Style of Life
海外で集めたインテリアが映える素材もカルチャーもミックス
オリジナル空間が心地よい
玄関にも溢れる独創性
「夫婦揃って海外出張が多いんです。特に僕がよく行くのはアメリカ西海岸なのですが、その雰囲気は出ているかもしれません」。『journal standard relume』のバイヤーとして世界中を回る松尾忠尚さん。仕事柄増える洋服や趣味のアウトドアグッズなど、あふれるモノを収めるためにも、1軒家を建てることに。
「小学生の娘の通学も考えて土地を探し、パシフィックファニチャーサービスに依頼しました。あまりクラシックにせず、いろんなスタイルの融合を目指しています」。
欧米のスタイルを取り入れて、玄関は半土間のような、段差を排した空間に。“公共施設っぽさ”を出すため、1階はベッドルーム以外、玄関から奥のバスルームまですべてグレーのタイルで統一した。
「インダストリアルな雰囲気を出したくて。鉄骨の階段はマストでした」。中央に配置された階段は、その無骨な佇まいが松尾邸の象徴のように思える。「非常階段みたいですが(笑)、抜けができて開放的になるし、光も空気も通せます。家族の声や物音もうるさいくらいよく聞こえますよ」。
空間を贅沢に使ったバスルーム
「バスルームは海外のモーテルを意識して、チープな感じを出しました。休みの日は長風呂をするので、バスタブに浸かりながら外が見えるように、大きな窓も設けてもらいました」。
白いサブウェイタイルで統一されたバスルームは、広々としていてシンプルで美しい。窓の外のウッドテラスには、『SOLSO』に依頼したというオージー系の植栽が茂り、旅先のような、映画のワンシーンのような、優雅なバスタイムが想像される。
「ベッドルームは小さくても構いませんが、バスルームや玄関など、共有スペースは広く取りたかったんです。贅沢をしましたが、満足しています」。
奥様は海外ブランドの広報の仕事に従事。お互いに毎日忙しいため、シンクはダブルにすることをオーダーした。洗面の横のウォークスルーのクローゼットを通ればベッドルームに抜けられるようにもなっていて、動線にも無駄がない。
家もインテリアも自分流に
高さ制限を考慮しなければならなかった2階の天井は、形を優先して切妻屋根に。「その方が視覚的に高さと広さを出せると思って」。三角屋根の下は、イタリアンモダンあり、北欧アンティークあり、米軍放出品あり…。そこに世界各国で集めた雑貨やグリーンがミックスされ、無国籍なワンダーランドのよう。
「ひとつのテイストで統一するのは好きではないですね。デザイナーものじゃないもの、アノニマスなものも混ぜたいと思っているんです。だから、この家に合わせて買ったものもあまりないです。昔から持っていた家具などを活かしています」。
そんな松尾さんのインテリアコンセプトは、パシフィックファニチャーサービスの理念とも合致するよう。あえて剥げた感じの白い塗装で仕上げたパイン材の天井に、床はダイニング側を素焼きのタイルで、リビング側をアピトン材で分けて、ワンフロアを視覚的に区分け。ソフトとハードのミックス感が絶妙だ。
「ベランダは部屋の容積を削ってでも広く取りたかったですね。アウトドアリビングのように部屋からつなげたかったので、リビングを一段高くしてもらいました」。テラスに出ると、隣家の庭に生い茂る木々が目を癒してくれる。
家族それぞれの思い出を大切に
キッチン、ダイニング側には家族で共有する書斎をオープンに設置。「ビスレーのキャビネットに天板を載せて家具塗装をかけました。子供もいつもここで勉強しています」。椅子はヴィンテージのドラフティングチェア。「ひとつはフランス、ひとつはアメリカで購入しました。以前は、家具なども出張先でよく購入して持ち帰ってきましたね」。
ミリタリーのトランクや蚤の市で買ったアイアンテーブル、少数民族の民芸品…。海外で出会ったものが松尾さんのセンスを刺激し、また仕事に反映される。「そんなこともいつまで続けられるか分からないので、最近は出張先でスノードームを買い集めたり(笑)。でも気に入ったものを揃え、少しずつ手を加えて、インテリアもチェンジしながら暮らしていきたいと思います」。