Style of Life

海外で集めたインテリアが映える素材もカルチャーもミックス
オリジナル空間が心地よい

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玄関にも溢れる独創性

「夫婦揃って海外出張が多いんです。特に僕がよく行くのはアメリカ西海岸なのですが、その雰囲気は出ているかもしれません」。『journal standard relume』のバイヤーとして世界中を回る松尾忠尚さん。仕事柄増える洋服や趣味のアウトドアグッズなど、あふれるモノを収めるためにも、1軒家を建てることに。

「小学生の娘の通学も考えて土地を探し、パシフィックファニチャーサービスに依頼しました。あまりクラシックにせず、いろんなスタイルの融合を目指しています」。

欧米のスタイルを取り入れて、玄関は半土間のような、段差を排した空間に。“公共施設っぽさ”を出すため、1階はベッドルーム以外、玄関から奥のバスルームまですべてグレーのタイルで統一した。

「インダストリアルな雰囲気を出したくて。鉄骨の階段はマストでした」。中央に配置された階段は、その無骨な佇まいが松尾邸の象徴のように思える。「非常階段みたいですが(笑)、抜けができて開放的になるし、光も空気も通せます。家族の声や物音もうるさいくらいよく聞こえますよ」。


タイル敷きの床に鉄骨の階段が、インダストリアルな雰囲気。基礎を温める蓄熱設備を採用し、冬も床からじんわりと暖かい。
タイル敷きの床に鉄骨の階段が、インダストリアルな雰囲気。基礎を温める蓄熱設備を採用し、冬も床からじんわりと暖かい。
半土間のような玄関。鉄骨階段とマッチするスチールロッカーは、『journal standard Furniture』のもの。
半土間のような玄関。鉄骨階段とマッチするスチールロッカーは、『journal standard Furniture』のもの。
階段の下をアウトドアグッズなどの収納スペースとして活用。キャンプや登山用品、工具などを収める。
階段の下をアウトドアグッズなどの収納スペースとして活用。キャンプや登山用品、工具などを収める。


収納コーナーは分かりやすいようオープンに。「LYON」のシェルフを設置し、DIYで有孔ボードを貼りフックを取り付けた。
収納コーナーは分かりやすいようオープンに。「LYON」のシェルフを設置し、DIYで有孔ボードを貼りフックを取り付けた。
トイレにはステンレスのカウンターを採用。ベンツのハンドルを飾りに。
トイレにはステンレスのカウンターを採用。ベンツのハンドルを飾りに。
モールディングの加工がクラシカルな壁面には、お気に入りの絵やオブジェを。
モールディングの加工がクラシカルな壁面には、お気に入りの絵やオブジェを。


空間を贅沢に使ったバスルーム

「バスルームは海外のモーテルを意識して、チープな感じを出しました。休みの日は長風呂をするので、バスタブに浸かりながら外が見えるように、大きな窓も設けてもらいました」。

白いサブウェイタイルで統一されたバスルームは、広々としていてシンプルで美しい。窓の外のウッドテラスには、『SOLSO』に依頼したというオージー系の植栽が茂り、旅先のような、映画のワンシーンのような、優雅なバスタイムが想像される。

「ベッドルームは小さくても構いませんが、バスルームや玄関など、共有スペースは広く取りたかったんです。贅沢をしましたが、満足しています」。

奥様は海外ブランドの広報の仕事に従事。お互いに毎日忙しいため、シンクはダブルにすることをオーダーした。洗面の横のウォークスルーのクローゼットを通ればベッドルームに抜けられるようにもなっていて、動線にも無駄がない。


華美さはないが清潔で心地よいバスルーム。シャワーは外付けに。広々とした贅沢空間。
華美さはないが清潔で心地よいバスルーム。シャワーは外付けに。広々とした贅沢空間。
『SOLSO』に依頼した植栽。グリーンのメリハリがつくように、シルバー系のブルーブッシュなどをセレクト。
『SOLSO』に依頼した植栽。グリーンのメリハリがつくように、シルバー系のブルーブッシュなどをセレクト。
無機質になりすぎないよう、シンク下は家具っぽいテイストに。パシフィックファニチャーサービスの造作。
無機質になりすぎないよう、シンク下は家具っぽいテイストに。パシフィックファニチャーサービスの造作。


バスルームからウォークスルークローゼットを通って、ベッドルームまで一直線。
バスルームからウォークスルークローゼットを通って、ベッドルームまで一直線。
ベッドルームは一面に木を取り入れあたたかみをプラス。サイドにはメープル材のテーブルを置いた。
ベッドルームは一面に木を取り入れあたたかみをプラス。サイドにはメープル材のテーブルを置いた。


家もインテリアも自分流に

高さ制限を考慮しなければならなかった2階の天井は、形を優先して切妻屋根に。「その方が視覚的に高さと広さを出せると思って」。三角屋根の下は、イタリアンモダンあり、北欧アンティークあり、米軍放出品あり…。そこに世界各国で集めた雑貨やグリーンがミックスされ、無国籍なワンダーランドのよう。

「ひとつのテイストで統一するのは好きではないですね。デザイナーものじゃないもの、アノニマスなものも混ぜたいと思っているんです。だから、この家に合わせて買ったものもあまりないです。昔から持っていた家具などを活かしています」。

そんな松尾さんのインテリアコンセプトは、パシフィックファニチャーサービスの理念とも合致するよう。あえて剥げた感じの白い塗装で仕上げたパイン材の天井に、床はダイニング側を素焼きのタイルで、リビング側をアピトン材で分けて、ワンフロアを視覚的に区分け。ソフトとハードのミックス感が絶妙だ。

「ベランダは部屋の容積を削ってでも広く取りたかったですね。アウトドアリビングのように部屋からつなげたかったので、リビングを一段高くしてもらいました」。テラスに出ると、隣家の庭に生い茂る木々が目を癒してくれる。


ダイニングより一段高くなったリビング側は、木材の床が落ち着いた雰囲気。
ダイニングより一段高くなったリビング側は、木材の床が落ち着いた雰囲気。
仕切りはないが、雰囲気が分かれるダイニングとリビング。グリーンがうまく調和させている。リビング側の照明は、ちょっと無骨な味わいのあるアンティークのシャンデリアを。
仕切りはないが、雰囲気が分かれるダイニングとリビング。グリーンがうまく調和させている。リビング側の照明は、ちょっと無骨な味わいのあるアンティークのシャンデリアを。
カトリーヌ・メミのモダンなソファーに、クッションで色を添える。
カトリーヌ・メミのモダンなソファーに、クッションで色を添える。
ミリタリーのトランクに観葉植物をアレンジしてディスプレイ。
ミリタリーのトランクに観葉植物をアレンジしてディスプレイ。


米軍放出のキャビネットの上には、ヒースセラミックの小壷や、インディアンのズニ族の焼き物などを飾る。
米軍放出のキャビネットの上には、ヒースセラミックの小壷や、インディアンのズニ族の焼き物などを飾る。
エーロ・サーリネンのイージーチェアやハンス・J・ウェグナーなど、アメリカで購入。
エーロ・サーリネンのイージーチェアやハンス・J・ウェグナーなど、アメリカで購入。


家族それぞれの思い出を大切に

キッチン、ダイニング側には家族で共有する書斎をオープンに設置。「ビスレーのキャビネットに天板を載せて家具塗装をかけました。子供もいつもここで勉強しています」。椅子はヴィンテージのドラフティングチェア。「ひとつはフランス、ひとつはアメリカで購入しました。以前は、家具なども出張先でよく購入して持ち帰ってきましたね」。

ミリタリーのトランクや蚤の市で買ったアイアンテーブル、少数民族の民芸品…。海外で出会ったものが松尾さんのセンスを刺激し、また仕事に反映される。「そんなこともいつまで続けられるか分からないので、最近は出張先でスノードームを買い集めたり(笑)。でも気に入ったものを揃え、少しずつ手を加えて、インテリアもチェンジしながら暮らしていきたいと思います」。


テラスのような雰囲気の明るいダイニング。圧迫感のないガラステーブルをセレクト。
テラスのような雰囲気の明るいダイニング。圧迫感のないガラステーブルをセレクト。
奥まったスタイルがアメリカっぽく、満足しているというキッチン。ご夫婦の身長に合わせてシンクの高さを決めて造作。
奥まったスタイルがアメリカっぽく、満足しているというキッチン。ご夫婦の身長に合わせてシンクの高さを決めて造作。
オープンな書斎は家族で共有。棚には大切なグッズをディスプレイ。
オープンな書斎は家族で共有。棚には大切なグッズをディスプレイ。
E&Yのガラステーブルは、脚の塗装をあえてはがした。
E&Yのガラステーブルは、脚の塗装をあえてはがした。
形にこだわって選択した切妻屋根の家。
形にこだわって選択した切妻屋根の家。