こだわりのキャットハウスが完成子育てを愉しむ家族とともに成長する家

こだわりのキャットハウスが完成子育てを愉しむ
家族とともに成長する家

防火地域ゆえの制限

下町的な情緒が残る都内の住宅街。もともと祖父の家が建っていたこの地に、二世帯住宅を建てた一級建築士の今野暁史さん。「このあたりは防火地域のため、3階建て以上もしくは100 m2 を超える建物は耐火建築物にしなくてはいけないという制限があります。コストや地盤などを考えて、建物を2棟に分け、それぞれ2階建てで100 m2 以下に抑えることに。隣居スタイルの二世帯住宅にしたのです」
今野さんと妻の恵理子さん、花梨ちゃん(8歳)、ロシアンブルーのひめちゃん(1歳半・メス)が暮らす建物は、延床面積99.41 m2 。見事に100 m2 ギリギリに抑えられている。

1階は、リビング、ダイニング、キッチンがひとつながりになったワンルーム。リビングは一段下げることで天井高3mの開放的な空間になっている。ダイニングは逆に天井を下げて、おこもり感を演出。壁を作らず、天井や床の高さに変化をつけて緩やかにゾーニングしているため、広々とした印象に導いている。

南側には高層マンションが建つが、家の中にいるとそれを全く感じさせない。「マンションと隣接するところには2層式の駐輪場があります。それが視界に入らないよう配慮しました。面積の狭さをカバーするために、視線が抜けて奥行きを感じられるよう設計しています」

南側は閉じて高窓を設け、大きく開いた西側の窓からは姉世帯と共有の庭が眺められるようにした。キッチン脇や階段下などにも窓が設けられ、気持ちよく視線が抜ける仕掛けになっている。


一段下げたリビング。ダイニングの奥がキッチンで、サイドの窓へと視線が抜ける。

一段下げたリビング。ダイニングの奥がキッチンで、サイドの窓へと視線が抜ける。

マンションの駐輪場を視界に入れないよう南側(正面)は高窓に。西側の大きな窓に面する共有スペースの庭が心地いい。

マンションの駐輪場を視界に入れないよう南側(正面)は高窓に。西側の大きな窓に面する共有スペースの庭が心地いい。

オブジェのように美しいスケルトン階段。階段下の窓越しに、猫のひめちゃんが野良猫とご対面することも。

オブジェのように美しいスケルトン階段。階段下の窓越しに、猫のひめちゃんが野良猫とご対面することも。

スケルトン階段は、花梨ちゃんの読書スペースにも。

スケルトン階段は、花梨ちゃんの読書スペースにも。

低めの天井が落ち着く空間に。今野さんの仕事の打ち合わせや花梨ちゃんの勉強スペースとしても活用。

低めの天井が落ち着く空間に。今野さんの仕事の打ち合わせや花梨ちゃんの勉強スペースとしても活用。

左が今野邸、右が姉世帯の家。外観は統一し、一見、一棟の建物のよう。

左が今野邸、右が姉世帯の家。外観は統一し、一見、一棟の建物のよう。


北欧アンティーク家具を主役に

フィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトが好きという今野さん。インテリアコーディネーターの恵理子さんとは新婚旅行で北欧4か国をまわり、一昨年はご家族でフィンランド旅行をされたという。インテリアは「北欧アンティークの家具を中心に」というのはご夫妻で意見が一致した。「北欧家具を多く輸入している家具屋と設計段階から相談し、図面に反映しました。サイズやデザインの希望を出して、買い付けの際に探してもらったのです」

玄関脇に置かれたサイドボードやダイニングのドローリーフテーブルなど程よく使い込まれた味わいのある北欧アンティーク家具が、明るすぎない空間になじむ。家具のチーク材に合わせて床材もチーク材に。造り付けの収納部分はラワン材をチークっぽく着色した。テイストを揃え、落ち着いた雰囲気に仕上げている。

チーク材の床もリビングの土間も、すべて深夜電力で蓄熱した床暖房を採用。朝起きたとき、帰宅したとき、いつもあたたかくて快適という。


玄関とリビングをゆるやかに区切る、間仕切りとしてリクエストしたサイドボード。デザインが少し異なるのがポイント。

玄関とリビングをゆるやかに区切る、間仕切りとしてリクエストしたサイドボード。デザインが少し異なるのがポイント。

すっきりした脚がお洒落なアンティークのテーブル。書斎の造作もテイストを揃えた。

すっきりした脚がお洒落なアンティークのテーブル。書斎の造作もテイストを揃えた。

キッチンは手元が見えないようオーダー。奥の造り付け収納も家具との統一感を考えた。飾り棚には北欧の器を中心にディスプレイ。

キッチンは手元が見えないようオーダー。奥の造り付け収納も家具との統一感を考えた。飾り棚には北欧の器を中心にディスプレイ。


娘と猫のための部屋が登場

子どもが生まれる前に建て、今年9年目を迎える今野邸。「そろそろ娘を一人で寝かせようと思い、“がらんどう”だった子ども部屋のリノベーションに着手しました。もともと2つに分けることを想定していた部屋のため、娘一人では広いと思い、娘と猫の部屋ということで考えました」

ツリーハウスをイメージした二段ベッド式のキャットハウスは今野さんのアイディア。猫の行動を観察し、猫の習性や好む素材をチェックしたうえで設計し、家具屋へ発注したという。キャットハウスだけでなく、クローゼット上のオープン棚から壁面収納へと“キャットウォーク”も設けた。

こうして、この夏完成したキッズ&キャットルーム。「妻にはやりすぎだと笑われましたが、娘は飛び上がって喜んでくれました」と、今野さんもとびっきりの笑顔で語ってくれた。「猫とベッドで一緒に寝たり、籠って遊んだり。猫と戯れることでの子どもの成長が楽しみです」


今野さんがデザインしたキャットハウス、花梨ちゃんの机やピアノが入り、がらんどうだった子ども部屋が一変。花梨ちゃんが「カントリーロード」を披露してくれた。

今野さんがデザインしたキャットハウス、花梨ちゃんの机やピアノが入り、がらんどうだった子ども部屋が一変。花梨ちゃんが「カントリーロード」を披露してくれた。

白樺の木に麻縄を巻いたり、羽目板をDIYしたりと、今野さんのこだわりはとどまるところを知らない。

白樺の木に麻縄を巻いたり、羽目板風にDIYしたりと、今野さんのこだわりはとどまるところを知らない。

冬バージョンになったばかりの、モフモフのハンモックが気に入った様子のひめちゃん。

冬バージョンになったばかりの、モフモフのハンモックが気に入った様子のひめちゃん。


壁面収納も猫の習性を考え抜いてデザインした。丸く穴をあけたくぐり穴や段差を付けた棚など、ひめちゃんも楽しそう。

壁面収納も猫の習性を考え抜いてデザインした。丸く穴をあけたくぐり穴や段差を付けた棚など、ひめちゃんも楽しそう。

上段は花梨ちゃんのベッド。奥のクローゼットの上から壁面収納へとキャットウォークに。

上段は花梨ちゃんのベッド。奥のクローゼットの上から壁面収納へとキャットウォークに。


リビングと一体化した“おかえり玄関”

共働きで家事を分担しているご夫妻。効率よく家事をこなせるようにした工夫が随所にみられる。収納をたっぷり取り、適材適所の収納を恵理子さんが考えた。「娘といる時間は、夫のほうが長いかもしれませんね」と話す恵理子さんは、出産後1年半で職場復帰。自宅で仕事をしていた今野さんが、帰宅する花梨ちゃんを出迎えてきた。リビングの一角を書斎としている今野さん。「子どもが帰宅したら一旦仕事をやめ、子どもが寝てから再開します」という。

今野さんが“おかえり玄関”と呼ぶ、リビングと一体化している玄関は、帰宅したときの花梨ちゃんのそのままの表情が自然とうかがえ、学校で何かあったかな、などと敏感に感じ取れるという。

「子どもの小さい時期に一緒に居て成長を見たかったので、その願いが叶ったことが嬉しいですね。これからも家族の成長に応じて、そのときどきで家族で相談しながら変化していけたらいいなと思います」


大きな窓の右側が“おかえり玄関”。リビングと一体化しているため、家族の帰宅時に、すぐに目が届く。

大きな窓の右側が“おかえり玄関”。リビングと一体化しているため、家族の帰宅時に、すぐに目が届く。

現在は、リビングの一角を書斎にしている今野さん。造り付けの収納やデスクがリビングにマッチし、違和感がない。

現在は、リビングの一角を書斎にしている今野さん。造り付けの収納やデスクがリビングにマッチし、違和感がない。

子ども部屋の前の廊下には壁一面に本棚を設置。「今は夫婦の趣味のもので埋め尽くされていますが、それに娘が興味を持ちつつ、娘自身のものに変化していくことが楽しみです」(今野さん)

子ども部屋の前の廊下には壁一面に本棚を設置。「今は夫婦の趣味のもので埋め尽くされていますが、それに娘が興味を持ちつつ、娘自身のものに変化していくことが楽しみです」(今野さん)

ガラス貼りの明るいバスルーム。洗面時や家事をしながら会話が弾むという。

ガラス貼りの明るいバスルーム。洗面時や家事をしながら会話が弾むという。


コンパクトにおさまったサニタリールームの収納。恵理子さんが適材適所の収納を考えて設置。

コンパクトにおさまったサニタリールームの収納。恵理子さんが適材適所の収納を考えて設置。

洗濯機まわりの作業スペース。作業台や仮掛けバーなど使い勝手を熟慮している。

洗濯機まわりの作業スペース。作業台や仮掛けバーなど使い勝手を熟慮している。


2階の洗面台は、脚を付けて北欧家具風に造り付けた。

2階の洗面台は、脚を付けて北欧家具風に造り付けた。

階段の下は大容量の収納スペース。奥行が深いため、前後に分け、可動式とした。

階段の下は大容量の収納スペース。奥行が深いため、前後に分け、可動式とした。

今野邸
設計 AkatukiDesign一級建築士事務所
所在地 東京都荒川区
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 99.41 m2