Style of Life
108段の先に建つ家鎌倉の古民家で
手仕事を楽しむ
レンガをひとつづつ敷き詰めて
鎌倉の森の中を抜ける不揃いの階段を108段昇ると、庭を囲むように4軒の古民家が建つ一角が現れる。その中の1軒が山下りかさんの住まいだ。
「子どもの独立を機に鎌倉や葉山への移住を考えていた時に友人が紹介してくれた家です。雨漏りしている家を自分で直して住みたいと、家族にこの家の写真を見せたら心配されました。でもチャレンジしたい気持ちのほうが大きかったです」
その決断には、DIYの腕に覚えのある頼もしい友人の存在が大きかったのだとか。
雨漏りしていた場所の床ははがして、古い耐火レンガを敷いた土間にした。
ひとつ3.5kgのレンガ630個と25kgのセメント袋を、108段の階段の先に自力で運びあげる力仕事からセルフリノベーションが始まった。
そして丁寧に水平にした床にセメントを粉のまま床に撒き、その上にレンガを並べて目地にセメントをつめ、最後に水を撒く。
「セメントを水で練って左官で仕上げる方法が一般的ですが、そのスピード勝負のやり方は私の手には負えないと判断した友人が見つけてくれた手順です」
愛情込めて敷かれたレンガの土間は、こうして3ヶ月かけて完成した。
庭仕事を楽しむ
種から育てた苗を畑に植える。
「友人が山梨でビオ農法をしていて、種を譲っていただきました」
朝から庭に出て草取りをする。取ったスギナやドクダミも無駄にせず、剪定した枇杷や無花果の葉とともに乾燥させてお茶にする。
豊かな自然に囲まれた場所で、ゆっくりと時間が流れる。
手仕事を楽しむ毎日
ライアーという竪琴の演奏や、手仕事のワークショップを開催している山下さん。庭の樹の枝や葉も大切な素材のひとつ。
畑で収穫した野菜で料理をしたり、縫い物や編み物をし、手仕事を楽しんでいる。
セルフリノベーションも手を動かす楽しみのひとつ。
「家の中が落ち着いたら、外壁や屋根も直したいと思っています。春の庭仕事も楽しみです」