Architecture
“余裕”を楽しむ家開放感、巣ごもり感、
多様な居心地を楽しむ
人が気持ちよく暮らす家は猫も大満足
4人家族が暮らす家が8年前に竣工。隣が生産緑地になっていることもあり、見晴らしと風通しが抜群。
この気持ちの良いロケーションを活かしながら、奥様の“狭くて暗い小さな部屋に籠もるのが好き”という好みと、海外で長く暮らした家族が世界各地で買い求めた思い出の多い家具を置く場所が家のそこここに作られている。開放的な場所があれば、籠もる場所もあり、ホッとできる古家具の居場所もある。用途をはっきり決めない場所は家の余裕となり、それぞれのバランスが抜群に心地よい。
そんな住まいに、5年前、2匹の猫がやってきた。
「獣医さんに診ていただいたらノルウェージャンフォレストキャットと言われたのですが、実は赤坂で拾った捨て猫です」
風通しのいい場所で寝そべったり、穴蔵に入り込んだりと、キャットウォークを歩きながら家の中の気持ちのいい場所を見つけるのが得意な猫たちは、すぐに家に溶け込んだ。
「猫のために建てた家ですか? とよく聞かれます(笑)」
気持ちのよい場所にバスルームを
家の中で一番日当たりの良い2階にバスルームを作った。テラスとバスルームのデッキがつながっていて、そのデッキの一部にバスタブが埋まっている形だ。バスタブにカラダを沈めて、低い位置から見上げる空が気持ちいい。
「お月さまを見ながらのお風呂タイムが最高です」
このデッキは猫たちのお気に入りなのだそう。取材チームがお邪魔したこの日も、デッキでまどろんだり、バスタブの隣で寝転んだりと、暖かな日差しを楽しんでいた。
色やテクスチャーの変化を楽しむ
「壁がまっ白な明るすぎる家より、味があって薄暗い家が好きなんです」と奥様。家の中にあえて小さな空間を作り、色やテクスチャーで遊んでいる。
玄関脇の小さな三角天井の部屋は、自分たちでピンク色に塗装。2階のトイレはオレンジ色の壁紙を貼った。階段の踊り場のペンダントライトからは、周りのコンクリート打ち放しに色の光が落ちる。
お嬢さんの部屋は、ひとつだった子ども部屋を仕切って独立した部屋にしたばかりなのだそう。勉強机の前の壁は木をブロック状にはめ込み、勉強に集中できる環境になった。
見晴らしのいい屋上でゴロリ
敷地の隣が生産緑地になっていることもあり、屋上の見晴らしは最高。
「夏はここにプールを置いて遊びました」
我々取材チームが上ってくることを見越していたかのように、屋上に上がる階段で猫ちゃんが日向ぼっこをしていた。屋上に上がるとすかさず後をついてきてデッキでゴロン。
リビングからバスルーム、屋上まで、猫ちゃんが気持ちのいい場所の案内係を買って出てくれた、楽しい取材になった。