Renovation
’57年築の前川國男建築を発掘 ミッドセンチュリーの良さを引き出し、
現代の感覚をミックス
インテリアスタイリストのリノベ
インテリアスタイリストの窪川勝哉さんが趣味の不動産探しで見つけたのが、モダニズム建築の旗手として日本の近代建築界をリードした建築家・前川國男が設計した家。昭和30年代に設計したテラスハウスのうち、唯一現存する住宅だ。
ル・コルビュジエの元で学んだ前川國男設計の家には、この時代のモダンな家具が似合う。
ジョージ・ネルソンのペンダントライト、シャルロット・ペリアンのスツールと照明器具、ハンス・J・ウェグナーのベッドなど、同じ時代のものを合わせた。
「ただ、すべてその時代の家具でまとめるとレトロになりすぎるので、今の時代のエッセンスを加えていきました」
たとえばインパクトのあるコバルトブルーのカーペットをセレクト。カーペットを敷いた部分は床のレベルを少し上げ、リビングとダイニングをゆるやかにゾーニングしている。
「あえてダイニングのトーネットのチェアはブラックを選んだのも、今っぽさをプラスしたかったからです」
吹き抜けを作り、ダイニングに解放感を
「自分で考えたプラン通りのものを作っても驚きを感じられないので、友人たちに設計を含めてリノベーションを手伝ってもらいました」
竣工当時の雰囲気をなるべく残しながら、暗かったダイニングは吹き抜けにして明るさを確保した。経年変化を感じるコンクリートブロックの部分はそのまま残した。
キッチンの場所は移動し、カウンターも設置。
「解体予定の家から外した年代もののホーローキッチンは友人からのプレゼントです」。
シンクは柳宗理のデザインなのだそう。
将来を見据えたデザインも
いつか窪川さんが年齢を重ね、2階と1階の行き来がしづらくなっても便利に暮らせるようにと、1階にクローゼットスペースを確保するなどの工夫も。
「いつか自分で戸建てを建ててみたいです。クルマも大好きなので、敷地内にキャンピングカーを停めたいですね。
インテリアスタイリストはあるものを組み合わせる仕事なので、一から自由に建てるとどうなるか、楽しんでみたいです」