Style of Life
フランス流、布使いで完成優雅さを極めた
ヨーロッパ風邸宅
白で統一したフレンチ空間
真っ白な部屋に、繊細な光を放つシャンデリア。自由が丘で洋裁教室を営む、佐藤壽乃さんの自宅は、見事なほどに美しい、端正な空間だ。
「教室を開ける一軒家を探していたのですが、フランスっぽい雰囲気にしたいなと思っていました。もともとここは輸入住宅で、天井の高さや、窓枠などが洋風だったのが気に入って、リフォームすることにしたんです」
外壁や床などは、部屋を広く見せ、ものが映える白でペインティング。壁には段差をつけるモールディングを施した。
「こうするだけで、ぐっとフランスっぽくなるでしょう?」
2部屋あったところをワンルームにつなげた広々としたリビング&ダイニングには、チェンバロが。天窓からは明るい光が差し込み、パリの豪奢なアパルトマンのような雰囲気だ。
西欧のインテリアを参考に
「洋裁教室で使う生地を仕入れに、年に3~4回、フランスを中心にヨーロッパに行っています。でも、洋裁だけではなくて、インテリアをお見せすることもレッスンのひとつだと考えているんです。だから、雑貨や小物なども、向こうでいいと思うものを見つけたら買って来ます。インテリアがずっと同じだと飽きられてしまうので、少しずつ部屋を変化させていくことを考えていますね」
レッスン前のウェルカムドリンク、レッスン後のティータイムも大切に考え、おもてなしの雰囲気をトータルに楽しんでもらいたいという佐藤さん。この日も、美しくセッティングされたテーブルが、空間を華やかに彩っていた。
「フランスでは日本ブームですが、私も今、茶道などの“和”に興味があって。このプレートは日本の瓦を使ったものなのですが、フランスで買ってきました。逆輸入ですよね」
漆黒のプレートが色鮮やかなスイーツを引き立てる。フランスを中心に、イギリスのアンティーク市で買った銀食器、イタリアの陶器など、思い出のある食器は出窓などにもディスプレイされ、インテリアの一部としても活躍。
「旅先で買ってきたものは多いです。リビングのシャンデリアはベネチアで買って、1年かけて船で運んだものです。でも、ダイニングテーブルの上のシャンデリアは実はIKEAだし、自由が丘の雑貨屋さんでたまたま見つけて買った照明や、ネットで買った照明などもありますよ」
ブランドや値段にはこだわらない。いいと思ったものをチョイスできる審美眼が、この空間を支えているようだ。
布使いで部屋をデコレーション
オープンキッチンは整然と片付けられ、生活感を感じさせない。
「キッチンはエレガントな雰囲気を出したいと思って、壁紙を貼りました。お客さんが多いので、なるべくものを出さないようにしています。吊り戸棚も開けた時に中が見えると白けるじゃないですか。だから、目隠しできるように、カーテンを作ってかけました」
カーテンの生地は、パリ近郊のジュイ地方で織られている伝統的な生地、“トワル・ド・ジュイ”。繊細な柄を入れた織りが、佐藤さんのお気に入りだとか。テーブルクロスなどもこの生地を使って作成。
「布ものはほとんど手作りです。部屋のカーテンは、ベネチアで泊まったホテルでいいな、と思ったものを参考に、見よう見真似で作ってみました。ダイニングの椅子カバーも手作り。でも、今はネオ・クラシックなものに変えたいなと思っていますが」
もてなしの心を大切に
イメージを形にする裁縫の技は、お手のもの。隙がなく洗練されていながら居心地のいい雰囲気は、佐藤さんのこだわりと、もてなしの心にあるのかもしれない。
「夫も娘も私も、音楽が好きなので、お客様がいらしたときは、チェンバロを弾いたりしています。旅先の話をしたり、ヨーロッパでよく体験しているホームステイ先での経験をお話したり、お客様も生徒さんも楽しんで頂いていますね」
サロンのような洗練された邸宅に、優雅な時間が流れていく。