小さな家の、大きな吹き抜け空間広くて開放感いっぱいの空間でワイワイ遊ぶ

小さな家の、大きな吹き抜け空間広くて開放感いっぱいの
空間でワイワイ遊ぶ

仕事で帰りが遅くなることが多いという大畑さん。“タクシーでも帰られる場所”というのが、新宿駅から歩いて10分ほどという好立地に家を建てようと考えた理由のひとつだった。それと、将来、転売することも視野に入れ、地価があまり下がらなそうな場所ということを考えての選択でもあったという。

高層ビルがすぐ近くにそびえ立つこの敷地に家を建てるにあたって大畑さんがまず考えたのは、リビングを過ごしやすく気持ちのいい場所にすることだったという。「それと、最初に思ったのは、人がけっこう来たりしてワイワイと遊ぶので、楽しく遊べるような感じにしたかったんですね」


リビングから見上げる。この吹き抜け空間の最高高さは8mもある。

リビングから見上げる。この吹き抜け空間の最高高さは8mもある。

リビングから上を見上げると、何本もの鉄骨がかかっているのが見える。

リビングから上を見上げると、何本もの鉄骨がかかっているのが見える。


ぜんぶ吹き抜けにしましょう!

以前住んでいたマンションでも、週末には友人や同僚の人達が遊びに訪ねて来ることが多かったので、「もっと広いところに越して遊びたいねと」。人が多く集まれば当然音の問題も出てくるため、他に気兼ねなく楽しみたいというのも一軒家をつくろうと思い立った動機のひとつだった。

広くて開放感のあるリビングが希望だったが、高さ8mもある吹き抜けは想定外だったという。「吹き抜けもいいねって話はしてましたが、最初はここまでという感じではなかった。2階ぐらいの高さの吹き抜けかなと思っていたら、建築家の能作さんがぜんぶ吹き抜けにしませんか?と」

多いときは週末に20人くらい集まることもあるというが、友人を呼ぶといっても客間を用意できるほど敷地は広くない。そこで、リビングと客間を合体させたような場所をつくろうというところから、こういう大きな空間が出現するような話へとつながっていったという。


2階からリビング空間を見る。

2階からリビング空間を見る。

開放的な吹き抜け空間で、家族とのこんなやり取りもごく自然に。

開放的な吹き抜け空間で、家族とのこんなやり取りもごく自然に。


さらにもうひとつ、この大空間が生まれたのには、他にも理由があった。大畑さんの実家がキリスト教の教会で、この家にも教会のメンバーが集まるという。そこから、“多人数で楽しく遊べる家”に教会的な要素も加わることになった。

ゴシック教会の礼拝堂のように上へ向かって空間が抜けて、サイドの高窓からはふんだんに光が落ちてくる…。大畑さんのほうから教会的な雰囲気を特に求めたわけではないが、教会との関係も勘案した建築家からの提案で自然にそのようなつくりになっていったという。「どうせやるんだったら中途半端じゃなく出来る限り気持ちいいところにしましょうと。わたしが言ったのはそんなようなことだったと思いますね」

そして出来上がった、普通の住宅規模ではありえない吹き抜け大空間。「圧迫されない感じがいいですよね」と大畑さん。「真上を見上げない限りは天井は視界に入ってこないし」といたって満足している。


この吹き抜けは「広々していて、遊びに来た友人たちもすごく気持ち良さそうにお酒を飲んだりしてるのですごく良かった」と妻の真由美さん。

この吹き抜けは「広々していて、遊びに来た友人たちもすごく気持ち良さそうにお酒を飲んだりしてるのですごく良かった」と妻の真由美さん。

ゴチック教会のように、ハイサイドからも光が落ちてくる。珪藻土の壁は大畑さんほか5、6人で塗ったという。

ゴチック教会のように、ハイサイドからも光が落ちてくる。珪藻土の壁は大畑さんほか5、6人で塗ったという。


フレキシブルに変えられる家

この大空間の気持ちの良さを支えているのは、暮らしの変化に対応できるフレキシビリティをもったこの家のつくりだ。今は完全な個室は3階にある寝室のみだが、いずれ、娘の暖(はる)ちゃんの部屋が必要となる。その時にこの吹き抜け部分に部屋を足すことができるようになっているのだ。大きな吹き抜けに上下に掛かる2本の鉄骨梁はその時のためにあらかじめ取り付けられたものだ。

「暮らしながらちょっとずつ変えてけるというような家がいいんじゃないかというな話をしていて、梁を付けておけば3階のところに板を張って子ども部屋を追加できるだろうと。ただそれをつくるのは今じゃなくても良くて、今は今でいちばん楽しく気持ちのいいつくりにしておいて、必要になったらそれを変える。そしてまたいらなくなったら取るというように家族の変化、成長に合わせて一番フィットした形にできたらいいんじゃないかというのが建築家からの提案で、それを聞いて、あ、いいねと」


3階の寝室にもハイサイドからの光が落ちる。木だけの空間で落ち着くというこの部屋は、天井が斜めで山小屋風でもある。

3階の寝室にもハイサイドからの光が落ちる。木だけの空間で落ち着くというこの部屋は、天井が斜めで山小屋風でもある。

2階の階段前の引き戸を開けるとトイレ。

2階の階段前の引き戸を開けるとトイレ。

造り付けの食器棚の脇から階段が始まる。

造り付けの食器棚の脇から階段が始まる。

右は3階へと上る階段。

右は3階へと上る階段。

3階から見下ろす。この家の無垢の部分はラーチ合板を使用している。

3階から見下ろす。この家の無垢の部分はラーチ合板を使用している。

1階キッチンでの真由美さんと暖ちゃん。

1階キッチンでの真由美さんと暖ちゃん。


都会の真っ只中で気持ちの良さを追求した大畑邸には、さらにもうひとつ工夫がある。玄関側の1階の窓をすべて開け放つと縁側空間にすることができるのだ。夏には友人が家族連れで訪れここで座りながら花火したりとかプールやったりもするという。新宿の高層ビル近くでの縁側空間という取り合わせが面白い。

「開放感があってほしいし田舎の縁側みたいなものもほしい。それに木のぬくもりもいいよねとか勝手なことを言って、そういったものを無理やり取り込んだらどうなるかなみたいなことで、この家づくりには実験的なところもありましたね」

楽しめる空間をつくるだけでなく、設計の過程自体も楽しんだという大畑さん。必ずお酒を飲みながらだったという打ち合わせでの、建築家との楽しいやり取りがお話の端々から伝わってくるようだった。


大畑さんは「ここで本読んで音楽聴いてお香を焚いてだらだらしているのが好き」という。

大畑さんは「ここで本読んで音楽聴いてお香を焚いてだらだらしているのが好き」という。

吹き抜け空間そのままの屋根形状。

吹き抜け空間そのままの屋根形状。

大畑邸の斜め前に立つのはサクラの木。満開の時期が楽しみだ。

大畑邸の斜め前に立つのはサクラの木。満開の時期が楽しみだ。

大畑邸
設計 能作淳平建築設計事務所
所在地 東京都渋谷区
構造 木造、一部鉄骨造
規模 地上3階
延床面積 43.12 m2