Style of Life
こだわりのオーディオ空間を実現色と視線の変化で
家の奥行き感を創り出す
色の組み合わせを楽しむ
玄関からリビング、リビングからダイニングへ。ジグザクな動線で、視界が次々に開けていく。ドアで仕切るのではなく、視線を変えていくことで、奥行き感と空間が変化するワクワク感を楽しめる。奥のダイニングは床の高さも下がっていて、巣籠もり感と、深いグリーンの色使いで、ゆっくりと落ち着ける空間になっている。
印象的な明るいグリーンの本棚の色をはじめ、ドアやカーテン、ラグ、ラーチ合板やフローリングの木の色、そして天井や壁の白……、色の配色やバランスがとてもいい。
「色にはこだわりました。最後まで悩んだのがカーテンでした。やっと見つけた『クリエーションバウマン』のカーテンは、色も素材感も一目で気に入りました」
SE工法で大開口が実現
松原邸は、SE工法と呼ばれる耐震性の高い工法で建てられている。
「構造計算のできる集成材の梁と金物が使われます。大きな空間を作りながら、開口部も大きくとれることが特徴です」
SE工法にしたことで、庭を囲むような大きな窓を作ることができた。
「網入りのガラスではなく、透明な耐熱強化ガラスにして、眺めの良さを優先しました」
天井や壁にはラーチ合板がそのまま見える場所も。
「日本のラーチ合板の代表的な生産地が石巻なのだそうです。2011年の震災で工場が大きな被害を受けたそうですが、我家の材料はなんとか確保できました。被災地への思いを忘れないためにも、”石巻”とプリントされている部分を残しています」
祖母の家の思い出を食器棚の扉に
松原邸が建つ場所には、もともと松原さんの祖母の家があったのだそう。松原さんも大学時代はここに住んでいたこともあったとか。リノベーションも考えたが、思い切って建て替えを選択。祖母の家の思い出は、キッチンの食器棚に使っている木の扉に残されている。
「祖母の家の玄関で使われていたものを、丁寧に剥がして、食器棚の扉にしました」
ダイニングテーブルと椅子も祖母の家で使われていたものだそう。
「椅子は、割れている部分を修理して塗装し直してもらいました」
夢のオーディオ空間が実現
ダイニングルームの隣には、オーディオルームがある。自他共に認めるオーディマニアの松原さん。一軒家を作るにあたり、オーディオルームの設計には全力を注いだそう。
「なるべく広く作りたくて、設計図のオーディオルームの広さをミリ単位で広げてました(笑)。仲間のオーディオルームを見せてもらいにも行きました」
床を下げ、基礎にそのまま床材を張っている。コンセントの位置が高いのは、そのためなのだそうだ。
実際に音を聞かせてもらった。ソファに腰をかけると、目の前で松田聖子が歌い、マイケル・ジャクソンのステージに飛び込んだような臨場感に圧倒される。
「最近のCDとレコードの聴き比べもしますが、やはり70年代に録音されたレコードの再現性は非常に高いですね」
部屋に籠もってがっちり聴き込む一方で、オーディオルームのドアを開けて音が聞こえるようにして、ダイニングで食事をしながら気軽に音楽を楽しむことも多いのだとか。
引っ越して4年になるが、まだ未完成の場所があるのだそそう。
「日差しを和らげるためのグリーンカーテンを作るなど、緑は楽しんでいるのですが、庭は手付かずなんです。今年こそは、なんとかしたいです」
設計 一條美賀+一條太郎(まんぼう)
所在地 東京都中野区
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 111m2