Architecture
西海岸の暮らしをカスタマイズヴィンテージで彩られた
カリフォルニアスタイルの家
家もデザインを楽しみたい
「カリフォルニアの風土、環境、車やインテリア…。カルチャー全部が好きなんです」。と語るのは住宅施行会社ピーススタイルの代表、阿久津尚さん。奥様とふたりの娘さん、2匹の愛犬とともに暮らす自らの家も、カリフォルニアスタイルで6年前に作り上げた。
「吹き抜けがあって、大きな窓から光が入る、開放感のある家にしたいと思いました。外観は意識的に屋根を見せないキューブ状にして箱っぽく。もちろん断熱の性能を高めたりして快適にするのですが、家もデザイン性を楽しみたいと思うんです」。
大きなヤシの木が風にそよぐ。米軍基地を思わせる金網フェンスの向こうに建つ、ガルバリウム鋼板+リアルシダーウッドの家は、ここが東京郊外だということを忘れさせる。
広がりを感じる空間
玄関を入ると、いきなり開けるのはリビング、ダイニング、キッチンまでがダイレクトにつながった大空間。「家の建坪は31坪なので、決して広いわけではないんです。限られた敷地で、いかに広く見せるかを考えました」。仕切りや廊下をできるだけ排し、ダイニングに大きな吹き抜けを設置。窓の向こうには庭のグリーンや空の青が広がって、自然とつながる気分を味わえる。
「冬も日差しが充分入るので、暖かいです。全館空調システムにしていますが、ゼロエネルギーを目指してソーラーパネルを採用したので、電気代も抑えられていますね」。
自然素材にもこだわり、1階から2階のベッドルーム、寝室まで、無垢のパイン材の床に珪藻土の壁で統一。そこにアフリカンプリンス、ベンガルゴムなど、観葉植物を贅沢に配置した空間が、ナチュラルで心地よい。
ディテールにもこだわりを
「ここに立っているだけですべてが見渡せるんです」。奥様の洋子(ヒロコ)さんのお気に入りはオールステンレスの対面式キッチン。「家中の家族の気配が感じられるんです。表の通りまで見えるので、子供たちの通学や帰宅の時も、見守ることができます」。
インポートブランドのお店に勤めていたという洋子さんは、「もともとインテリアや雑貨に興味があって。特にミッドセンチュリーの家具が好きで、そこからカリフォルニアスタイルにはまっていきました」。イームズの椅子やセブンチェア、北欧のヴィンテージが味を出す空間は、雑貨やグリーンをあしらって気分に合わせてコーディネート。「キッチン棚はあえてオープンにして、ディスプレイを楽しめるようにしました」。
ヴィンテージ感の漂う玄関の床も、洋子さんの希望で白いタイルを貼った。「昔の和風トイレのような(笑)、レトロっぽさがいいなと思って」。玄関には小さな窓を取り付けて、夜、外に家の明かりがこぼれるように。「帰ってきたときに、家の灯りが点っていると、ほっとできますよね。そんな演出を狙いました」。
ドアノブやスイッチパネルなども、ヴィンテージ感のあるものを採用。遊び心のあるサインランプなど、細かいところのこだわりを大事にしたいというのは、ピーススタイルのポリシーでもある。
庭のある豊かな暮らし
「難しいことを考えずに、かっこいいことを追求したいと思うんです。ファッションや音楽のように、家や生活も楽しみたいですね」と阿久津さん。好みのテイストで統一した居心地のよいリビングには、自然と家族が集まってくるのだそう。
今の家族の楽しみは、庭でバーベキューをしたり、フェンスを閉めてドックランをつくり、愛犬を走り回らせたり…。
「夫婦で芝刈りをするなど、庭や家の手入れは大変ですが、その分楽しみは増えました。ガーデニングも知り合いからアドバイスをもらって進めていますが、いろんな植物が育っていくのはうれしいですね」。
時間とともに色調が変化し、深みを出していくシダーウッドの家は、これからも味わいを増していく。