Style of Life

アンティークな箱との出会い古いものが映える
都会のガレージハウス

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“アンティークな箱”に合う家を

東京・新宿とは思えないほどの静かな住宅街に、Sさん夫妻と愛犬2匹が暮らす家がある。この家を建てる原動力となったのは、ある家具との出会いだった。「妻も私も、もともと家具屋や雑貨屋などのお店巡りが好きで、よく目黒通り周辺を見て回っていたんです。あるとき目黒のアンティークショップで出会ったのがこの“箱”。2人とも一目惚れして、衝動買いしてしまいました」とご主人。また、奥さまも、「それまでリビングで使っていたガラステーブルをもっと味のあるものにしたかったので、この“箱”をリビングのローテーブルとして使いたいと思ったんです。でも、以前住んでいたマンションでは雰囲気が合わなくて。この“箱”に合う家を造りたいね、と2人で話すようになりました」と当時を振り返る。

その“箱”とは、アンティークの船旅用の大型トランク。150年前のイギリス製で、重厚感のあるボディに使い込まれたレザーや金具の風合いなど経年のダメージがなんともカッコイイ。もともとアンティークやヴィンテージに興味があったご夫妻。都会的ではあるが、“古いものが映える家”をコンセプトに家づくりがスタートした。


「2人がゆったり座れるソファを選びました」という大型のソファは、建設途中にお台場の家具屋で購入。ローテーブルとして使用しているアンティークのトランクともぴったり。奥さまが独身時代から飼っているソラくん(7歳・右)と、結婚後に飼い始めたマメくん(5歳・左)と共に、ソファで過ごすことが多いそう。
「2人がゆったり座れるソファを選びました」という大型のソファは、建設途中にお台場の家具屋で購入。ローテーブルとして使用しているアンティークのトランクともぴったり。奥さまが独身時代から飼っているソラくん(7歳・右)と、結婚後に飼い始めたマメくん(5歳・左)と共に、ソファで過ごすことが多いそう。
家づくりのきっかけになったアンティークの“箱”。150年前のイギリス製。「アンティークならではの使い込まれた雰囲気に魅かれます」(ご主人)
家づくりのきっかけになったアンティークの“箱”。150年前のイギリス製。「アンティークならではの使い込まれた雰囲気に魅かれます」(ご主人)
リビングの奥の階段を上がるとサンルームが。「花粉症なので、室内干しのスペースをリクエストしました」(奥さま)
リビングの奥の階段を上がるとサンルームが。「花粉症なので、室内干しのスペースをリクエストしました」(奥さま)
サンルームの下に設けたスペースは秘密基地のよう。「趣味は読書」という奥さまの書斎として使う予定。
サンルームの下に設けたスペースは秘密基地のよう。「趣味は読書」という奥さまの書斎として使う予定。
 
全開口型サッシでリビングからひと続き。「人を招くときは、ベランダの片隅で燻製を作ることもあります」とご主人。
全開口型サッシでリビングからひと続き。「人を招くときは、ベランダの片隅で燻製を作ることもあります」とご主人。


この辺りは防火地域のため、重量木骨の耐火建築になっている。窓のないシンプルなファサードを希望。左側のアプローチの奥が玄関。
この辺りは防火地域のため、重量木骨の耐火建築になっている。窓のないシンプルなファサードを希望。左側のアプローチの奥が玄関。

お気に入りの照明やパーツを持ち込んで

「設計会社は直感で決めました」とは奥さま。「インターネットを見ていて、私たちの好きなテイストの作品が多く、イメージが伝わりそう」と、すぐに電話し、即日打合せをしたお相手が、株式会社ホープスの清野廣道さんだ。「初めてお会いしたときから、私たちのやりたいイメージをすぐにキャッチしてくれました。あまりの伝わりやすさに驚いたほどです」とご主人。
アンティークのトランクだけでなく、照明、タオルかけなどのパーツ、壁の塗料など気に入ったものを見つけると、“○○に使って欲しい”とご夫妻の方から持ち込んだという。「今回は何が出てくるのか、毎回それが楽しみでもありました」と当時を思い出して笑う清野さん。「そのたびにお2人のセンスの良さを感じましたね。こちらはお2人のこだわりや希望をヒアリングして、あれもしたい、これもしたいと広がるイメージを整理し、引き算していく作業でした。暮らしながら、お2人が自由に雰囲気を造っていけるように、シンプルな家を造ることを心掛けました」(清野さん)。


真っ白い壁や天井にパイン材の造作家具が映え、あたたかい印象。「カフェっぽくしたかったので、レール式の照明を希望しました」(奥さま)
真っ白い壁や天井にパイン材の造作家具が映え、あたたかい印象。「カフェっぽくしたかったので、レール式の照明を希望しました」(奥さま)
2階の寝室。「寝室の壁はこの落ち着くブルーにしたかった」と、奥さま自らブルーの塗料を提供。一面だけ塗られている。
2階の寝室。「寝室の壁はこの落ち着くブルーにしたかった」と、奥さま自らブルーの塗料を提供。一面だけ塗られている。
ヴィンテージ感を盛り上げるエジソンランプもご夫妻の持ち込み。
ヴィンテージ感を盛り上げるエジソンランプもご夫妻の持ち込み。


将来は子どもも使用できるようにと大きめのファミリークローゼットを設置。奥さまが提供した星型ライトがキュート。
将来は子どもも使用できるようにと大きめのファミリークローゼットを設置。奥さまが提供した星型ライトがキュート。
人間用と犬用を分けて洗濯するため、最初から洗濯機2つ分のスペースをリクエストした。
人間用と犬用を分けて洗濯するため、最初から洗濯機2つ分のスペースをリクエストした。


さわやかな印象の2階のトイレ。「海っぽくしたくて」とブルーのクロスを提供。トイレホルダーも奥さまが用意した。
さわやかな印象の2階のトイレ。「海っぽくしたくて」とブルーのクロスを提供。トイレホルダーも奥さまが用意した。
洗面ボウルもご夫妻でセレクト。奥の真鍮のタオルかけも奥さまがインターネットで購入したもの。
洗面ボウルもご夫妻でセレクト。奥の真鍮のタオルかけも奥さまがインターネットで購入したもの。


建築家が探し当てた家具屋でオーダー

S邸の大型家具は、家の雰囲気に合わせた造作家具が設えてある。清野さんが目黒通り周辺の家具屋を20軒近く探しまわり、「ここならお2人のイメージに合うものを造ってくれると確信した」という職人気質の家具屋を紹介。Sさん夫妻もとても気に入り、寸法やデザインの相談に入ったという。

「月に1回は人を招いていますね」というご主人。ダイニングテーブルは、アンティークのチャーチチェアが6脚置ける大きめサイズを希望した。また、パーティーのときには料理好きなご主人もゲストに料理をふるまうため、キッチンには大きな作業台を設けた。

完成した造作家具は、ヴィンテージ風の味があり、アンティークのトランクとも自然になじむ。Sさん夫妻のイメージどおりだったという。感性の合う建築家との出会いがあったからこそ、これらの家具が生まれたといえるだろう。


広々としたキッチンの作業台。パーティーのときには、ご主人のおもてなし料理が並ぶ。また、「コーヒーを淹れるのも好き」と多趣味なご主人。休日は、合羽橋で買い揃えたグッズで奥さまにふるまうことも。
広々としたキッチンの作業台。パーティーのときには、ご主人のおもてなし料理が並ぶ。また、「コーヒーを淹れるのも好き」と多趣味なご主人。休日は、合羽橋で買い揃えたグッズで奥さまにふるまうことも。
造作のダイニングテーブル。背面に聖書を入れるスペースがついたチャーチチェアは、築地近くのアンティークショップで購入。
造作のダイニングテーブル。背面に聖書を入れるスペースがついたチャーチチェアは、築地近くのアンティークショップで購入。
作業台の下には犬用のケージを。最初からそのスペースを考慮してサイズを決め、設えた。
作業台の下には犬用のケージを。最初からそのスペースを考慮してサイズを決め、設えた。
TV台も造作。扉を閉じたままリモコンが反映するよう計算して作製された。「キャスター付きで掃除がしやすい」と奥さま。
TV台も造作。扉を閉じたままリモコンが反映するよう計算して作製された。「キャスター付きで掃除がしやすい」と奥さま。


「同じパイン材で作製した棚を、新築祝いとして家具屋さんからいただきました」(ご夫妻)
「同じパイン材で作製した棚を、新築祝いとして家具屋さんからいただきました」(ご夫妻)
「食洗機の臭いが苦手」(ご夫妻)と、食器乾燥機を設置。昇降機能付きなので、「来客のときはすぐに隠せて便利です」(奥さま)
「食洗機の臭いが苦手」(ご夫妻)と、食器乾燥機を設置。昇降機能付きなので、「来客のときはすぐに隠せて便利です」(奥さま)
アーチ型の入り口の奥がパントリー。キッチンから丸見えにならないように扉を設置。
アーチ型の入り口の奥がパントリー。キッチンから丸見えにならないように扉を設置。
階段側に窓を設けることで明るいキッチンに。将来、子どもが階段を上がってくるのが見えるようにという狙いも。
階段側に窓を設けることで明るいキッチンに。将来、子どもが階段を上がってくるのが見えるようにという狙いも。


念願のビルトインガレージ

家を建てるにあたり、ご主人が熱望したのがビルトインガレージ。すぐ隣には書斎を設け、大好きな車を見ながら好きなことができる、まるで隠れ家のようなスペースになっている。「休日はコーヒー片手に、ここに籠ることも多いですね。最近凝り始めたアウトドアグッズの手入れをしたり、雑誌を読んだり。気ままに過ごす時間が心地よいです」(ご主人)

一方、読書好きでインドア派の奥さまは、「犬と一緒にリビングで過ごすことがほとんど」と話す。「男くさいものをガレージの1か所にまとめ、ほかの共有スペースは私のこだわりも反映されています」と奥さま。「邪魔にならない程度に増やしている」という植物がさりげなく飾られ、真っ白い壁にはリゾート風の装飾、アーチ型のニッチには季節を意識したものが並ぶ。奥さまの女性らしい細やかな配慮が随所に感じられる。

光がたっぷり入る真っ白なモダンな空間に、アンティークの古い物が美しく映え、落ち着きと心地よさを生み出しているS邸。古いものと新しいものを上手に組み合わせながら、お2人らしい住まいづくりを愉しまれていくことだろう。


念願のビルトインガレージでの時間を満喫しているご主人。
念願のビルトインガレージでの時間を満喫しているご主人。
ガレージの奥が書斎。このようなスタイルで過ごすことも多いそう
ガレージの奥が書斎。このようなスタイルで過ごすことも多いそう。


玄関脇にはシューズクロークとニッチを設置。アーチ型は奥さまのリクエスト。ニッチには夏らしいマリンテイストのオブジェが。
玄関脇にはシューズクロークとニッチを設置。アーチ型は奥さまのリクエスト。ニッチには夏らしいマリンテイストのオブジェが。
白と黒のボックスに分けて整然と並べられた靴。中身がわかるように写真を付けて。
白と黒のボックスに分けて整然と並べられた靴。中身がわかるように写真を付けて。
シューズクロークの奥に並んだ、ワンちゃんたちの外出着が可愛らしい。
シューズクロークの奥に並んだ、ワンちゃんたちの外出着が可愛らしい。


ハンギングプランターなどを使用してカフェ風にグリーンを効かせている。
ハンギングプランターなどを使用してカフェ風にグリーンを効かせている。
玄関のアンティークな鏡は奥さまの持ち込み。椅子はダイニングテープル等と同じパイン材の造作。
玄関のアンティークな鏡は奥さまの持ち込み。椅子はダイニングテープル等と同じパイン材の造作。


キックボクシングをしているというご主人は、ここで日々トレーニングを積んでいるそう。現在は友人たちの宿泊スペースでもあるが、将来は子ども部屋にする予定。
キックボクシングをしているというご主人は、ここで日々トレーニングを積んでいるそう。現在は友人たちの宿泊スペースでもあるが、将来は子ども部屋にする予定。

S邸
設計 株式会社 ホープス
所在地 東京都新宿区
構造 木造(SE構法)
規模 地上2階
延床面積 130m2