Outdoor
雨が降ると池が出現子どもの成長を見守りながら
外を感じて過ごせる家
同郷の逗子の建築家に設計を依頼
池田岳郎さん・亜希子さん夫妻のお宅は、逗子ならではの気持ちのよい風と光を存分に楽しめる家。
リビングの前庭には、雨水を溜めると大きな水盤が現れるシカケがある。夏はここで子どもたちが存分に水遊びを楽しめる。
「家を祖父母から譲り受けた土地に建てることになりました。細長く、かつ奥に行くほど細くなる台形の土地を活かして家を造るには、建築家に設計を依頼したほうがいいだろうと考えました。湘南の空気感をよく知る、同郷で同じ高校のOBの佐藤浩平さんに相談させていただいたんです」
池田邸は、細長い土地を有効に活かすために棟を2つに分けている。前庭からリビングを抜けると、緑の芝生の中庭と渡り廊下を挟んで、寝室と子供部屋の別棟が現れる。風通しと採光に優れた、気持ちのよい家が完成した。
夜も美しい池の波紋
家を建てるにあたり、こんな暮らしがしたいという希望を、岳郎さんと亜希子さんそれぞれポストイットに書きながら整理していったのだそう。
「外で遊びたい、外で料理や食事がしたい、子どもの成長を楽しみたい、友だちや近隣の方と仲良くしたい……、書くことでどんな家にしたいかが具体的に見えてきました。それを建築家の佐藤浩平さんにお伝えして、実際の間取り等はお任せしました。5回ほど図面のやり取りをしたのですが、具体的にここをこうしたいと言わなくても、次にお会いしたときには我々の気持ちを汲んで実際に図面に落とし込んでくださり、素晴らしい建築家と出会えたと嬉しく思いました」と岳郎さん。
「前庭の池は、図面を見ながらこんなものになりますというお話を伺っても、具体的にイメージすることが難しかったのですが、実際にできあがって、その楽しさに驚きました」と亜希子さん。
「雨の日は、池に落ちる雨の波紋がとても美しいです。夜、ライトアップすると、波紋が壁に映ってさらにキレイなんです。家の前は人通りの多い道路なのですが、高い塀を作っていただいたので気兼ねなく庭遊びを楽しむことができます。カーテンをしなくてよいので、だんだんと暗くなる気配などを楽しめるのもいいですね」と岳郎さん。
外壁の経年変化も楽しみのひとつ
池田邸の隣にある畑は、叔父と叔母が作っているものだそう。
「冬の暖房にダルマストーブも使っているのですが、灰が植物の肥料に良いそうで、芝刈りで刈った芝と共に隣の畑に差し上げています。代わりに過分な新鮮な野菜をいただいています(笑)。子どもたちも野菜の成長を観察しているので、横に畑があるのはとてもよい環境だと思います」
子ども部屋は、成長に合わせて分割やロフトなどを作れるようにあらかじめ考えられている。2階の外廊下に部屋を増やすことも可能だ。
子どもの成長を見守りたいという希望が叶った家になっている。年月とともに味わいの増すシルバーグレーの外壁の池田邸のこれからの成長が楽しみである。
所在地 神奈川県逗子市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 142.77m2