Hobby
大好きなアンティークと暮らす心にも身体にもやさしい
いとおしく思える家
憧れのハウスビルダーで家を建てる
丹沢山系の山々に囲まれた、自然あふれる環境に建つ中山さんのお住まい。一家5人と3匹の猫たちがともに暮らすその家は、まるで童話の世界から抜け出てきたよう。漆喰壁に素焼き瓦の可愛らしい外観が一際目を引き、道行く人が思わず足を止める。
「ママの好きなように造っていいよ」と家族に背中を押され、妻の恭子さんが中心となって始まった家づくり。「当初は、以前住んでいた家を建て替えようと思っていたのですが、妻の憧れていたハウスビルダーのもとで一から好きなように造らせてあげたいと思い、あらたに敷地を探すことにしたのです」とは、ご主人の裕司さん。元のお住まいから徒歩数分。中山家にとって2回目の家づくりとなった。
幼い頃からインテリアに興味をもっていた恭子さんがアンティークに目覚めたのは、10年ほど前。使い込んだ感が愛らしいブレッド缶に特に惹かれ、ホーロー製のキッチングッズを中心に、アンティーク雑貨を少しずつ集めてきたという。
「インテリア雑誌や住宅雑誌を見ていて、いつも目に止まるのが『Sala’s(サラズ)』さんが手掛けた家でした。アンティークが生きるように設計しているという印象で、私のお気に入りのアンティーク雑貨たちもこんな家で飾れたらいいなと思うようになったんです」(恭子さん)。『Sala’s』が設計したお宅の内覧会に何度も足を運んでは、自分の家のイメージをふくらませていったという。
人も猫も集うLDK
新築するにあたってのコンセプトは、「どこにいても家族の気配がする家」。リビング階段にすることと、階段途中に中二階を設けることは、家族全員の希望であった。
中二階には、小学生の息子さんたちの勉強コーナーが登場。階段に開口を設けたことで、家族がいつも集まっているというLDKともゆるやかにつながった。会話もしやすく、子どもたちのお気に入りの空間となっている。
長女の由佳さん(22歳)が「絶対、譲れない」と強くリクエストしたのがアイランドキッチン。「娘が料理をするわけではないんですけど」と笑う恭子さん。部屋の中央に位置するキッチンに立つと、リビングやダイニングだけでなく、リビング奥の洗面台や庭も見渡せ、さらには中二階の勉強コーナーの様子まで感じ取れる。
恭子さんがキッチンで料理をしていると、長男の広大くん(小6)と次男の大成くん(小4)がカウンターを囲み、食材を見てメニュー当てゲームを始めるそう。「食べることが好きで、食に対する思いが強いんですね(笑)」(恭子さん)
リビングでは、人間と猫とでソファの争奪戦が日々繰り広げられている。誰かがソファを離れると、すぐに他の人あるいは猫が陣取るという繰り返しだ。仲の良い中山さん一家を一層強く結びつけるLDKでは、いつも笑いが絶えないようである。
身体にやさしい自然素材
「家族みんなアレルギー体質」という中山さん一家。本漆喰や無垢の床材など質の高い自然素材を使用していることも『Sala’s』に依頼する決め手になった。
外壁も室内も本漆喰を使用。厚みのあるぽってりとした表情がぬくもりを感じさせる。古材を使用した造り付けの棚とも調和し、恭子さんの愛着あるアンティーク雑貨たちを引き立てている。
リビングの床にはパイン材の無垢フローリングを使用。素足に気持ちよく、冬でもあたたかいのが嬉しい。水はねや油汚れが気になるキッチンまわりにはタイルを採用し、手入れのしやすさを重視した。「夏はひんやり冷たいのが心地いいです」と、素材の特性を楽しんでいる恭子さん。
自然素材をふんだんに使ったこの家で、暮らし始めて丸2年。「漆喰や自然素材は、時間が経てば経つほど味わいが増すので、今後の変化が楽しみです」と中山さん夫妻は口を揃える。
好きなものに囲まれて暮らす
ネットオークションで購入した窓やドア、以前の家で使用していたステンドグラスなど、建具や照明、設備など気に入ったものを持ち込み、設置してもらったという恭子さん。イメージする空間に近づけるため、恭子さん自ら家具をペイントしたり、裕司さんがDIYで手を加えたりしている。
中二階の下の空間を利用して設けたパントリーは、裕司さんの力作。「最初ここは何もない空間だったんです。スペースを図り、棚を作製。『IKEA』でサイズの合う収納グッズを探して、見事にぴったり収まりました」と満足げに語る。食材のストックだけでなく、掃除用具や家電類なども収納し、生活感を上手に隠している。
また、道路に面した庭も、柵とアプローチ以外はご夫妻でコツコツ作製し、現在進行形である。動物好きのご家族だけに、テーマは“小動物が住んでいる庭”。「ネットで購入した木を、子どもたちも一人一本ずつ植えています。育っていく過程を見ることで愛着がもてると思うので」と恭子さん。裕司さんは目下、庭に“小屋”を建てることを計画中だ。
「さびていたり、ひび割れていたり。真新しいよりも、人が使ってきたというぬくもりを感じられるものが好きなんです」とアンティークの雑貨を見つめては微笑む恭子さん。好きなものに囲まれて暮らすことは活力の源になる。そして、その恭子さんのパワーが、家族の笑顔をも引き出しているのだろう。