Architecture
4層を楽しむ光溢れる最上階、重厚な1階
場所ごとに多彩な表情を持つ
![4層を楽しむ 光溢れる3階や地下、重なる壁。 多彩な表情を持つ家 4層を楽しむ 光溢れる3階や地下、重なる壁。 多彩な表情を持つ家](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad-1.jpg)
3階からはグルリと四方の空が見える
建築家の安立悦子さんが家族のために設計した家は、ここが横浜駅から徒歩10分という便利な場所とは思えない閑静な住宅街に建つ。
「北斜面の傾斜地という理由のせいか、土地がポッカリと空いていたんです。ならば私がここに家を建て、街並みの一員になりたいと思いました。事務所を独立したばかりで仕事が忙しい時だったのですが、『今年建てるといいらしい』という夫の言葉もあって、奮闘して作りました(笑)」
斜面を上手く使った、地下1階+地上3階のコンクリート打ち放しのお宅は、それぞれのフロアでまったく雰囲気の違う顔を見せる。
3階は四方グルリと空が見える開放感たっぷりの空間だ。
「昼間は景色を楽しめますし、夜は月や星、稲光もよく見えるんです」
部屋にもバスルームにも明るい光が差し込む2階は、リゾート気分でくつろげる。
![四方が窓になっている開放感たっぷりの空間。屋根はアルミパネル。「牛舎で使われているもので、雨音の感知器でもあります(笑)」](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_001-1-350x490.jpg)
![悦子さんのくつろぎスペース。写真の左下に写っているのが階段の脚の部分。なんとダンベルが使われている!](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_002-1-350x525.jpg)
![2階は4メートルの吹き抜け。4階に上る階段は、建設現場で使われる仮設階段を使用。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_003-1-350x490.jpg)
![立派な鹿の角をオブジェに。角とブランケット、木目の温もりを楽しむコーナーが新しく生まれた。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_004-1-350x525.jpg)
コンクリートに木の温かさをプラス
家族の成長とともに、住まい方は少しづつ変化する。
「コンクリート打ち放しの空間に、木の温かさが欲しくなったことと、娘が成長して生活時間帯が変わったので、2階を改装しました。ふたりで寝ていた3階のベッドを娘に明け渡し、2階にもうひとつベッドを作って、今は私がそこに寝ています」
ベッドを囲むように新しく木の壁を作った。材料はフローリング材。
「現場で使った材料が気に入ったので、それで壁を作りました。DIYが絶望的に下手なので、大工さんに作ってもらいました(笑)」
![1階に植えたノウゼンカズラが2階のテラスに緑の木陰を作っている。キャビネットは無印良品のもの。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_005-1-700x467.jpg)
![開放感たっぷりのバスルームと洗面所。今は植物に覆われているけれど、バスルームの先はプールだったのだそうだ。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_006-1-350x525.jpg)
![お嬢さんが使っている机。「机の向こうに寝ている私の顔が見えるのが安心するようです」](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_007-1-350x525.jpg)
![カウチソファをベッドとして使用。ベッドカバーにしているのはペンデルトンのブランケット。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_008-1-350x525.jpg)
![洗面台が宙に浮いている!? 白い扉の向こうが2階のトイレ。その下のグレーの扉が玄関ドア。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_009-1-350x525.jpg)
建築資材を使ったアイランドキッチン
アイランドキッチンは、リビングから階段2段分ほど下がっている。
「家の中の段差は、視線が変化するのが楽しいです。ダイニングで食事をしている人と、キッチンに立つ人が同じ目線で会話ができます。アイランドキッチンを囲んで、料理をしながらおしゃべりもできますし、トップライトのある奥のスペースでは、イスに座りながら下ごしらえをすることもできます」
キッチンが、安立さんの大事なくつろぎの空間になっているのだ。
床と天板に建築資材を使っているのもおもしろい。
「建築資材は取り換えも簡単なので、汚れを気にしなくていいところも気に入っています」
![アイランド型のキッチン。カウンターは鉄で枠を作り、天板や食洗機をはめ込んである。「冷蔵庫もこの下に収まっています」](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_010-1-700x405.jpg)
![床とキッチンの天板に使われているのはコンクリート平板。歩道などに使われている建築資材なので安くて丈夫。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_011re-1-350x525.jpg)
![出窓を食器棚に。ここからも気持ちのいい緑が見える。「アクリルで扉を作りましたが、ほとんど使っていないです(笑)」](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_012-1-350x233.jpg)
![お寺で使われていた柱を棚板に。「棚に好きな食器や調理器具を並べると、こんな色合いの統一感になるようです(笑)」](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_013-1-350x233.jpg)
![上からの光が美しいスペースに、調理道具がオブジェのように並ぶ。ここで椅子に座ってお嬢さんとおしゃべりしながら、野菜の下ごしらえなどの単調な作業も料理の楽しみにチェンジ。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_014-1-350x233.jpg)
![ガスレンジの蓋を閉めると、フラットな台になる。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_015-1-350x233.jpg)
リビングの奥には、2畳の薄畳が敷かれたスペースがある。ご主人のリクエストで急遽作った場所なのだそうだ。ご主人はここに布団を敷いて休んでいるのだそう。
地下にはガレージと、書庫とクローゼット、洗面とトイレもある。
「主人が地下と1階を中心に生活していて、娘と私は2階に多く居ます。家族が一箇所に集まるのではなく、気配を感じながら暮らしている感じも楽しいです」
竣工時には小学生だったお嬢さんも大学生に。
「ここを事務所として使っていた時期もありましたし、家はその時々で住まい方が変わります。これから先も変わっていくでしょう」
安立邸には、変化を受け止める大らかさや、器の大きさを感じた。それはきっと作った人……安立さんの包容力が映し出されているからかもしれない。
![ご主人のリクエストで急遽作ったという2畳の畳スペース。引き出しには布団が入っていて、ご主人はここに布団を敷いて寝ている。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_016-1-350x525.jpg)
![階段を上り、光が揺れる木陰の小道を行くと玄関ドアが現れる。ワクワクドキドキがあるアプローチが楽しい。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_017-1-350x525.jpg)
![トップライトから光が差し込む2階への階段。悦子さんのスニーカーがリズミカルに並ぶ。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_018-1-350x525.jpg)
![竣工は2001年。14年の間に植物が大きく育ち、建物が緑で覆われた。](https://img.100life.jp/2015/12/151228_ad_019-1-350x525.jpg)