坂の上の真っ白なスタジオ再建築不可の物件をリノベーションで再生

坂の上の真っ白なスタジオ再建築不可の物件を
リノベーションで再生

都心を見下ろす絶好の立地

石畳の細い階段を登ると、南欧風の外観の家が現れる。都心とは思えないロケーションにひっそりと建つその家は、フィッシュバーン真也子さんが、1年程前に再建築不可の物件を購入し、リノベーションしたもの。
「山の上の秘境のような場所でしょう(笑)? 坂の向こうには八幡宮やお寺があって、ここはその昔、参道だったらしいんです。うちに来る人の中には、“何か、気がいいね”と言う人もいて。パワースポットかもしれません」。
見晴らしのよい窓の外には、代々木公園の緑や新宿のビル群が広がり、光と風が家中を通り抜けるかのよう。
「建物は恐らく昭和40年代の、本当に普通の日本家屋でした。でも面白いなと思ったんです」。


白に囲まれたシンプルで明るい室内。モルタルを敷いた床には床暖房を入れた。ベランダの向こうに街が見下ろせる。

白に囲まれたシンプルで明るい室内。モルタルを敷いた床には床暖房を入れた。ベランダの向こうに街が見下ろせる。

坂の上の洋館のような瀟洒な建物。重機が入らないため、何度も行き来して資材を運び、工事は大変だったとか。

坂の上の洋館のような瀟洒な建物。重機が入らないため、何度も行き来して資材を運び、工事は大変だったとか。

静岡のBon Coteで購入したフランスのアンティークドア。ガラス窓が2重になっていて開く仕組み。一番のお気に入り。

静岡のBon Coteで購入したフランスのアンティークドア。ガラス窓が2重になっていて開く仕組み。一番のお気に入り。


真っ白なスタジオをイメージ

ここに引っ越してくる前は、真也子さんは渋谷の古いビルを所有。自らDIYでお洒落空間にリノベーションし、人気物件にしてしまったという経験を持つ。
「今回はその時ほどパワーがなくて(笑)、自分でプランを立てて、後は業者に任せました。でも一度解体から経験しているので、考えやすかったですね」。
“家にも稼いでもらう”という発想から、1階は賃貸スペースに、2階をLDKと水廻りに、3階をベッドルームに。間仕切りや和室を取り払い、天井を抜いて、まずは開放的な大空間に変更した。
「中央にあった階段は奥の方に移動させ、広々とさせました。湿気がかなりあったので扉は水廻りのみにして、なるべく塞がないようにしています」。
目指したのは真っ白なスタジオ。壁はすべて白いペンキで塗り上げた。
「暮らしているとどうしても色んな色が出てくるので、家は白いキャンバスにしておきたいんです。外壁も床も壁もカーテンも白。インテリアも含めれば、トータル3色で収めたいと思っています」。
木のベージュや茶色に、鉄のシルバー、ペンキの白。素材の持つ色を基本に、すっきりと構成された空間は、真也子さんのこだわりとセンスに彩られている。


3階からも光が降りてきて明るいLDK。

3階からも光が降りてきて明るいLDK。

キッチンはIKEAのもの。シンク下にはタオルをかけたいので、棚の一部を取り払い使い勝手のいいように組んでもらった。ガスレンジはAmanaを採用。

キッチンはIKEAのもの。シンク下にはタオルをかけたいので、棚の一部を取り払い使い勝手のいいように組んでもらった。ガスレンジはAmanaを採用。

階段もオープンにして明るく。窓からはお寺の景色が望めてのどかな雰囲気。

階段もオープンにして明るく。窓からはお寺の景色が望めてのどかな雰囲気。

1階から2階への階段にはジュート(黄麻)を敷いた。

1階から2階への階段にはジュート(黄麻)を敷いた。


アンティークの家具を配置

友人もよく集まるという2階のLDKの床には、モルタルを流して上からペンキを塗った。床暖房が効いて、今の季節も暖かい。
「3階はフローリングにしていますが、2階は硬質なイメージにしたいと思いました」。
シンプルなスタジオのような箱も、造りつけの棚に手作りのカーテンをかけていたり、IKEAのキッチンに少々アレンジを加えたり。そんな手間がどこか温かさを感じさせる。リビングはローテーブルが置かれていないためか広々。
「ソーホースと無垢の板をたくさん持っていて、必要な時に出して、テーブルにして使うんです」。
集まる人数によって、大きさも高さも様々なテーブルに早変わり。西側のベランダでは、椅子に座って寛ぐ時間をゲストも楽しんでいる。
「テラスがどうしても欲しくて、3階につけました。八幡宮周辺でいちばん高いのではないかと思う立地なので、ここからの眺めは最高ですね」。
ベッドルームとしている3階は、当初、三角屋根で屋根裏のようだった。そこで片側の天井のみ斜め上に上げ、天井高を確保。真っ白な空間に、真也子さんが昔から好きで大切に使い続けているアンティークの家具や雑貨が味わいを添えている。


2部屋をワンルームにして、屋根の片側を上に上げた3階のベッドルーム。

2部屋をワンルームにして、屋根の片側を上に上げた3階のベッドルーム。

昔から持っているアンティーク家具を置いたコーナー。今はアメリカの大学に行っている長男が子供の頃に描いた絵を飾る。

昔から持っているアンティーク家具を置いたコーナー。今はアメリカの大学に行っている長男が子供の頃に描いた絵を飾る。

収納は一カ所に集約。扉はつけずに、お手製のカーテンで仕切った。テレビ台は古い木箱を白く塗ったもの。

収納は一カ所に集約。扉はつけずに、お手製のカーテンで仕切った。テレビ台は古い木箱を白く塗ったもの。

見晴らしのよい3階のテラスは、できるだけ広く取り付けてもらった。代々木公園の緑が鮮やか。

見晴らしのよい3階のテラスは、できるだけ広く取り付けてもらった。代々木公園の緑が鮮やか。


キッチンのタイルは、真也子さんがDIYで貼付けた。

キッチンのタイルは、真也子さんがDIYで貼付けた。

無垢の天板にアンティークの椅子が、味わいを添える。

無垢の天板にアンティークの椅子が、味わいを添える。


スイッチなどの並びにもこだわった。手洗いはバケツ型が気に入って、サンワカンパンニーで購入。

スイッチなどの並びにもこだわった。手洗いはバケツ型が気に入って、サンワカンパンニーで購入。

タイル貼りの空間に流線型のバスタブが美しいバスルーム。開口部も大きくて明るく開放的。

タイル貼りの空間に流線型のバスタブが美しいバスルーム。開口部も大きくて明るく開放的。


「古いものが好きなんです。アンティーク屋さんや古道具屋さんで見つけたものをずっと保管していて、あちこちに使っています」。
例えば至るところに取り付けられたフック。実用的なだけでなく、小物などのディスプレイにも活躍している。
「インテリアスタイリストをやっていたので、部屋のコーディネートはこだわりますね」。
日々、ビスを打ってフックなどを取り付けてみたり、ペンキを塗り直したり。常に家に手をかけ、空間づくりを楽しんでいる真也子さん。
「色んな仕事、経験を経て今に辿りつきました。年をとって残るのは住まいと食。こだわって創った家だから居心地がよくて、ついつい毎日家でのんびり過ごしてしまいます。まわりの空気や雰囲気ものどかで、幸せに包まれている気がするんです」。
愛猫のグーも、窓から景色を眺めるのを日課?に、幸せに暮らしている。


造作の棚にお手製のカーテンを取り付けた。“dishes” 、“Tools”など、収納しているものをステンシルで明記。工具も沢山揃えている。

造作の棚にお手製のカーテンを取り付けた。“dishes” 、“Tools”など、収納しているものをステンシルで明記。工具も沢山揃えている。

ビスやペンキなどをガラス瓶に保管。フィッシュバーン真也子さんは現在、代々木八幡のプリン専門店「POPOCATE」のディレクターを務める。

ビスやペンキなどをガラス瓶に保管。フィッシュバーン真也子さんは現在、代々木八幡のプリン専門店「POPOCATE」のディレクターを務める。


淡いグリーンのソファーはなんとホームセンターで購入。コーディネートの技が光る。

淡いグリーンのソファーはなんとホームセンターで購入。コーディネートの技が光る。

アパレルのショップを営んでいたときに使っていたディスプレイ用の棚を愛用。


14歳のおじいちゃん猫グーも、窓から景色を見るのがお気に入り。いつもここからじっと外を眺めているのだとか。

14歳のおじいちゃん猫グーも、窓から景色を見るのがお気に入り。いつもここからじっと外を眺めているのだとか。