Family
3人兄弟の笑い声に満ちるハンドメイドが住まいを彩る
アトリエ併設の3階建て住宅
自作のオブジェがお出迎え
シンプルなキューブ型の外観がどこかユーモラスな昼馬邸。住宅街の小道のつきあたりに位置するため、家の前は視界が抜けて開放的な雰囲気だ。
ファサードでひときわ目を引くのが、家の前にある大きな木製のオブジェ。「実はこれは表札なんです」と笑顔で話す陽一さん。美大の先輩・後輩として出会った陽一さんと絵理さんは、ともに学生のときに鋳金を専攻していた。この大きな表札は、新築時に余ったリビングのフローリング材をいかして、陽一さんが溶接で枠を自作したものなのだそう。
この表札をはじめ、アプローチや室内の各所に二人の作品や、また、現在は舞台美術の仕事に携わる陽一さんがつくった家具などが配され、住まいの雰囲気を楽しいものにしている。
子どもの成長に合わせて家づくりを決意
この家を建てる前は、貸家に暮らしていたという昼馬さん一家。「子どもも3人いるし、ふたりとも実家は戸建てだったので、マンションより戸建てが暮らしやすかったんです」(絵理さん)。「このまま家賃を払い続けるよりは、家を建てたいなと考えるようになりました」(陽一さん)。
そこで、長男の来人くんの小学校入学に合わせて、家を建てることを決意。子どもたちが通う幼稚園が変わらないよう、それまで暮らしていたエリアで敷地探しをスタートした。
「いいなと思う場所に出会うまでは2年ほどかかりました」とのことで、最終的には住宅メーカーの建築条件付きの敷地に決めた。「間取りなどに制限はあったのですが、その中でできるところは工夫して、自分たちらしい家にできればと考えました」。
開放感たっぷりのLDK
3階建ての昼馬邸のメインとなる空間は、玄関を入り、階段を上がった2階に広がるLDK。リビング部分は3階までの吹き抜けとなっており、南側の開口部から光がたっぷりと降り注ぐ。「2階は基本的にはひと続きの空間になっています。家にいるときはみんなここで過ごすことがほとんどです」(陽一さん)。
吹き抜けでリビングとつながる3階は、3人のお子さんのためのスペース。子どもたちはリビングと3階を行ったり来たり、のびのびと駆け回る。「いずれは3つの個室に仕切れるようになっていますが、今は子どもたちの遊び場として使っています」(絵理さん)。
念願だった土間アトリエ
昼馬邸のもうひとつのポイントが、ガレージ横に設けたアトリエの存在。鋳金は作品づくりに火を使うことも多いために土間とし、また陽一さんの手がける作品のサイズが大きいことから、ガレージから直接出入りできるようにした。「この家を建てるまでは、彫金の工具をアパートの1室に置いていたんです(笑)」と振り返る夫妻。「ガレージから続くアトリエがつくれたのは、まさに戸建てならではですね」。
家族との毎日の暮らしと作品づくりが自然と両立できる昼馬さん一家の住まい。息子さんたちの成長とともに、住まいもまた味わいを増していくのだろう。