Hobby

大好きなアンティークと暮らす心にも身体にもやさしい
いとおしく思える家

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憧れのハウスビルダーで家を建てる

丹沢山系の山々に囲まれた、自然あふれる環境に建つ中山さんのお住まい。一家5人と3匹の猫たちがともに暮らすその家は、まるで童話の世界から抜け出てきたよう。漆喰壁に素焼き瓦の可愛らしい外観が一際目を引き、道行く人が思わず足を止める。

「ママの好きなように造っていいよ」と家族に背中を押され、妻の恭子さんが中心となって始まった家づくり。「当初は、以前住んでいた家を建て替えようと思っていたのですが、妻の憧れていたハウスビルダーのもとで一から好きなように造らせてあげたいと思い、あらたに敷地を探すことにしたのです」とは、ご主人の裕司さん。元のお住まいから徒歩数分。中山家にとって2回目の家づくりとなった。

幼い頃からインテリアに興味をもっていた恭子さんがアンティークに目覚めたのは、10年ほど前。使い込んだ感が愛らしいブレッド缶に特に惹かれ、ホーロー製のキッチングッズを中心に、アンティーク雑貨を少しずつ集めてきたという。

「インテリア雑誌や住宅雑誌を見ていて、いつも目に止まるのが『Sala’s(サラズ)』さんが手掛けた家でした。アンティークが生きるように設計しているという印象で、私のお気に入りのアンティーク雑貨たちもこんな家で飾れたらいいなと思うようになったんです」(恭子さん)。『Sala’s』が設計したお宅の内覧会に何度も足を運んでは、自分の家のイメージをふくらませていったという。


格子窓や鎧戸が可愛らしいフレンチカントリー風の外観。
格子窓や鎧戸が可愛らしいフレンチカントリー風の外観。
恭子さんお気に入りのブレッド缶が並ぶ。「眺めているだけでほっとする」と恭子さん。最も目につく棚は古材を使用し、アンティークを引き立てる。
恭子さんお気に入りのブレッド缶が並ぶ。「眺めているだけでほっとする」と恭子さん。最も目につく棚は古材を使用し、アンティークを引き立てる。
キャニスターやスパイスボトルには中身は入れてなく、あくまでもディスプレイ用とのこと。
キャニスターやスパイスボトルには中身を入れてなく、あくまでもディスプレイ用とのこと。
ファイヤーキングのお皿たちもさりげなく収納。「使い心地がよいので普段使いしています」(恭子さん)
ファイヤーキングのお皿たちもさりげなく収納。「使い心地がよいので普段使いしています」(恭子さん)


人も猫も集うLDK

新築するにあたってのコンセプトは、「どこにいても家族の気配がする家」。リビング階段にすることと、階段途中に中二階を設けることは、家族全員の希望であった。

中二階には、小学生の息子さんたちの勉強コーナーが登場。階段に開口を設けたことで、家族がいつも集まっているというLDKともゆるやかにつながった。会話もしやすく、子どもたちのお気に入りの空間となっている。

長女の由佳さん(22歳)が「絶対、譲れない」と強くリクエストしたのがアイランドキッチン。「娘が料理をするわけではないんですけど」と笑う恭子さん。部屋の中央に位置するキッチンに立つと、リビングやダイニングだけでなく、リビング奥の洗面台や庭も見渡せ、さらには中二階の勉強コーナーの様子まで感じ取れる。
恭子さんがキッチンで料理をしていると、長男の広大くん(小6)と次男の大成くん(小4)がカウンターを囲み、食材を見てメニュー当てゲームを始めるそう。「食べることが好きで、食に対する思いが強いんですね(笑)」(恭子さん)

リビングでは、人間と猫とでソファの争奪戦が日々繰り広げられている。誰かがソファを離れると、すぐに他の人あるいは猫が陣取るという繰り返しだ。仲の良い中山さん一家を一層強く結びつけるLDKでは、いつも笑いが絶えないようである。


垂れ壁などでゆるやかに仕切った、ひと続きのLDK。人気のソファは、ただいまコタロウくん(8歳)が占拠。
垂れ壁などでゆるやかに仕切った、ひと続きのLDK。人気のソファは、ただいまコタロウくん(8歳)が占拠。
中二階の勉強スペース。板を載せただけのデスクは、子どもが巣立ったあとは簡単に撤去できる。丸みを帯びた階段が、リビングのやさしいアクセントに。
中二階の勉強スペース。板を載せただけのデスクは、子どもが巣立ったあとは簡単に撤去できる。丸みを帯びた階段が、リビングのやさしいアクセントに。
家族の会話が自然と生まれるアイランドキッチン。
家族の会話が自然と生まれるアイランドキッチン。
LDKの奥の一角にある洗面コーナー。ツインボウルで、忙しい朝には便利。
LDKの奥の一角にある洗面コーナー。ツインボウルで、忙しい朝には便利。
リビングに設置された天井までのキャットタワー。モデルは、シャイなコジロウくん(4歳)。
リビングに設置された天井までのキャットタワー。モデルは、シャイなコジロウくん(4歳)。


身体にやさしい自然素材

「家族みんなアレルギー体質」という中山さん一家。本漆喰や無垢の床材など質の高い自然素材を使用していることも『Sala’s』に依頼する決め手になった。

外壁も室内も本漆喰を使用。厚みのあるぽってりとした表情がぬくもりを感じさせる。古材を使用した造り付けの棚とも調和し、恭子さんの愛着あるアンティーク雑貨たちを引き立てている。

リビングの床にはパイン材の無垢フローリングを使用。素足に気持ちよく、冬でもあたたかいのが嬉しい。水はねや油汚れが気になるキッチンまわりにはタイルを採用し、手入れのしやすさを重視した。「夏はひんやり冷たいのが心地いいです」と、素材の特性を楽しんでいる恭子さん。

自然素材をふんだんに使ったこの家で、暮らし始めて丸2年。「漆喰や自然素材は、時間が経てば経つほど味わいが増すので、今後の変化が楽しみです」と中山さん夫妻は口を揃える。


天窓からの光が降り注ぐ明るいダイニング。古材を使用した梁は『Sala’s』の定番。
天窓からの光が降り注ぐ明るいダイニング。古材を使用した梁は『Sala’s』の定番。
キッチン、リビング、ダイニングの床材の変化に注目。目にも楽しい。
キッチン、リビング、ダイニングの床材の変化に注目。目にも楽しい。

レンジフードにも古材を施し、ナチュラルな印象に。丸みのあるアーチが漆喰の壁になじむ。
レンジフードにも古材を施し、ナチュラルな印象に。丸みのあるアーチが漆喰の壁になじむ。

好きなものに囲まれて暮らす

ネットオークションで購入した窓やドア、以前の家で使用していたステンドグラスなど、建具や照明、設備など気に入ったものを持ち込み、設置してもらったという恭子さん。イメージする空間に近づけるため、恭子さん自ら家具をペイントしたり、裕司さんがDIYで手を加えたりしている。

中二階の下の空間を利用して設けたパントリーは、裕司さんの力作。「最初ここは何もない空間だったんです。スペースを図り、棚を作製。『IKEA』でサイズの合う収納グッズを探して、見事にぴったり収まりました」と満足げに語る。食材のストックだけでなく、掃除用具や家電類なども収納し、生活感を上手に隠している。

また、道路に面した庭も、柵とアプローチ以外はご夫妻でコツコツ作製し、現在進行形である。動物好きのご家族だけに、テーマは“小動物が住んでいる庭”。「ネットで購入した木を、子どもたちも一人一本ずつ植えています。育っていく過程を見ることで愛着がもてると思うので」と恭子さん。裕司さんは目下、庭に“小屋”を建てることを計画中だ。

「さびていたり、ひび割れていたり。真新しいよりも、人が使ってきたというぬくもりを感じられるものが好きなんです」とアンティークの雑貨を見つめては微笑む恭子さん。好きなものに囲まれて暮らすことは活力の源になる。そして、その恭子さんのパワーが、家族の笑顔をも引き出しているのだろう。


由佳さんの部屋。壁紙から照明、ドアノブに至るまで、すべて由佳さん自ら選び、コーディネート。
由佳さんの部屋。壁紙から照明、ドアノブに至るまで、すべて由佳さん自ら選び、コーディネート。
恭子さんが集めていたカードも、由佳さんがセンス良くディスプレイ。
恭子さんが集めていたカードも、由佳さんがセンス良くディスプレイ。
以前から使用していたステンドグラスは、開閉できるよう依頼。バニラちゃん(7歳)のお気に入りの場所。
以前から使用していたステンドグラスは、開閉できるよう依頼。バニラちゃん(7歳)のお気に入りの場所。


「このアンティークの窓を付けたくて、無理やり後からくり抜いて、はめ込んでもらいました(笑)」(恭子さん)
「このアンティークの窓を付けたくて、無理やり後からくり抜いて、はめ込んでもらいました(笑)」(恭子さん)
将来、子ども部屋を分けられるように、色の異なるドアを2つ設けた。中に入ると、ドアの色と壁紙の色が揃えてある。
厚木のアウトレット家具屋で見つけたベッド。広大くんも大成くんも、母親の影響でアンティーク雑貨好きに。


中二階の下のスペースをパントリーに。入口の階段は子どもたちの遊び場にもなる。
中二階の下のスペースをパントリーに。入口の階段は子どもたちの遊び場にもなる。
同じ収納グッズで整理整頓され、見た目もすっきり。右側のアラジンのトースターは「モチモチのトーストができておすすめです」(恭子さん)
同じ収納グッズで整理整頓され、見た目もすっきり。右側のアラジンのトースターは「モチモチのトーストができておすすめです」(恭子さん)


動物モチーフのアンティーク雑貨をふんだんに用いた庭。楽しい仕掛けがいっぱい。
動物モチーフのアンティーク雑貨をふんだんに用いた庭。楽しい仕掛けがいっぱい。
「朽ちた感じが気に入りました」(恭子さん)というベンチは、裕司さんの職場で捨てようとしていたもの。
「朽ちた感じが気に入りました」(恭子さん)というベンチは、裕司さんの職場で捨てようとしていたもの。
2階の主寝室に設置した屋根裏に続く階段。人も猫もワクワクする空間。
2階の主寝室に設置した屋根裏に続く階段。人も猫もワクワクする空間。


中山邸
設計監理 株式会社Sala’s (サラズ)
所在地 神奈川県愛甲郡
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 130.68m2