Style of Life

コロンビア文化に触れる文化の融合を目指す
コロンビア駐日大使の住まい

コロンビア文化に触れる 文化の融合を目指す コロンビア駐日大使の住まい

文化交流の小さな窓口に

東京都品川区にある駐日コロンビア共和国大使館。同じ敷地内にある公邸に暮らしているのは駐日コロンビア特命全権大使のサンティアゴ・パルド氏だ。
元々、コロンビアコーヒー生産者連合会のアジア事務局長(東京駐在)として2011年8月から日本で暮らしていたパルド大使。駐日大使に着任した2019年4月よりこの公邸での生活が始まった。

「訪れた人にコロンビアのことを知ってもらえるように、大使としてはこの家をコロンビアの小さな窓口にしていきたいと考えています。コロンビアの文化と日本の文化の融合を目指したいですね」と語るパルド大使。その言葉どおり、公邸ではイベントやパーティが頻繁に開かれ、多くの人が訪れる。

「直近では、日本コロンビア友好協会の会員をお招きしてカクテルパーティーを予定しています。ビュッフェスタイルでの食事や歓談を通じて、両国の親睦を図るイベントです。国の代表として、こうしたイベントを開催し、プロモーションを行えることは非常に楽しいですし、光栄に思っています」(パルド大使)。

1984年の竣工より、代々引き継がれてきた趣きのある洋風建築の公邸。
1984年の竣工より、代々引き継がれてきた趣きのある洋風建築の公邸。
開放感あふれる吹き抜けのエントランスホール。窓から差し込む光が空間を心地よい明るさに。
開放感あふれる吹き抜けのエントランスホール。窓から差し込む光が空間を心地よい明るさに。
公邸1階の応接間を兼ねたリビングルーム。主にこの場所でイベントやパーティが開かれる。
公邸1階の応接間を兼ねたリビングルーム。主にこの場所でイベントやパーティが開かれる。
コロンビアの名産品であるコーヒーと、本物の牛の角をあしらったコロンビアの伝統工芸品。
コロンビアの名産品であるコーヒーと、本物の牛の角をあしらったコロンビアの伝統工芸品。
黄金伝説(エルドラド)を生んだ先コロンブス期の先住民による金細工のレプリカ。
黄金伝説(エルドラド)を生んだ先コロンブス期の先住民による金細工のレプリカ。
コロンビアの太平洋沿岸にあるチョコという地域に伝わる工芸品。乾燥したヤシの葉で編まれている。
コロンビアの太平洋沿岸にあるチョコという地域に伝わる工芸品。乾燥したヤシの葉で編まれている。
主にフォーマルな食事会に使用されるダイニングルーム。
主にフォーマルな食事会に使用されるダイニングルーム。

家族と過ごす時間が増えた

パルド大使は、奥さまと10歳のご長男、7歳のご長女の4人家族。駐日大使となり、職場と家が同じ敷地内となったことは、パルド大使にとっては大きなメリットだという。

「家族は非常に大切な存在なので、一緒に過ごせる時間が増えたのはとてもうれしいですね。子どもが学校へ行くときも、バス停まで送ることができますし、スケジュールの都合が合えば、大使館から家に戻って子どもたちと一緒に食事することもできます。そういう意味では恵まれた環境と言えますね」(パルド大使)。

家族で使用するダイニングルーム。ガラステーブルはコロンビアから持ってきたという15年前からの愛用品。
家族で使用するダイニングルーム。ガラステーブルはコロンビアから持ってきたという15年前からの愛用品。
飾られているのは、コロンビアの若いアーティスト、レオナルド・ピネダの作品。
飾られているのは、コロンビアの若いアーティスト、レオナルド・ピネダの作品。
コロンビア料理を盛り付ける伝統的な食器。
コロンビア料理を盛り付ける伝統的な食器。
パルド大使が結婚祝いでもらったという銀細工のティーセット。
パルド大使が結婚祝いでもらったという銀細工のティーセット。
パーティなどの催しに対応できる広いキッチン。専属シェフがいるが、大使自身も週末はキッチンに立ち、料理をするという。
パーティなどの催しに対応できる広いキッチン。専属シェフがいるが、大使自身も週末はキッチンに立ち、料理をするという。

2階は家族の居住空間

1階部分は靴を履いたまま過ごすが、2階に上がる階段からは靴を脱いで過ごす日本式に。2階はフォーマルな雰囲気の1階部分とは違い、暮らしぶりを感じさせる家族の居住空間となっている。

「私も妻もアートが好きで、大使としてもコロンビアのアートを広めていきたいという気持ちがあります」と話すパルド大使。
代々の大使によって集められてきたコロンビアの絵画や工芸品が飾られている1階に対して、2階にはパルド大使の私物のアート作品が各所に飾られている。

2階にある書斎。絵本作家の奥さまと共同の仕事場となっている。
2階にある書斎。絵本作家の奥さまと共同の仕事場となっている。
パルド大使が気に入っているという吹き抜けの窓。季節によって変わっていく木の葉の色づきを眺めるのが特に好きだという。
パルド大使が気に入っているという吹き抜けの窓。季節によって変わっていく木の葉の色づきを眺めるのが特に好きだという。
最近東京でも展覧会が行われたコロンビアの現代アーティストの作品。
最近東京でも展覧会が行われたコロンビアの現代アーティストの作品。
2階の家族用のリビング。ソファーは20年以上前にアルゼンチンで買った牛革を使って、コロンビアで作ったもの。
2階の家族用のリビング。ソファーは20年以上前にアルゼンチンで買った牛革を使って、コロンビアで作ったもの。
奥さまが描いた絵本『EQUIS(エキス)』。リスのキャラクターが各国を調査するというシリーズ物。
奥さまが描いた絵本『EQUIS(エキス)』。リスのキャラクターが各国を調査するというシリーズ物。
光がたっぷりと入る寝室。私物のベッドは、コロンビアから持ってくるのに苦労したそう。飾られている絵はコロンビアのロレンザ・パネロというアーティストの作品。
光がたっぷりと入る寝室。私物のベッドは、コロンビアから持ってくるのに苦労したそう。飾られている絵はコロンビアのロレンザ・パネロというアーティストの作品。
ご長男の部屋。大好きなスターウォーズのポスターが貼られている。
ご長男の部屋。大好きなスターウォーズのポスターが貼られている。
パステルグリーンを基調としたゲストルーム。普段は子どもたちが楽器の習い事をするときに使用しているという。
パステルグリーンを基調としたゲストルーム。普段は子どもたちが楽器の習い事をするときに使用しているという。

日本とコロンビアの関係をより深める

来日以前、パルド大使は日本についてまったく知らなかったという。
「以前一度だけ日本に来たことがあったのですが、その後、自分が駐日大使になるとは想像もしていませんでした。来日してからは日本の文化も食事もすぐに好きになりました。治安も良く、住み心地も良いので、子どもたちにとっても、非常に良い環境だと感じています」(パルド大使)。

家族とのプライベートの時間と国の代表であるコロンビア大使としての時間をこの家で両立させているパルド大使。最後に今後の展望について伺った。

「古い伝統と最先端を走る現代的な側面、日本はその2つが融合する国だと思っています。そんな日本とコロンビアの関係を、大使として、政治や経済をはじめ、科学技術や貿易の面で、より深めていきたいと考えています。プライベートでは旅行が好きなので、日本のまだ行ったことのない地域に家族で行ってみたいですね」(パルド大使)。

公邸と同じ敷地内にある日本家屋。コロンビアからの来客の際はゲストハウスとしても使われている。
公邸と同じ敷地内にある日本家屋。コロンビアからの来客の際はゲストハウスとしても使われている。
和室から日本庭園を眺める。「コロンビアから来るお客様に日本の畳を体験していただけるのはうれしいです」とパルド大使。
和室から日本庭園を眺める。「コロンビアから来るお客様に日本の畳を体験していただけるのはうれしいです」とパルド大使。