Style of Life
“間”を紡ぐ建築家の自邸自在に姿を変える空間が
暖かなコミュニティを育む
曜日と時間で使い方が変わる1階
井の頭線池ノ上駅からほど近い、線路の土手に面して建つ建築家の江頭 豊さんの自邸は、フレキシブルに人と人をつなぐ装置として設計されている。
一家4人で夕食を囲む自邸の1階『DOTEMA』は、平日の昼間はコワーキングスペース、週末はワークショップやキッチンスタジオ等のイベントスペースにもなる。そして同じ敷地内に、4戸の賃貸ワンルームも併設している。
豊さんは朝食を1階のカウンターでゆっくりと摂るのが日課なのだそう。
「子どもたちがバタバタと2階で朝ごはんを食べている間に、僕は1階で優雅にコーヒーなど楽しんでいます(笑)。家族で1階で夕食をとったあとは、そのままここでお酒を飲んで、プロジェクターで映画を楽しむことも多いですね」
平日はノートパソコンを広げて仕事もする。まさにひとつの空間の使い方を臨機応変に変えているのだ。
外のデッキスペースは、1階の土間からシームレスにつながっており、イベント時の交流の場となったり、賃貸の住人達との交流の場になったり、近くの子どもがやって来てブランコで遊ぶ。
自在な使い方ができる“間”が、人と人との関係を紡ぎ、豊かなコミュニティを創造している。
4戸の賃貸住宅を併設
自邸の隣は4戸の賃貸住宅になっている。江頭さんの以前のお宅は、賃貸住宅があった場所にあったのだそう。
「家の隣に空いていたスペースを買い受けて敷地を広げ、現在の家を作りました」
ウッドデッキは、江頭さん家族、賃貸の住人、そして『DOTEMA』を利用する方の共通の庭。賃貸の住人たちとここでバーベキューを楽しむこともあるのだそう。
2階の自宅部分はくつろげる雰囲気に
2階は家族のプライベート空間。針葉樹合板の木目を活かした、ナチュラルでリラックスできる雰囲気の第2のリビング。交流の場である1階の『DOTEMA』とは違った魅力を楽しめる。
窓からの眺めも、1階は線路の緑の土手を、2階からは風景の広がりを堪能できる。
天井高を活かし、ロフトを造っている。普段使わないモノや、季節の衣類を収納している。
扉のないシームレスなリビング
寝室とリビングの間は扉をつけず、シームレスな空間に。寝室の傾斜のある天井は巣ごもり感たっぷり。ゆっくりと朝まで熟睡できる。
「今はベッド2つ並べて4人川の字に寝ています」
子どもたちの成長に合わせて2階の空間も、そして1階で育む人々との絆も、変化しながら豊かに成長していくに違いない。
江頭邸
設計 江頭 豊(DOTEMA)+越浦太朗建築設計事務所
所在地 東京都世田谷区
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 195㎡