Column
ニュー・パティスリィ-2-等々力「PÂTISSERIE
ASAKO IWAYANAGI」
世田谷・等々力にオープンした、パティスリィ アサコ イワヤナギ。人気パティシエール、岩柳麻子さんの新店だ。スタイリッシュな店内に並ぶ、独創的で豊かな味わいのケーキや焼き菓子の数々を紹介する。
人気パティシエールの新店
武蔵小山、銀座や白金などに展開する洋菓子店「パティスリィ ドゥ・ボン・クーフゥ」をはじめ、多くの人気店を手がけてきたパティシエール、岩柳麻子さん。彼女が昨年末、等々力に新店「パティスリィ アサコ イワヤナギ」をオープンさせた。店の目の前に大井町線が走るこの場所は、多摩サイクリングロードからも近く、聞くと岩柳さん自身も日頃からロードバイクに乗っているというバイク愛好者。近所に住む人たちはもちろん、サイクリングで通りかかった人も自転車をとめてお茶ができる店として親しんでもらいたいとこの地に出店を決めたという。
店内はコンクリート打ちっ放しのスタイリッシュな空間。設計を担当した、建築家のご主人、宿澤巧さんは「店内がきらびやかになりすぎないよう過剰な装飾はせず、ケーキが美しく見えるよう、照明の照度や、ガラスの大きさなど細部に至るまでに工夫しました」と話す。また、日が沈んだ頃になると、照明を落とした店内にガラスケースのなかのケーキが一層引き立ち、まるで美術館にいるような雰囲気が感じられる。店内奥はキッチンスペースになっていて、それを隠すのではなく大きなガラス扉で囲むことで、奥行きと開放感を演出。また、お客さんがどの位置にいても、作り手の顔が見られるようになっていて、ライヴ感のある空気を楽しむことができる。
独創的で個性豊かなケーキ
店舗の中央に置かれたショーケースの中に個性豊かなケーキや焼き菓子が並ぶ。基本的に「自分が食べたい!と思うケーキを作る」と話す岩柳さん。中でも、シェフのスペシャリテ「クレア」は、以前よりケーキ教室で紹介していたレアチーズのムースで、お客さんからのたくさんのリクエストによって商品化された、特に思い入れのある一品だ。真っ白な求肥の中には、色鮮やかなカシスのソースがたっぷり。ソースは季節によって、パッションフルーツやシャインマスカットなどに変わる予定で、旬の味わいを楽しむことができる。そのほかにもフランスのブリーチーズ、ブリー・ド・モーを使った「白カビのチーズケーキ」や、サワークリームとクリームチーズを使った「2層の半生チーズケーキ」などチーズケーキが常時3、4種類並ぶ。また、宿澤さんの実家、山梨の宿沢フルーツ農園から届く季節ごとのフルーツを使ったケーキが多いのも特徴。定番商品もそのときどきの旬のフルーツを使うことで、さまざまな味を楽しむことができる。また、峠をイメージしたユニークなかたちのモンブランも登場。ケーキを通じて、シェフの自由な発想と遊び心が感じられる。
楽しみが広がるパティスリィ
1月15日のグランドオープン以降、店内でカフェスペースの営業もスタートした。ショーケースに並ぶスイーツと合わせて、厳選したドリンクを楽しむことができる。たとえばコンパスコーヒーの豆を使用したオリジナルブレンドのコーヒー、南部鉄器ポットで提供されるハイビスカスティーやカモミールはティージュの茶葉を使用。シニアソムリエの粟田さんが選ぶ、赤と白のワインはチーズケーキと好相性だ。また、店奥のスペースでは、ソムリエによるワイン教室や、岩柳さんが教えるケーキ教室の開講も予定。春になるとショーケースを一部改装し、宿沢フルーツ農園から届くフレッシュな果実をふんだんに用いたジェラートの提供も始まるという。これからますます目が離せないパティスリィ。来るたびに楽しみが広がりそうだ。