DIY
古道具ありきのカフェ風空間造り上げることが悦び
創作を楽しむ家
古道具がなじむ空間に
木を活かした造りに、味のある古道具。カフェのような温かな空間は、夫婦ふたりで作り上げていったもの。
「古いものが好きなので、内装は古道具ありきで考えました。この家に越して来た時、まず最初に主人が古道具に合わせて白い棚を造ったんです。やってみたら自信がついて、それからリフォームしたり家具を手作りしたりして、手を加えていきました」
そう語るのは、アクセサリーやプリザーブドフラワーを使った雑貨を製作、販売する鈴木ともえさん。6年前の購入当時、築20年だった物件を、ほとんどふたりだけの力で改装。その創作力を活かし、アイデア満載のオリジナル空間を造っていった。
力を合わせてリフォーム
リビングの床は、パイン材の板を購入して、1枚1枚カットして張るところから着手。
「電動ノコギリで板を切って張るのが主人、仕上げオイルを塗布するのが私(笑)。当時2歳だった長男も手伝ってくれましたよ」
真っすぐにカットされ、隙間なく埋め尽くされた床はプロ並みの仕上がり。
「子供がまだ小さかったので、仕事をしていても目が届くようにしたいと、リビングの隣の和室を改装して、アトリエにしました」
壁はリビングと同じく漆喰に。襖は取り外し、板を張って白く塗装。灯り取りのため、小窓分のスペースを開け、古い窓枠を入れてアンティークのガラスをはめ込んだ。
ゆずってもらったガラスの引き戸はサイズがあわなかったのだが、木を継ぎ足して調整し、ぴったりと収まるように作り替えた。押し入れだったところはトタンの板に張り替え。マグネットをつけて遊びつつ、実用的に活用もできるようにした。
「仕事用の材料や道具などがたくさんあって収納に困るので、主人に棚を作ってもらいました」
鴨居の上部に取り付けられた棚は、古材を使って作成。作業道具の収納棚は、壁に取り付けた枠に可動式の棚板をはめ込むだけのものだが、そのアイデアが楽しい。
「いつも考えるのは私で、作るのは主人なんです(笑)。時間はかかるのですが、リクエストしたものを必ず作ってくれるので、有り難いですね」
アイデアが楽しいインテリア
ともえさんのもの作りのアイデアは、あちこちに活かされている。カーテンレール代わりにワイヤーを張り、クリップで止めただけのカーテン、釘を壁に打ち付けて、木枠を引っ掛けて作った棚や額縁…。そこに古道具やアンティークの雑貨をアレンジした空間が、味を出している。
「以前、花屋に勤めていたのですが、当時からただ花を鉢に植えるというのは好きじゃなかったですね。空き缶を錆びさせて鉢替わりにするなど、色々とアレンジするのが好きでした」
古いものを再利用するアイデアと、手作りの温かさがこの家の魅力となっている。
暮らしとともに変わる楽しみ
キッチンは、船で使われていた古木を天板にし、鉄の脚を組み合わせたダイニングテーブルに合わせて、黒板塗料で背面塗装したカウンター兼食器棚を手作りした。お気に入りのダイニングで、鉄瓶で入れたお茶を飲んだり、家で浸けた梅酒やレモン酒を楽しんだり。仕事以外の時間も、ともえさんは大切にしている。
「アトリエの廊下側に窓をつけたいなとか、庭をどうしようかとか、気になるところがどんどん出てくるので、いつも次のプランを考えています。とりあえず今は、子供の大きくなった靴を入れる下駄箱が欲しくてリクエスト中。主人の製作待ちです。完成までに3年くらいかかるかもしれませんが」
少しずつ出来上がっていく時間を、ゆっくりと待ちながら楽しんでいる。
「子供も成長していくし、暮らしも趣味も変わっていきます。それに合わせて自分たちで作り変えていくことが楽しいし、ずっとそんな風に暮らしていきたいですね」