Style of Life

鎌倉山の景色を一望 開放感あふれる大空間で
自然を身近に感じながら暮らす

鎌倉山の景色を一望 開放感あふれる大空間で 自然を身近に感じながら暮らす

緑豊かな環境で信頼できる仲間と家づくり

緑豊かな鎌倉山の高台に新たな住まいを建てた林さん一家。この家には、組織設計事務所で働くご主人と奥さま、5歳の長男、生まれたばかりの次男の家族4人が暮らしている。
「もともと同じ市内の2LDKのアパートに家族3人で住んでいたのですが、いずれは戸建てで暮らすことを考えていました。次男が生まれるタイミングで、本格的に家づくりをスタートさせました」(ご主人)。
豊かな自然環境で子育てをしたいという思いから土地探しをはじめた林さんご夫妻。不動産会社からの紹介で出会ったのがこの鎌倉山の土地だった。
「第一希望は、眺めのいい高台の土地でした。この辺りは風致地区で緑があふれ、昆虫や鳥が集まり、自然とのつながりを感じられる環境です。春には桜並木を望むロケーションも土地選びの決め手となりました」(ご主人)。

家づくりのパートナーとして林さん夫妻が依頼したのは『村上康史建築設計事務所』の村上康史さん。ご主人とは大学院の同期という間柄だ。
「学生の頃から、一緒に大学キャンパスの改修など協働する機会があったため、信頼関係がありました。いい家づくりは自分一人で行うよりも、客観的な意見を取り入れることが大切だと考えていたので、ぜひ村上さんと協働したいと思いました」(ご主人)。

林邸外観。私道に面して「前庭」を広く確保し、子どもの遊び場や近隣住民との交流の場として位置づけた。
林邸外観。私道に面して「前庭」を広く確保し、子どもの遊び場や近隣住民との交流の場として位置づけた。
林邸の特徴の一つである大きな玄関引き戸。開放的な広い玄関スペースがご主人の希望だった。
林邸の特徴の一つである大きな玄関引き戸。開放的な広い玄関スペースがご主人の希望だった。
北側の玄関引き戸を全開にすることで、前庭と室内が連続する空間とした。
北側の玄関引き戸を全開にすることで、前庭と室内が連続する空間とした。
内土間とつながる子ども部屋。建具の位置をセットバックし、縁側を設えた。「親が縁側に座りながら遊んでいる子供を見守る、といった家族の交流の場をイメージしました」(村上さん)。
内土間とつながる子ども部屋。建具の位置をセットバックし、縁側を設えた。「親が縁側に座りながら遊んでいる子供を見守る、といった家族の交流の場をイメージしました」(村上さん)。
階段を軽快なデザインにすることで、北側玄関から南側の裏庭に視線が抜ける。
階段を軽快なデザインにすることで、北側玄関から南側の裏庭に視線が抜ける。
腰をかけられる縁側やスケルトン階段によって、内土間がただの廊下ではなく、コミュニケーションの場としても機能。階段下のドアは寝室へとつながる。
腰をかけられる縁側やスケルトン階段によって、内土間がただの廊下ではなく、コミュニケーションの場としても機能。階段下のドアは寝室へとつながる。

間仕切りをしない一続きの空間

家づくりのコンセプトとして「開放感」と「眺望」をキーワードに挙げたご主人。村上さんとともに、プランを作り上げていった。
1階には内土間と子ども部屋、寝室、水まわりを設置。2階に上がると無柱の開放的なLDKが広がる。2階はワンルームでありながら、スキップフロアによってリビングとダイニングをゆるやかに仕切っている。
「開放感とともに眺望を生かすために、なるべく間仕切りを設けず、一続きの空間となることを目指しました」とご主人。
設計のポイントとなったのは床レベルと屋根形状と村上さんは語る。
「2階ダイニングの床レベルは、眺望を考慮し、崖下にある隣家の屋根を超える高さに設定しました。ただし、2階全体の床レベルをこの高さにしようとすると、1階全体の階高を必要以上に高くする必要があり、コストバランスが悪くなります。そこでリビングや畳スペースの床レベルをダイニングより少し下げ、バランスを取りました。結果として、天井高の違いやらせん状の動線が生まれ、ワンルームながらいろんな性格の場所をつくることができました。また2階に架けた、変形型の方形屋根がこのワンルームを支持することで、室内には柱のない大らかな空間を実現できました」(村上さん)。

2階LDKは開放感溢れる無柱のワンルーム空間。鎌倉山の景色が一望できる。
2階LDKは開放感溢れる無柱のワンルーム空間。鎌倉山の景色が一望できる。
リビング横にはロフトへとつながる小上がりの畳スペースを配置。北側の大開口から、心地よい光が差し込む。
リビング横にはロフトへとつながる小上がりの畳スペースを配置。北側の大開口から、心地よい光が差し込む。
南側の開口部は木製サッシを柱の背面に隠し、すっきりとした印象に。
南側の開口部は木製サッシを柱の背面に隠し、すっきりとした印象に。
1階から吹き抜けを通じてらせん状の動線を意識した林邸。スキップフロアにすることで、ワンルームでありながら、空間がゆるやかに仕切られている。
1階から吹き抜けを通じてらせん状の動線を意識した林邸。スキップフロアにすることで、ワンルームでありながら、空間がゆるやかに仕切られている。
開放的なダイニングキッチン。キッチンは奥さまのリクエストをもとにご主人自らが設計した。
開放的なダイニングキッチン。キッチンは奥さまのリクエストをもとにご主人自らが設計した。
手前の照明はヤマギワのFLOSシリーズ。またキッチンには、イタリアの照明ブランド「FOSCARINI」のペンダントライトを採用。コンクリートの重厚な質感がアクセントとなっている。
手前の照明はヤマギワのFLOSシリーズ。またキッチンには、イタリアの照明ブランド「FOSCARINI」のペンダントライトを採用。コンクリートの重厚な質感がアクセントとなっている。

家族とともに成長する家

林さん一家がこの家で暮らし始めてから約2ヶ月。自然を身近に感じるようになったと夫妻は声を揃える。「リビングのソファに座って、景色を眺めて過ごす時間が特に幸せを感じます」。そう話すお二人の様子からも豊かな暮らしぶりが伝わってくる。

今回の家づくりを振り返り、ご主人は次のように話す。「家族の変化に対応できる空間が妻のリクエストとしてありました。今は子ども部屋や寝室となっている場所も将来的には違った役割を持たせることができるような自由な空間を意識して設えています。そういった意味でも、まだこの家は完成形ではありません。家族の成長とともにこの家も変化し、成長していくのだろうと思います。裏庭はまだ手をつけていないので、ウッドデッキを計画して、前庭と内土間、裏庭が連続する計画にしたいと考えています」(ご主人)。

信頼できる仲間とともに開放感と居心地を追求し、実現させた林邸。可能性に満ちたこの住まいはこれからも家族とともに成長を続けていく。

キッチン裏に設置したご夫妻のワークスペース。閉じた空間ながらも、開口によって閉塞感がやわらぐ。
キッチン裏に設置したご夫妻のワークスペース。閉じた空間ながらも、開口によって閉塞感がやわらぐ。
シンプルな設えの1階寝室。裏庭に面した開口から入る光によって、心地よい明るさに。
シンプルな設えの1階寝室。裏庭に面した開口から入る光によって、心地よい明るさに。
ロールスクリーンで仕切ることによって、畳スペースをゲストルームとしても活用できるようにした。
ロールスクリーンで仕切ることによって、畳スペースをゲストルームとしても活用できるようにした。

林邸
設計 村上康史建築設計事務所+林直毅
所在地 神奈川県鎌倉市

構造 木造

規模 地上2階建て
延床面積 約115㎡