Style of Life

夫婦ふたりの充実した生活空間 パッシブデザインにこだわった
心地よい空間で豊かな日々を過ごす

夫婦ふたりの充実した生活空間 パッシブデザインにこだわった 心地よい空間で豊かな日々を過ごす

人が集まる楽しい家

海と山に囲まれた自然豊かな大磯に住宅を構えて、約2年。グラフィックデザイナーの西田友美さんと農家を営むご主人が暮らすこの家は、これから2人で生活していく上で、人が集まるような空間で楽しい時間を過ごしたいという思いによって生まれた。

「いつかは自分たちの家を持ちたいという夢をずっと持ち続けていたのですが、夢で終わらせるのではなく、ちゃんと実現させようと思い、土地探しから始めました」と話す西田さん。しかし、今の土地に出会うまでには紆余曲折があったという。

「当初は職場の都合上、都内で土地を探していたのですが、どうしても条件の合う良い土地と出会うことができませんでした。そこで一度仕切り直して、主人も私も神奈川県出身ということもあり、神奈川県を中心にして探し始めたところ、出会ったのが大磯でした。かつては別荘地だったこともあり、自然も豊かで、時間の流れがゆっくりしているように感じたことが決め手となりました」と西田さんは振り返る。

玄関を正面に見る。あえてサイドには壁を作らず、開放感のある空間を目指した。
玄関を正面に見る。あえてサイドには壁を作らず、開放感のある空間を目指した。
右を向くと、2階へと続く階段ホールに。
右を向くと、2階へと続く階段ホールに。
開放感のある吹き抜けの階段ホール。2階へ上がる階段の手すりにはアイアンを採用し、モダンな印象を空間に与えた。
開放感のある吹き抜けの階段ホール。2階へ上がる階段の手すりにはアイアンを採用し、モダンな印象を空間に与えた。
シンプルにまとめられた洗面スペース。清潔感を意識して、収納力のあるフラットな三面鏡を採用した。
シンプルにまとめられた洗面スペース。清潔感を意識して、収納力のあるフラットな三面鏡を採用した。
職場が都内にある西田さんと農家を営むご主人のそれぞれの生活リズムを考慮し、玄関からすぐにアクセスできるところに寝室を配置した。
職場が都内にある西田さんと農家を営むご主人のそれぞれの生活リズムを考慮し、玄関からすぐにアクセスできるところに寝室を配置した。
1階の客間兼書斎。右手前には造作の小上がりを設置し、下は収納スペースとなっている。
1階の客間兼書斎。右手前には造作の小上がりを設置し、下は収納スペースとなっている。

パッシブデザインにこだわった心地のよい空間づくり

吹き抜けの階段ホールから2階へ上がると、明るく開放的なLDKが広がっている。
「依頼した建築士の方はパッシブデザインにこだわった設計をしていて、採光や風の抜ける心地よさをとことん追求してくれました。また、経年変化も楽しめるような素材感も大切にしたいという思いがあったのですが、そうした気持ちも全部詰め込んだ設計を提案してくれました」と西田さん。

西田さんご夫妻の希望と建築士の考え方がマッチしたことで生まれたこの居心地のよい空間には、以前の住まいから引き継いだという、ご夫妻こだわりのアンティーク家具が配置されている。
「新築であっても、全部が新しいものだけの家は嫌だったんです。新しいものと古いものが並ぶことで、両方の良さが引き立つんじゃないかなと思っています。そういう意味でも素材感を大切にしたかったんです。椅子や棚など家具を購入する際は、いつも主人と話し合って決めています」(西田さん)。

明るく開放感のある2階LDK。採光を考慮した勾配天井によって空間に動きと広がりが生まれている。
明るく開放感のある2階LDK。採光を考慮した勾配天井によって空間に動きと広がりが生まれている。
キッチンから吹き抜けの階段ホールを見る。左側にはモルタル仕上げのアクセントウォール。
キッチンから吹き抜けの階段ホールを見る。左側にはモルタル仕上げのアクセントウォール。
西田さんが特にこだわったオープンキッチン。造作のカウンターテーブルは栓(せん)の木の一枚板から製作されている。ゲストを招いた際は、このカウンターで料理を振る舞うという。また、キッチンの床はゲストと目線が合うように1段下げている。
西田さんが特にこだわったオープンキッチン。造作のカウンターテーブルは栓(せん)の木の一枚板から製作されている。ゲストを招いた際は、このカウンターで料理を振る舞うという。また、キッチンの床はゲストと目線が合うように1段下げている。
アンティークの収納棚には西田さんの趣味で集めたというお猪口がずらり。
アンティークの収納棚には西田さんの趣味で集めたというお猪口がずらり。
同じく西田さんが趣味として集めている箸置き。「ゲストに料理を出すときには、好きな食器を選んでもらっています」(西田さん)。
同じく西田さんが趣味として集めている箸置き。「ゲストに料理を出すときには、好きな食器を選んでもらっています」(西田さん)。
リビングの窓からは緑豊かな景観が楽しめる。「キッチンから緑が眺められるのは、特に気に入っているポイントです」と西田さん。
リビングの窓からは緑豊かな景観が楽しめる。「キッチンから緑が眺められるのは、特に気に入っているポイントです」と西田さん。

楽しみながら、住まいを育てていく

夫婦2人での充実した暮らしとともに、人との交流も楽しめるような住まいを目指し、実現させた西田さんご夫妻。
「空間の心地よさはもちろん、お互いの生活リズムにあわせた間取りになっていて、都内に住んでいた頃と比べて、本当にストレスを感じずに過ごすことができています。家にいる時間が長い主人も、この家での生活を気に入っているようです」(西田さん)。

ご主人は約10年前に農家として独立。無農薬にこだわり、農地を耕すところから、収穫、配達まで、すべて1人で行なっているという。「家のことについては、農作業に追われて、まだ自分のやりたいことに手をつけられていないと主人は言っていました。私自身も庭をウッドデッキにしてみたいなど、まだまだやりたいことがあります。家づくりは完成がゴールではなく、暮らしながら育てていくものだと思っているので、これから先も夫婦で楽しみながら家づくりをしていきたいです」と微笑む西田さん。その笑顔が、何よりもこの住まいでの豊かな暮らしぶりを物語っていた。

西田邸から、ほど近い場所にあるご主人の農園。
西田邸から、ほど近い場所にあるご主人の農園。
まるで緑のトンネルのような栽培スペースでは、かぼちゃやミニスイカなど、つる性の野菜を宙吊りにして育てている。
まるで緑のトンネルのような栽培スペースでは、かぼちゃやミニスイカなど、つる性の野菜を宙吊りにして育てている。
収穫したばかりの色とりどりの野菜
収穫したばかりの色とりどりの野菜
木の質感が引き立つナチュラルモダンな外観。
木の質感が引き立つナチュラルモダンな外観。