Style of Life
英国アンティークに囲まれて“ケイティー流”を伝える
暮らしの楽しみあふれる場所
一目惚れして、即決
自然豊かで、別荘地としても人気の街・葉山。
海を見下ろす高台に、緑の木々に包まれたレンガ色の家がある。この家に暮らすのは、英国アンティークの家具や雑貨を取り扱う「英国生活骨董KATY’S HAYAMA」を主宰し、欧米家庭料理やフラワーアレンジメント、テーブルコーディネートなどの講師もつとめるケイティー恩田さん。
ケイティーさんとご主人がこの家に暮らし始めたのは、15年ほど前。出会いは突然だったという。
「物件案内を見るのが好きで、買う気もないのに送ってもらっていたことがあって。ある日、この家の案内をもらったんです。」
その時住んでいた家にも十分満足していたのだが、近くなので見学してみることに。
建物は築7年ほど。訪れたのが夜だったため、室内の照明がこぼれて外観はあたたかい雰囲気。庭にある和洋折衷の木々は大きく育ち、年月を感じさせる趣があった。
「中に入って階段を3段上がったところで、これは買おうと(笑)。その夜のうちにハンコを押しました。出会いみたいなもの、直感ですね」と当時を振り返るケイティーさん。
「いつも直感だけど、それが間違えていないのよ。家選びも家具選びも直感。アンティークの世界では、1度逃したら次はないですからね」
時代や国を超えて、好きなものを
リビングに足を踏み入れると、まるで外国映画の世界に飛び込んだかのような素敵な空間が広がっている。1920〜1930年代の英国アンティーク家具をはじめ、古伊万里などの日本の焼き物、ユーモアあふれる動物のオブジェ、数十年前から大切に使っているというアメリカ製のソファなど。そこにあるのは、時代や国を超えて、ケイティーさんの“直感”で集められたものたちだ。
「私がこの家で生まれ育ったと思っている人がいるくらい、ここは私にぴったりの家」と話すケイティーさん。しかし購入した時、室内は現在とまったく異なる雰囲気だったという。
「リビングの壁が紫色で、大きなシャンデリアと暖炉があって、とてもゴージャスだったんです。それはそれで素敵だったんですよ。でも私の好みには合わないから、改装することにしたんです」
壁の色は白く、シャンデリアやカーテンは外してすっきりと。重厚な暖炉は撤去して、代わりにクラシックなデザインの北欧製薪ストーブを設置した。また、煙突まわりの天井をくりぬいて吹き抜けをつくり2階にも暖気が上るようにしたり、キッチンに収集している紅茶缶の飾り棚を付けるなど、暮らしやすさにも考慮しながら、自分が好きな空間へ改装したという。
用途にこだわらないで自分流に
1階はギャラリーや料理教室の場を兼ねていて、訪れた人に、“ケイティー流”のディスプレイ術や本来の用途にこだわらない自由な雑貨の使い方などを見てもらい、感じてもらうための場にもなっている。
「たとえばビスケット用のガラス瓶を、うちではキャンディー入れにしてテーブルに置いているの。古いものを、自分流に今の生活に合わせて楽しむ。どう使おうが、その人が楽しく使えばいいんですよ。」とケイティーさん。
壁を使ったディスプレイも、ぜひ参考にしたいところ。絵画やお皿、気に入った刺繍布を額装したものなどを自由に飾って楽しんでいる。
「日本の人は壁に穴をあけるのを嫌がるでしょう(笑)。でも1回やってみると楽しいですよ。壁は一番自由な場所だから。我が家を見て、何かマネしようかなと思ってもらえたら嬉しいですね」
賢く暮らしを楽しんでほしい
20年余りに渡って、ライフスタイルを伝える幅広い活動を続けているケイティーさん。その根底にあるのは、「賢く時間とお金を使って、自分にあった暮らしを楽しんでほしい」という想いだという。
「華美なのは全然格好良くない。質実剛健に。毎日の暮らしの中にちょっと楽しく嬉しいことがあって、家族が喜んでくれれば自分もハッピーでしょう?」
家族のために料理をつくり、庭先で摘んだ花を飾り、テーブルをコーディネートしたり、お気に入りの絵や雑貨を季節に合わせて飾る。そんなちょっとしたことで、自分も家族もハッピーになる。
ケイティーさんの暮らしぶりは、慌ただしく日常を過ごしてしまいがちな私たちに、たくさんのヒントを与えてくれる。