Style of Life
大型ガレージのある家趣味を極める
自分だけのファクトリー
ガレージ主体で設計を
「ガレージが欲しいというのが、家を建てたいちばんの理由でした」。Jeepラングラーの改造車、BMWアドベンチャーが余裕で収まるガレージで、そう語るのは大手自動車メーカーのメカニックを担当してきた平賀さん。
「車をリフトアップできる天井高と、広さが欲しかったんです。ガレージ主体で自分らしい生活スタイルが保てるように、HOUSETRADの細田さんに相談しました」。
平賀さんは、国内のラリーレースで優勝して以来、毎年アジア大会に参加しているラリーマニア。青緑色の大きな鉄扉が印象的なファサードの向こうには、その夢が詰まっていた。
目指したのは、工場のような家
「最初は潰れた工場を買い取って家にするのもいいね、と細田さんと話していたんです。でも物件がなかなか出てこなくて。で、工場っぽい家を建てることにしました」。以前から住んでいた東京郊外の、のどかな住宅地に土地を見つける。
「都会に憧れがないんです(笑)。旗竿敷地ですが、間口が広いのでガレージ前のスペースでも作業ができます。そのため敢えてシャッターではなく鉄扉を選びました」。ガルバリウム鋼板の外壁に鉄扉、そして屋根から突き出た煙突が、まさにファクトリーという感じ。
「扉の色は光の当たり方などを考えて、数パターンの中から選びました。晴れた日、曇った日などでも色合いが微妙に違ってきますから」と言うのはHOUSETRADの細田さん。もともとインテリアにも興味があった平賀さんは、パシフィックファニチャーサービス時代の細田さんと知り合いに。
「アメ車のヴィンテージ感に似合う空間を創ってくれると思って設計をお願いしました」。北向きながら天窓によって明るさが確保されたガレージ内は、有孔ボードにDIYで取り付けたシェルフに、アウトドアグッズや、レースで勝ち取ったトロフィーなどをディスプレイ。休みの日は1日をほとんどここで過ごすのだという。
薪ストーブを中央に
平賀さんがもうひとつこだわったのが、薪ストーブ。ガレージ横の玄関を入ると土間になっていて、中央にベルギー製のドブレが鎮座する。
「実家が岩手で林業を営んでいたので、当たり前に薪ストーブだったんです。家を建てるならどうしても置きたいと思いましたね」。土間の煙突が階段のある吹き抜けを通って屋根まで到達。その存在感のある佇まいは、この家のシンボルのように思える。
「熱は上に行くので、2階の天井のシーリングファンで対流を起こすようにしています。薪ストーブ1台だけで、リビングや子供部屋まで暖かいです」。冬の夜は1階にあるバスルームから上がったら、ストーブ前のベンチで子供に絵本を読み聞かせ。そしてベッドルームに行くのが習慣なのだそうだ。
「昼間は吹き抜けのところのガラスブロックから光が入り、擦りガラスを抜けてバスルームまで届きます。1階はガレージを広くとった分、スペースが制限されていますが、扉の開きなども邪魔にならないように考えられている。細やかな演出や工夫が施されているのを、住んでみて感じますね」。
大空間をインダストリアルに
“ファクトリー感のある家”は、2階の生活スペースでも体感できる。鉄骨の階段を登ると、梁の出た勾配天井の下、大空間が広がっている。
「梁はグレーで塗装して、筋交いにターンバックルの鉄骨を使い、よりファクトリー感を出しました」と細田さん。ストーブの煙突を中心に左側にリビング、ダイニング、キッチンといったパブリックスペース、右側に子供部屋のプライベートスペースを配置し、スキップフロアで緩やかにつなげた。
「床は空間に負けないように、ラワンベニヤのウレタン塗装を敷き詰めました。フローリングや絨毯よりも素朴な風合いが出たと思います」(細田さん)。キッチンアイランドはコンクリートブロックを重ねて天板を載せたもの。平賀さんが好んで集めたパシフィックファニチャーサービスやHOUSETRADのオリジナルの家具や照明とマッチして、インダストリアルな雰囲気を倍増させている。
「趣味を中心に暮らせるように、好きなようにさせてもらいました。でも家族も楽しんでくれています。車やバイクをいじったり、DIYでものをいじったり、家族と一緒に過ごすそんな時間が幸せですね」。