Column

東京のローカル-2-東京と奈良をつなぐ、
「ときのもり・LIVRER」

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今年1月、白金にオープンした「ときのもり」は、奈良県の魅力を発信する新しいライフスタイルストア。この1階にあるのがショップ&カフェ「LIVRER」だ。奈良で絶大な人気を誇る雑貨カフェ「くるみの木」のオーナー、石村由起子さんが監修している。奈良県産の新鮮な野菜や伝統工芸、地元で活躍する作家の作品などさまざまなアイテムを石村さんの視点でセレクトし、紹介している。

白金の庭園美術館の近くにオープンした「ときのもり」。2階建の施設には、大和野菜を使ったフレンチのレストラン「CIEL ET SOL」とショップ&カフェ「LIVRER」の2店舗がある。「LIVRER」をプロデュースしているのは、奈良で30年以上に渡り、愛され続ける「くるみの木」の石村由起子さん。奈良で作られている食品や伝統工芸品、作家の作品や「くるみの木」のオリジナルアイテムを中心に取り扱い、土地の魅力を多角的に紹介している。店名の「LIVRER」とはフランス語で「つなぐ」という意味で、奈良と東京を繋げる場所になれば、という思いが込められているという。

店には「くるみの木」のファンはもちろん、新鮮な大和野菜や珍しいご当地食材を求めに訪れる人も多い。ここに並ぶ食品は、まず第一においしいこと。週に1回奈良から届けられる野菜は、土の栄養をたっぷりと吸収した濃い味わいのものばかり。さっと炒めるだけ、少しの調味料を加えるだけ、というシンプルな調理法で滋味深い一品が作れるという。加えて、パッケージデザインが秀逸なものが多いのも特徴。自家用にはもちろん、贈り物としても喜ばれるアイテムだ。

また、週に1度、秋篠の森で摘まれた野花も届けられる。東京の花屋ではあまり見かけないような素朴な可愛らしさが印象的で、束売りしているので、そのまま花瓶に活けて愉しむも良し、それぞれ1輪ずつばらして飾る楽しみもある。


大和野菜や奈良県産の新鮮なフルーツたち。小松菜、空芯菜やワイルドルッコラなど葉野菜やピンキートマトなど旬の味わいがずらりと並ぶ。奥のカゴに入っているのはフランスパンのように長い手焼きの麩。パンのようにトーストしてガーリックペーストを塗ったり、フレンチトーストのようなアレンジも楽しめる。
大和野菜や奈良県産の新鮮なフルーツたち。小松菜、空芯菜やワイルドルッコラなど葉野菜やピンキートマトなど旬の味わいがずらりと並ぶ。奥のカゴに入っているのはフランスパンのように長い手焼きの麩。パンのようにトーストしてガーリックペーストを塗ったり、フレンチトーストのようなアレンジも楽しめる。
奈良漬や吉野の梅干しなど「ご飯のおとも」をテーマに選ばれた加工食品の数々。チューブに入った「紅玉練り梅」は奈良産の梅と有機シゾの伝統海塩「海の精」で漬けたもの。魚や肉料理にもよく合う。
奈良漬や吉野の梅干しなど「ご飯のおとも」をテーマに選ばれた加工食品の数々。チューブに入った「紅玉練り梅」は奈良産の梅と有機シゾの伝統海塩「海の精」で漬けたもの。魚や肉料理にもよく合う。
吉野「TSUJIMURA」の葛菓子。5種類の砂糖を使って一つずつ違う味わいを表現。端整なルックスは贈り物にも最適。
吉野「TSUJIMURA」の葛菓子。5種類の砂糖を使って一つずつ違う味わいを表現。端整なルックスは贈り物にも最適。
水曜に届く、秋篠の森で摘まれた花たち。こちらはひと束1000円。
水曜に届く、秋篠の森で摘まれた花たち。こちらはひと束1000円。
石村さんの私物という亀のお守りが壁に鎮座。手前にあるのはイ・キジョと岩田圭介の陶器作品。
わら細工の亀のお守りが壁に鎮座。手前にあるのは清水善行と石井直人の陶器作品。


全国各地にいる「くるみの木」ファン。奈良にはなかなか行けなくても「LIVRER」に来れば「くるみの木」オリジナルアイテムが手に入るというのも人気の理由だ。ここでは「くるみの木」のオリジナルのクッキーやジャム、リネンのナイトシャツなどが手に入る。

また、オリジナルアイテムだけでなく、奈良を拠点に活動する作家の作品も紹介。ガラス作家の津田清和さんや、金属のテーブルウェアなどを制作している中村友美さんの作品は、食卓を美しく彩る実用的なアイテム。織物作家、土屋美恵子さんが作るティッシュケースやランチョンマットは手織りの質感が特徴で、使うごとに味わいが出てくるアイテム。布の風合いが最大限に伝わるよう洗練されたデザインにファンが多い。

店内には吉野杉で作られた棚やテーブルが置かれていたり、蚊帳で作られたカーテンがさりげなく使われていたりと、空間全体で奈良が感じられるしつらえになっている。太古から続く奈良の豊かな自然の中にいるような気分で、じっくりともの選びを楽しみたい。


天然素材の糸を組み合わせて、機を織り、現代の暮らしにあった作品を数多く発表している土屋美恵子さん。ティッシュケースなどの小物からストールやショールなどが並ぶ。
天然素材の糸を組み合わせて、機を織り、現代の暮らしにあった作品を数多く発表している土屋美恵子さん。ティッシュケースなどの日用品が並ぶ。
「くるみの木」オリジナルのジャム。木苺、くるみ、キウイ、バナナの定番4種類がラインナップ。パンにつけるだけでなくヨーグルトにかけて食べるのもおすすめ。
「くるみの木」オリジナルのジャム。パイン、キウイ、バナナ、木苺の定番4種類がラインナップ。パンにつけるだけでなくヨーグルトにかけて食べるのもおすすめ。
田所真理子さんのイラストがかわいらしいオリジナル珈琲。人気の水出しコーヒーは、雑味のないすっきりとした味わい。
田所真理子さんのイラストがかわいらしいオリジナル珈琲。人気の水出しコーヒーは、雑味のないすっきりとした味わい。
つい手にとって眺めてみたくなる、津田清和さんのガラスの器たち。色のついたガラスは温かみも感じられ、秋冬の食卓でも活躍。
つい手にとって眺めてみたくなる、津田清和さんのガラスの器たち。色のついたガラスは温かみも感じられ、秋冬の食卓でも活躍。
鍛金という伝統技法で金工作品を発表している中村友美さんの作品。ひとつずつ手作業で作られているため、表情の違いが選ぶ楽しみを広げてくれる。
鍛金という伝統技法で金工作品を発表している中村友美さんの作品。ひとつずつ手作業で作られているため、表情の違いが選ぶ楽しみを広げてくれる。
秋篠の森で使用されているリネンのスリープウェア。春夏は風を通して涼しく、秋冬は重ね着をすることで熱を閉じ込めて温かく感じる。オールシーズン活躍。
リネンのナイトシャツ。春夏は風を通して涼しく、秋冬は重ね着をすることで熱を閉じ込めて温かく感じる。オールシーズン活躍。
木工作家・井藤昌志さんに、特別に桐で制作してもらったシェーカーボックス。裁縫箱やちょっとした小物入れに最適。
木工作家・井藤昌志さんに、特別に桐で制作してもらったシェーカーボックス。裁縫箱やちょっとした小物入れに最適。


蚊帳の生産日本一の奈良県。「LIVRER」では蚊帳の布地を使用したカーテンやふきんなどさまざまなアイテムを取り扱っている。粗目の織物は通気性に優れて丈夫。速乾性もいい。
蚊帳の生産日本一の奈良県。「LIVRER」では蚊帳の布地を使用したカーテンやふきんなどさまざまなアイテムを取り扱っている。粗目の織物は通気性に優れて丈夫。速乾性もいい。

6席設けられているカフェでは軽食とお茶が楽しめる。ここでぜひ味わいたいのが「ティーファーム イノクラ」の日本茶。鉄瓶で提供される大和茶は3回煎じて味わえて、飲んだ後の茶葉はポン酢をかけて食べられるという。茶葉がもともと柔らかく、渋みがないため、おひたしのような感覚で食べられるそうで、自宅でも試してみたい味わい方だ。また、季節ごとにピックアップした奈良の銘菓と大和茶がセットになった「奈良のほうせき」も人気メニューのひとつ。現在は、「御菓子司春日庵」のさつま焼きを提供している。こちらはさつまいもをかたどった焼き菓子で、あっさりと仕上げたこしあんが詰まった優しい味わいだ。

カフェスペースの横には、そのときどきでテーマを設けて、セレクトしたアイテムを紹介。ここでは奈良に限らず、日本全国、世界各国の「いいもの」を基準にさまざまなものを販売している。「ときのもり」目線で厳選したアイテムが並び、奈良のものと合わせて使う楽しみも提案している。


カフェのスペースは3席。吉野杉を使った上質なテーブルセットはずっと座っていたくなるような心地の良さ。ドリンクはテイクアウトも可能。
カフェのスペースは6席。吉野杉を使った上質なテーブルセットはずっと座っていたくなるような心地の良さ。ドリンクはテイクアウトも可能。
右は吉野杉で作られた板膳で、カフェでも使用している。十津川村の職人と制作したもので、持ち運びしやすいよう縁を丁寧にカットしている。左はオリジナルのまな板。分厚く、かぼちゃや大根などを切っても安定感のある作り。水に強く、抗菌作用のあるヒノキ製。
右は吉野杉で作られた板膳で、カフェでも使用している。十津川村の職人と制作したもので、持ち運びしやすいよう縁を丁寧にカットしている。左はオリジナルのまな板。分厚く、かぼちゃや大根などを切っても安定感のある作り。水に強く、抗菌作用のある奈良・吉野のヒノキ製。

「ときのもり」は白金駅から徒歩5分程度。庭園美術館とも合わせて、白金散策を楽しみたい。
「ときのもり」は白金駅から徒歩5分程度。庭園美術館とも合わせて、白金散策を楽しみたい。

ときのもり・LIVRER
東京都港区白金5-17-10
03-6277-2606
11:00〜18:00
月・火曜休