テーマはリラックス心身をチューニングする“パワースポット” のような空間

テーマはリラックス心身をチューニングする
“パワースポット” のような空間

玄関を入ってすぐ眼の先にあるのは床を掘ってつくられたコンクリートのお風呂。この特別な配置は、「自分たちのイメージにあった家に住みたい」、そんな石川夫妻の思いが実現されたものだ。

そのイメージを形づくった体験のひとつが、家族で訪れたバリのアマヌサというホテルでの体験だった。緑に囲まれたガラス張りのシンプルなお風呂が部屋と明確には分かれず一体感のあるように配置されていた。「すごく斬新で、ああいうのが実現できたらいいねって話していました」とご主人。

それとともにイメージしていたのが“デザイン性が高い家”ということ。この2つを実現するために、それまで住んでいた築後6年足らずの建売住宅からの転居を決め新築することにした。


鉄が錆びた色にも見えるが、木造。壁面を黒く塗ることも考えたが、前の公園の緑との相性からこの色になった。

家の前にある公園は緑がいっぱい。手前は、玄関上に浮いた強化ガラスの三角コーナー。2階から来訪者を確認できる。


1 階の洗面所はご主人お気に入りのスポット。水洗金物にまでこだわった。

バリでのホテル体験が元になってつくられたバスコーナー。床に掘られたお風呂に浸かりながら庭の緑を眺められる。


暮らしの中でのリラックス

「自然が好きな家族でキャンプにもよく行くので自然と共存できるような家がほしい」「住みながら自然を感じたい」。そんな気持ちも強く、公園に面した敷地は夫妻が自分たちで歩いて探し出したものだ。“自分たちのイメージにあった家”、さらにまた、“自然との共存”。そこには“癒し”“リラックス”というもうひとつのテーマが潜んでいた。

IT関係の仕事をされているご主人は、仕事柄、PCに向かう時間が長いため、“リラックス”できる時間は必要不可欠。家でリラックスして仕事の時間との違いを出してメリハリをつけられるのは大きい、という。アロマテラピー関連のお仕事をされている奥さんにとっては、“リラックス”というのは、さらに大きなテーマだ。

「香りは自分自身をチューニングするサポート役なんです。香りによって脳が癒されたり、体が癒されるのを感じるタイプの人にはアロマはすごく合っている」

アロマテラピーについてこう語る奥さんが、チューニングされて、リラックスする、そんな効果を我が家での暮らしにおいても求めるのはごく自然のことだ。


部屋のいたるところに、見るだけで“癒される”さまざまな小物が置かれている。これは、キッチンの天板がそのままリビングのほうへと延びてくるコーナー部分に置かれたインテリアグリーンや、作りたてのバスボム(アロマ発泡入浴剤)。

階段手前のコーナー。家族の写真などが飾られた棚の上には、バリで入手した花器や、フランスのアーティストによる竹の子のアートフレームが飾られている。

2 階リビングに置かれた絵(部分)。日本で購入したこの作品は、ウブドというバリの芸術家村で入手した他の絵が鮮やかな黄や赤などを使っているのと対照的にモノトーンでまとめられている。


“リラックス”へのこだわりは、空間だけでなく、空間を彩るモノたちにも浸透している。

「空間というのがすごく大事だと思っていて、香りが満たされる空間も私たちにとって心地よいものであってほしい。あと、建築家につくっていただいたこの空間をより自分たちの満足できるようなものにしたくて、バリで買った絵を飾ったり観葉植物を置いたり。また、いろいろな小物でアレンジしたりもしています」。こう語る奥さんに、ご主人が付け加える。「お酒を飲んでリラックスするのに、夜、暗めに調光が可能な照明にしました。また、オレンジ色の光源にしたり、床を少し上げて段差を付けて間接照明にしたりもしています」。


アロマテラピーは、植物から抽出される精油を使って、鼻から香りの成分を吸い込んだり呼吸や経皮吸収によって精油成分を体内に取り入れ、脳に直接働きかけたり血管を通じて身体に働きかけ、心身のバランスを整える自然療法。癒し効果が高いと人気があるのはラベンダーと言われる。ブレンドすることでその効能が倍増することもあり、香りに深みもでるという。写真は2階リビングで奥さんがお子さんにバスパウダーづくりのレッスンをしているところ。

バスパウダーづくりを楽しむ姉弟。バスパウダーは、精油と重曹を混ぜてつくり、浴槽に入れて香りを楽しむ。

2階のキッチンから公園側を見る。キッチンから奥の部屋へと床が蛇行して続く。


癒されるだけでなく、運も上向く

「この家を建ててから、ほんとに人がよく集まるようになって」と語るのは奥さん。そして、訪れた人は誰もが癒されていい気分になって帰られるのだという。「それはたぶんアロマだけの力だけではなくて、この家の雰囲気だっていうふうに皆さんおっしゃって下さるんですね」。

奥さんがされているアロマ教室の生徒さんたちからは、この家に来るとすごく癒されるので、最近、“パワースポット”とも言われている。さらには、運が上向く、と言われることもあるのだという。これも、香りと空間によるチューニングの賜物なのだろうか。


石川邸
設計 仲亀清進建築事務所
所在地 千葉県習志野市
構造 木造+一部鉄骨造
規模 地上2階
延床面積 90.48 m2