Style of Life
カフェオープンを目指して手をかけて育む暮らしに
癒しの空気が満ち足りる
のびのびとした生活を
菓子・料理家として、カフェライターとして活躍する渡部和泉さんは、今年5月に東京郊外ののどかな土地に1軒家を新築したばかり。
「仕事場でもあるので、ある程度の広さが欲しいことと、子供も生まれたので自然素材の家でのびのび育ってほしい、と思ったことがきっかけでした」。周辺は大きな公園もある緑豊かな環境。三鷹から多摩湖まで続いているという、車両通行禁止のグリーンロードが近くにあることも、この土地を選んだ大きな決め手だった。「お散歩したりするのも気持ちがいいです。子供には地域の人と触れ合いながら育って欲しいと思っていて、まさに望んでいた環境が手に入りました」。
和泉さんは現在、自宅でお菓子教室「atelier mel」を開きながら、個人経営のカフェを取材してまとめた本「私サイズの小さなカフェ」を出版、続編を執筆中。将来の夢である自らのカフェオープンも視野に入れ、数々のカフェをめぐった経験を活かして、グラフィックデザイナーのご主人・真市朗さんとともに家づくりをプランニングしていった。
環境にやさしい家づくり
「カフェにいらしたお客さんにもお菓子教室の生徒さんにも、喜んでもらえる空間をつくりたいと思いました。お料理の撮影も行うので、光がたっぷり入ることも大事な条件でした」。清潔な無垢の床材が敷かれた広々としたリビングダイニング。開口部の向こうには、スイカ畑の緑が広がる。
「基本的な間取りは主人とふたりで考えて、建築家さんは入れずに、工務店さんに直接相談しました」。照明や棚などは、できるだけ自分たちで用意する施主支給の形で、なるべく予算をカット。床には自然派オイルのワックスを、壁には珪藻土をふたりで塗り上げるなどDIYも行った。
「建材や接着剤の匂いが気になるんです。子供のためにも、なるべく身体にやさしい環境にしたいと思いました」。天井には匂いや湿度を調整してくれる壁紙、オガファーザーを使用。通気と断熱を考えたWB工法も取り入れた。「あまり冷房を入れたくなくて。お客様がいらしたときはもちろん入れますが、家族だけの時はあまり使いません。自然に風が通るほうが心地いいんです」。
カフェ開業を目指したキッチン
黒板塗装の仕切りでダイニングと緩くつながるキッチンは、緑のタイルが印象的。「主人も私も、気がつくと緑を選んでいることが多いんですよね(笑)。色々とカタログを見て、悩んで選びました」。昔からカフェや雑貨屋を巡るのが大好きだったという和泉さん。あちこちのお店で、自然にインプットされたコーディネートが活かされているのかもしれない。
「キッチンはカフェ営業を考えて、営業許可の基準を満たせるようにしています。オールステンレスでオーダーしたのですが、シンプルで機能的で、使いやすいことが第一条件でした」。
ストウブのお鍋をはじめ、愛用品が並ぶキッチンは隅々まで磨き上げられ、料理づくりへの愛情が感じられる。真市朗さんはコーヒーにはまっていて、温度にこだわり、1杯1杯ドリップして香り豊かなコーヒーを楽しむ。「カフェを開業したら、コーヒーを淹れるのは僕担当なんです。コーヒーは嗜好品なので答えがないのが面白いですね」。
既製品のものに色を塗り、アンティークの鍵穴プレートをつけて雰囲気を出したドア、ブームになる前からはまっていた北欧雑貨、ヴィンテージのチェストなどで彩られた味のある空間は、カフェオープンが今から楽しみに感じられる。
成長が楽しみな家
2階はベッドルームと4畳の真市朗さんの書斎。「将来は子供部屋として区切って使えるように、ベッドルームはワンフロアの空間にしました。その方が後でフレキシブルに使えると思って」。
WB工法による空気の循環で、ベッドルームもクリーンさと快適さが保たれる。バスルーム、トイレも隣接していて、動線のよさも想像できる。隣の4畳の書斎は、空間を広く見せるために、勾配をつけて高さを出した。
「まだまだ手を加えていきますが、これからやりたいのは、外構や庭ですね。レンガを敷いてみたり、グリーンカーテンの植物を植えたりしてみたところです。これからどう育っていくか、楽しみですね」。
広いリビングを3歳の樹歩ちゃんが走り回る。家とご両親の夢とともに、これから成長していくのが楽しみだ。