Style of Life
家族への思いを形に暮らしやすさを考えた
風通しのいい家
家族のイメージを基に設計
梁がむき出しになった、天井まで吹き抜けのリビングに、天窓やテラスから明るい日差しが差し込む。スタイリストの大沢早苗さんの自宅は、8年前、ふたりの子供の成長と、家族の理想の暮らしをイメージして新築された。
「夫がいろいろと考えて建築家にプランを出していました。家族構成に始まり、家族の趣味だとか、生活のリズムだとか、“こういう気持ちで暮らしたい”という希望をレジメのようにまとめて、見てもらっていましたね」
風がよく通るように、昼間は照明をつけなくてもよいように、素材の風合いや感触が楽しめるように、妻が家事をしやすいように、子供が楽しく暮らせるように…。その詳細なレジメを見せてもらうと、家づくりは、まさに家族の理想を形にすることだという思いが伝わってくる。
好きなように暮らせる一軒家の魅力
2階建てのその建物には、1階に子供部屋と夫の仕事部屋、2階にリビングとキッチン、バスルーム、テラス、ユーティリティがある。
「ロフトを設けることも私たちの希望でした。子供たちにとっていい遊び場になるんじゃないかと思って。小さい時はよくロフトに登って遊んでいましたね。今ではお布団を敷いて、私と子供たち3人で寝ているんですが」
リビング中央の柱には、子供の背丈を測った印がつけられ、8年間の成長の跡が刻まれている。
「この家を建てるまではマンションに住んでいたのですが、子供がのびのびと過ごせることと、自分たちの好きなように暮らせること、年を経る毎に変化していくのを楽しめるのは、一軒家にしてよかったと思う点ですね」
家事動線を考えたユーティリティ
この家でいちばん長く時間を過ごす、早苗さんの希望も至るところに活かされている。
「私がどうしてもほしかったのはユーティリティです。それも仕事をしながら家事ができるように、動線を楽にすることを考えました」
キッチンに隣接するユーティリティには、仕事や縫物などの作業ができる造りつけの机を設け、洗濯機も設置。
「仕事中も、お鍋をかけながら洗濯機を回したり、物干し台に洗濯物を干したり。ここにいれば必要なことのほとんどができるので、日中はいつもこことキッチンで過ごしていますね」
キッチンは調理器具や食器、調味料などを見事に整理して収納。なるべくすっきりさせたいと、炊飯器も収納できるよう、サイズに合わせてスライド棚を作ってもらった。
「ものが外に出ているのは嫌なので、収納はたくさん作ってもらいました。そのほうが掃除も楽ですし。カーテンや電器のシェードもほこりがたまるのでNG。壁紙も時間が経つと汚れやはがれが気になるので、板のままにしてもらいました。そうしておくと後からペンキを塗ったり、いくらでも手を加えられると思ったんです」
手間がかからないことを基本に
日差しの強い季節は、カーテン替わりにホームセンターで購入した布をテラスにかけて遮光。楽を考えながらも、オリジナリティも感じさせるセンスは、雑貨など、生活まわりのスタイリストでもある大沢さんのテクニックかもしれない。仕事柄、たくさん揃う雑貨などもインテリアとして活用している。
「籐のかごやワイヤーバスケットなど、仕事で使ったものや気に入って買ったものを壁にかけたりして利用しています。インテリアとしてだけではなく、仕分け用にも役立っているんです」
洗濯物をかごに分けて入れておいたり、お手製のはたきでほこりを払ったり。そのアイデアは、合理的でありながらも、楽しくかつ美しい。
「お掃除はルンバで行い、後は箒と散りとりでさっと掃いています。いかに楽に、手間と時間をかけずに家事をこなすかが、私のテーマなんです」
ほこりがたまりやすい玄関の傘立ては、壁に手すりを設置して、それにかけることで代用するなど、徹底ぶりが伺える。
家族の趣味が活かされる家
なるべく手間をかけたくない、という妻に対し、夫は凝り症。棚やリビングのテーブル、子供のベッドに至るまで、DIYして作ってしまったのだという。
「主人はマメな性格ですね。お料理も好きで、梅酒やお味噌をつけたり、ライ麦パンを焼いたり」
バスルームにはそんな夫のリクエストで天窓をつけ、テラスに出られる小さなドアも設けた。
「お風呂に入りながら星空も見られるし、ちょっとした露天風呂の気分というか(笑)。子供たちもお風呂からそのままテラスに出たりしています」
テラスではバーベキューをすることも多い。夫の趣味のひとつである釣りに行き、中学生の長男と一緒に釣ってきた魚などを炭火で焼いて、家族みんなで食べるのが楽しみなのだそうだ。
「夫は、長男といろんなアウトドアを体験するのが好きみたいで。この辺りは海も山も比較的近いので、週末毎に出かけて魚や山菜、自然薯などを採ってきてはよく調理しています」
子供の成長とともに、毎日の過ごし方、楽しみ方も日々、変化していっているとか。そんな家族の楽しみと理想を、家が支えているようだ。