Style of Life
多肉植物と暮らすシンプルな箱にアンティーク
豊かに佇む「小さな家」
![170821matsuda_head 170821matsuda_head](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_head.jpg)
温室を備えたくて郊外へ
多肉植物専門店「solxsol」の松山美紗さんは、昨年秋に一軒家を新築したばかり。
「温室を建てて苗を育てたかったので、広い土地を探したんです。見つけるのに2年かかりました」。
埼玉の自然に恵まれた立地。東京に通勤する夫を送り出し、1歳の長男を保育園に送ったら、毎日ハウスで多肉植物を栽培する。真っ白な四角い箱のような家のまわりでは、ハーブや野菜類も育てている。
「自然を身近に感じて暮らしたかったんです。今、庭仕事も楽しくて、多肉以外にも色々とやってみたくなりました」。
ハウスの仕事から家に戻ったときに上がりやすいように、玄関はモルタルで土間風に。アーチ型の仕切りの向こうにLDKがあり、窓の向こうには広々とした麦畑が広がる。
「初夏の頃は、麦が金色に輝いて本当にキレイだったんですよ。宮崎駿の世界みたいでした」。
![モルタルの土間とLDKの間の仕切りはアーチ型に。アンティークの家具が、自然豊かな郊外での暮らしにしっくりなじむ。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_01-700x473.jpg)
![真っ白な箱のような外観。無駄な装飾のない潔さがいい。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_02l-350x525.jpg)
![家のまわりではレタスやトマト、ハーブなどを育てている。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_02r-350x525.jpg)
窓からの景色が映える家
ル・コルビジェの「小さな家」が好き、という松山さん。直線的な線に囲まれた四角い白い家は、建築士にそのイメージを伝えて完成した。
「豆腐みたいだねって言われます(笑)。古くなっていけばいくほどよくなっていく、そういう家にしたいと思いました」。
こだわったのは、“自然をゆっくり眺めて暮らせる部屋”。レマン湖の景色が大きな開口部から取り込まれる「小さな家」のように、窓からの借景が目にまばゆい。
「間取りをどうしたらいいか思いつかなくて、とりあえずシンプルな箱を作ってもらいました。家族形態も変わってくるので、後から考えればいいと思ったんです」。
1階のLDKに、2階はベッドルームと今はクローゼットにしている大部屋が。後から仕切れるように電気の配線を考えてもらった。ざっくりした造りの中、細部にこだわりが感じられる。例えば、キッチン。
「白ばかりだとナチュラルになりすぎてしまうので、シンクはチャコールグレーのモールテックス仕上げにしました。ポイントで少し強いものを入れたかったんです」。
階段の手すりはオーダーで作ってもらった黒のアイアンで。ドアにはアンティークも採用。無垢のナラ材の床に自然素材の風合いが馴染んでいる。
![モールテックス仕上げの味わいのあるキッチン台は、真っ白な空間を引き締める。照明はtamiser。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_03-700x467.jpg)
![器は作家ものや骨董品など、ひとつひとつ温もりを感じるものばかり。最近は骨董市で1940年代のフランスの壷を衝動買い。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_04l-350x525.jpg)
![キッチンの収納にはアルミや古材のボックスなどを使用。ガラス食器や陶器ともうまく調和する。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_04r-350x525.jpg)
![配送用のラッピングなどをする仕事コーナー。小さな窓から緑が眺められる。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_05l-350x525.jpg)
![部屋の模様替えをすることが多く、階段の幅は広めにとってもらった。ここで読書をするのがお気に入りだそう。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_05r-350x525.jpg)
月明かりが美しい寝室
2階のベッドルームも、横長の窓から周囲の景色が眺められる。カーテンはつけないのが松山さん流。
「今のところ不便ではないのでそのままにしているんです。夜は月明かりが美しいし、朝は日の光で目が覚めるんですよ」。
麦畑の向こうの木立ちのような茂みから、風に木々がそよそよとそよぐ音が聞こえ、自然との一体感が感じられる。アンティークばかりを揃えたインテリアも癒しのムード。
「昔から好きで買い集めていたものなんです。今も骨董市によく行きますよ」。
消毒液の匂いのするキャビネットは、松山さんが自らやすりをかけて色を落とし、まわりの雰囲気になじませたのだそう。
「古い時代を描いた映画や朝ドラを観るのが好きで。ストーリーよりも、小道具に興味があるんです」。
![アンティークで彩られた空間に、光が降り注ぐ2階。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_06-700x467.jpg)
![シンプルなベッドルーム。カーテンはかけず、朝晩の自然のサイクルを楽しむ。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_07-700x467.jpg)
![本や資料、仕事の書類などもアンティークの棚に。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_08l-350x525.jpg)
![素材の風合いがシンプルな空間に癒しを与える。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_08r-350x525.jpg)
![室内の多肉植物は実験的な意味あいも。猩々丸、ブルセラなど。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_09l-350x525.jpg)
![設計士さんとの打ち合わせで使った模型。「小さな家」を思わせる。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_09r1-350x233.jpg)
![窓際にはかわいいサボテン。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_09r2-350x233.jpg)
植物に囲まれて
水廻りも暗いのはNG。バスルームはガラス張りに、トイレには天窓を取り付けた。開放的な白い空間には、あちこちに多肉植物が置かれて、潤いを与えている。
「ここに置いたらどう育つかとか、実験的な意味もあるんです」。
ダイニングテーブルの上は、結婚指輪の代わりに買ってもらったというGRASのヴィンテージのランプに、黒法師、ハオルシアなどの多肉植物がよく似合っている。ここでコーヒーを楽しむのも日課。
「カフェが好きなのですが、なかなか行けないので家カフェのようにできたらいいなと思っているんです。仕事の合間にゆったりする時間が好きですね」。
好きなものに囲まれた暮らしの充足感が伝わってきた。
![ガラス張りで明るいバスルーム。洗面台もモールテックス仕上げに。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_10l-350x525.jpg)
![天窓から光が差し込むトイレの一角。ここにも多肉植物を飾る。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_10r-350x525.jpg)
![昔買った呼び鈴を使用。リンリンと素朴な音が鳴る。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_11l-350x525.jpg)
![ドアノブはすべてアンティークや真鍮に。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_11r-350x525.jpg)
![経年の魅力のあるテーブルやイスに、GRASのランプが味を出すダイニング。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_12l-350x525.jpg)
![毎日水やりをするため、井戸も掘った。ハウスの扉も古道具屋で見つけたものを使用。](https://img.100life.jp/2017/08/170821matsuda_13l-350x525.jpg)