Style of Life
センスが光る家づくりこだわり尽くして作った
心から生活を楽しめる家
「子どもにはリビングのところの段差の高さが、座るのにちょうどいい。大人にはダイニングのところの段差がちょうどいい感じで、誰でも座ってくつろげるんです」
人が集まれば、さらにダイニングテーブルに座って食事をする人もいれば、リビングの窓の外につくられた縁側でビールを飲む人もいて、さらにキッチンでは何人かで一緒にご飯をつくれるという具合に、1階は一体感を保ちつつそれぞれに楽しく過ごせる空間なのだという。
さまざまに楽しみながら料理のできるキッチン
キッチンのあるスペースは、土間にしてほしいという希望だったという。土間は玄関からキッチンを通って外へと出る扉まで続いているが、そのすぐ外にある川の眺めを気軽に楽しめるようにこのようなプランになったという。
「とにかく開放的なキッチンにしたかったんですね。あと、川など外の景色を見ながら料理をしていると、さびしい感じもしないだろうなというのもあって」
このキッチンでは、お子さんが目の前のリビングで遊んでいるのを見ながら料理ができるのがいいという。「テレビを見ながらでも、音楽を聴きながらでも料理ができるし、主人とふたりで料理することもできて、ほんとうに楽しみながら料理をつくることができるんです」
素材と色にもこだわりつくす
以前から持っている家具などを活かしたいというのもこの家を建てる際に特にこだわったところだったが、そのために自ら、今回新たに製作した家具の素材選びまでしたという。玄関を入ってすぐのところからキッチンまで続く食器棚は、その横に置かれたキッチン用具などを収めた古い家具に高さを合わせて製作されたものだが、その素材を古材屋さんまで探しに行ったのだという。
「あの家具の隣に真新しい材がくると浮いてしまうと思って、新築の家に古い材を使うのは賭けみたいなところもあったんですが、朝から1日かけて4枚選んできました」
その迫力に建築家が驚いたというこの材、好みに合うものを単に選んだのではなく、空間での収まり具合を考えた上での選択でもあったという。「いちばん上の板は下から見上げることになるので見上げた時の感じがいいものを選んだんです。一番下は一番間近に見えるのできれいな板を選びました」。順番も同様に考慮して、色合いを交互に変えて上から茶色・白・茶色・白というようにしたのだという。
素材そのものに加え、その色にもこだわった。床・壁・天井と濃い茶色が印象的に使われているが、これを空間にどの程度塗っていくのかは施工の最後の段階まで建築家とともに悩んだという。
「素材感をいかした方がいいのか、塗りつぶしてしまった方がいいのか、最後の最後まで迷って。あと玄関の扉が白なのですが、茶色の中にそこだけ白いのがあるのもおかしいんじゃないかとかけっこう悩みました」
「1階は夏はけっこう風が通って窓を開けるとほんとうにエアコンを付けなくても涼しいんですね。そんな中でご飯をつくってるのも楽しいですし、たまにお月様がきれいだと縁側に座ってみんなでご飯を食べたりもします。そういうことが手軽にできるところもとても気に入っています」
笑顔で話す奥さんの言葉からこの家での生活を心から楽しんでいるのが伝わり、家づくりにかけた思いに空間が十分に応えてくれているように思えた。
設計 森清敏+川村奈津子/MDS
所在地 神奈川県横浜市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 72.92m2