Style of Life
お気に入りの絵が似合う家に絵を中心に心地の良い
ハーモニーを奏でる空間
ふんだんに光の差し込む空間
「趣味で阿波踊りをやっているので、高円寺での踊りの練習に自転車で行くことができて、かつ、妻が仕事でよく行く写真スタジオや出版社に車で30~40分くらいの距離ということでこの土地に決めました」と語るのはシステムエンジニアをされている高原さん。
杉並区の神田川に近いその敷地で始まった家づくりでは、まず高原さんのお父さんのためのスペースが必須であった。ともに仕事をもつ高原夫妻にとって、小さな娘さんの世話を助けてもらえる肉親の存在はありがたい。将来の同居を見据えての計画となった。
「前に住んでいた賃貸の一軒家が日当たりがあまり良くなく窓も少なくて暗かったんです。それでとにかく日当たりを良くしてほしいというのはお願いしました」
このリクエストに応えて、建築家の坂野さんは2階のリビング部分を吹抜けにして南側の壁面に上下2段で開口を設けた。ふんだんに光が差し込む空間は、南側の隣家の存在を忘れてしまうほどに明るくて心地がよい。
絵が似合う空間
この気持ちの良い空間を特徴づけているのが、グレーの壁紙の貼られた壁面だが、夫妻はこのブルーの少し混じったグレーの色味にとてもこだわったという。最終的にはサンプルを見て決めたが、リビングの壁にかけられた絵との相性も大きなポイントだった。
「この絵は友人が描いたもので、7、8年前に購入しました。一人暮らしをしているときに絵がほしくて買ったんですが、それからずっと、引っ越しをしたり、今回のように家をつくったりするときにはインテリアの指針にしてきました」(奥さん)
絵が似合う家にしたい、絵がなじむようなところにずっと住んでいきたいと思ってきたという奥さん。坂野さんには、「絵をもとにイメージをふくらませてほしい」と伝えたという。
建具は、コスト面を重視して選んだフローリングの色と合う木の色で白木に近いものだった。ダイニング部分は、すべての面をグレーにした場合、暗い印象になるのではということで天井は白の壁紙を選択した。
品のあるハーモニー空間
2階は、夫妻がこだわって決めたグレーが清々しさと同時に温かみも感じさせ、かつ品のある空間になっている。お2人ともこの家で好きなのは、この2階の空間という。
「僕は土日の朝、光が差し込んだこのリビングでのんびり過ごすひと時が一番好きですね。ちょうど午前中の今くらいの時間帯がいちばん気持ちが良いです」
空間の基準となる絵を中心として、全体がハーモニーを奏でているかのような空間は確かに心地よく、自然と日頃の疲れを癒してくれる、そんな効果もあるようにさえ感じられた。
設計 フラットハウス
所在地 東京都杉並区
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 105.1m2