Style of Life
効率を求めたシンプルな住まい ブルーが織りなす心地よさ
家族の思い出が詰まった家
海外リゾートを彷彿させる鮮やかなブルー
東京ディズニーリゾートからほど近い閑静な住宅街で暮らす藤瀬さんご一家。ドバイでの海外生活を経て、2年半前に奥さまの実家を建て替えた。ナチュラルで開放的なアプローチを抜け、玄関の扉を開けると、真っ白な漆喰壁を引き立てる鮮やかなブルーのアクセントウォールやタイルが目に飛び込んでくる。天井が高く、陽光が射し込むサンルームをはじめ、色彩のコントラストが効いた藤瀬邸は海外のリゾートを感じさせる心地良さがある。
「夫の仕事の都合で数年間ドバイに住んでいました。その間、ヨーロッパなどへの旅行も多く、特にスペインがお気に入りでした。もともとハワイが大好きだったり、アメリカ生活が長かった両親の影響もあるかもしれません。家を建てるにあたり、好きな色や好きなものを選んでいった結果こうなったという感じですね」。
ジャンルやテイストにとらわれず、ご夫妻の感性で生まれた空間といえそうだ。
設計を依頼したのは、坂野由典建築設計事務所。
「こだわりの強い建築家の方が多い中、坂野さんはフラットな思考の方で、私たちの意見をしっかり受け止めて形にしてくれました。海外で勉強を積み、さまざまな国の建築にも詳しい方なので信頼できましたね」(奥さま)。
フレキシブルで合理的な家
建築家の坂野さんへのリクエストは、「どこにいても人の気配のするオープンな家」、また「変化していける家」であった。
「私も夫も効率主義。開け閉めで指を挟む可能性のあるドアはいらない、廊下もいらないと伝えました。ドアがあるのは2階のトイレくらいです。いまは子どもが小さいので、私が居る時間が最も長いキッチンから子どもがどこにいても見えるようにとお願いしました。また、年を重ねたら1階で生活を完結させたいと思っているので、2階スペースは最小限に。ライフステージに応じて変化できるよう壁を極力減らしてもらいました」。
その合理的で実用的な考え方は、収納にも表れている。
「外国ではファミリークローゼットが一般的で、家族の物を一か所に集めていてとても便利でした。今回もそれを採用し、家事動線を考えて配置。とてもラクなうえ、時短で家事がこなせます」。
引っ越しが多く、ご両親の遺品整理の苦労もあったとのことで、「物を減らしたい」と強く思っていたとも。
「仕舞い込むと使わず、溜め込んで、物が増える一方なので、思い切って扉はつけずにあえて“見える収納”にしました。奥行のある棚は作らず、取り出しやすいよう工夫しています」。
家族のつながりを生むDIY
「家具は少しずつ揃えています。ジャンルやブランドにこだわらず、家の雰囲気に合わせつつも機能的なものを選んでいます」と話す奥さま。生活しながら必要になった家具は、ご主人が作製しているものも多いという。
「木でできているものはだいたい作っていますね」と笑うご主人。
リビングのテレビ台や子ども用の勉強机、サイドテーブル、子ども部屋のレゴルームなど目につく木製の家具はほとんどご主人が手掛けている。
「ぴったり収まるようにミリ単位でお願いできるので、とてもありがたいですね」と奥さまからも大好評。
「母親がなんでも作る人だったので、その影響もあって、小さいころから“ものづくり”が好きでした。作れそうなものは、まずはチャレンジしてみますね。義父もDIYが趣味でたくさんの道具があったので気に入ったものは引き継いで使わせてもらっています」。
ガレージの奥は、ご主人の“ものづくり”のスペースと化している。
「雨天問わず作業ができるので使い勝手がいいですね。リビングとも窓越しにつながっているのでお互いの様子もわかります。子どもたちもよく手伝ってくれますね」。
オープンな間取りにより、家族が自然と触れ合える時間が増えたと話す。
亡くなったご両親が大切にしていたものをさりげなく飾ったり、活かしたりと、つながりを大事にしながら自由な発想で暮らしている藤瀬さん夫妻。「模様替えを楽しみながら、いろいろな暮らし方を試していきたいですね」とお2人。今後もライフステージに合ったオリジナルのスタイルを楽しんでいかれることだろう。
藤瀬邸
設計 FUJISE + YOSHINORI SAKANO ARCHITECTS
所在地 千葉県浦安市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 103.63㎡(車庫含まず)