時間がかかります。何を選ぶのも大変ですね(笑)」。選ばれているものたちは磯貝さんの感性に合うものばかり。無駄なものの一切ない潔さが美しい。
それぞれが楽しめる場所も確保
家族が集うリビングは、4面すべてに開口部があり、明るい光が差し込む。ロフトのある天井の高い空間が、開放感を感じさせる。「広いリビングがいいとリクエストしました。どの面にも窓があって日が入るので、冬でも暖かいですね」。
夏海さんは、ハンドメイドの子供服をネットで販売するほどの裁縫の腕前の持ち主で、お菓子作りも得意。時間のあるときはリビングで手作り作業を楽しんでいる。
「裁縫セットやお菓子の本、捨てられない雑誌など、私の趣味のものを保管するために、棚を作ってもらいました」。キッチンの脇にある1帖ほどのスペースが、夏海さんの書斎代わりだ。
雄一さんはロフトを占拠して、映画や音楽を楽しむ。「食事の後はひとりで籠っていることが多いです。でもリビングとつながっているので、子供たちの気配も感じることができるし、どこか一緒にいる感覚があるのがいいですね」。
片づけることの悦び
もの選びにこだわる姿勢は、リビングやキッチンにも。「家具は北欧のものが好きで、少しずつ揃えています。最近は念願叶って、オーダーで作ってもらったテーブルが届いたばかりで」。
食器類は夏海さんが愛する作家もの。城進の陶器にフルーツを盛ったり、おおやぶみよのガラスの器に花を活けたり。そんなアレンジが白い空間に映えている。
「食器はよく使うものを手前に、使わないけれど捨てられないものを棚の上に置き、扱いやすさも考えています」。たくさんの食器類もゆとりを持たせて整然と収納。
「休日は子どもと公園に行ったりしていますが、家にいるときはよく片付けをしていますね。最近、用途やサイズで分けていたカトラリー類を、素材で分けてみたらどうなるか、と試してみたんです。するとしっくり収まってこれが気持ち良かったです」と雄一さん。片づけは半ば趣味でもあるのだそう。
「ひとつ終わると次はどこを片づけようか、と考えています。ストレス発散にもなるんですよ」。きれいにすることというより、色々と考えて片づける過程が楽しい、と言うおふたり。ピカピカの真っ白な家は、そんな家族の幸せの象徴のようだ。