Architecture
職住一体の建築家の自邸 ゆるやかに居場所をつなげ、
仕事と生活の場をひとつに
![職住一体の建築家の自邸 仕事と生活の場を分けず、 ゆるやかに居場所をつなげる 職住一体の建築家の自邸 仕事と生活の場を分けず、 ゆるやかに居場所をつなげる](https://img.100life.jp/2021/02/03134809/210208oda-1080x480.jpg)
様々な役目を持つ開口枠で空間を分ける
建築家の小田内晃彦さんの職住一体の自邸は、働く場所と生活する場所を分けず、家族で共有するスタイルだ。食卓で平日はクライアントとの打ち合わせをし、書棚には建築関係の書籍と共に奏人(かなと)くんの絵本も並ぶ。
「家の一部に小さなオフィススペースを作るのではなく、すべての場所がオフィスであり、同時にすべてのスペースが家族が暮らす家になるよう考えました。平日の日中、妻と子どもが外出している間、使っていない部屋があるのはもったいないですから(笑)」
4つの木製の開口枠が、それぞれのシーンをゆるやかに分ける役割を担っている。
「開口枠で空間を分けることで、家族がそれぞれ好きな場所で過ごしていてもお互いの気配が感じられます。この付かず離れずの距離感が、私たち家族にとって心地良く過ごせる絶妙なさじ加減のようです」
![向かって左の開口枠の奥が書棚スペース。右手のテラスに出られる開口枠は、イスに座ればデスクになり、座ればベンチになる。](https://img.100life.jp/2021/02/03134459/210208oda-001-1024x683.jpg)
![開口枠には奥行きがあり、デスクやカウンターとして両側から使える。カーテンを閉めれば独立した空間になる。](https://img.100life.jp/2021/02/03134506/210208oda-002-1024x683.jpg)
![休日は早咲さんと奏人くんが書棚スペースで過ごすことも。](https://img.100life.jp/2021/02/03134510/210208oda-003-1024x683.jpg)
![ワークスペースからテラスの緑を眺められる。「自然光で色を確認したい時は、テラス近くの開口枠でサンプルをチェックします」](https://img.100life.jp/2021/02/03134514/210208oda-004-1024x683.jpg)
![高い吹き抜けの解放感が気持ちいい。](https://img.100life.jp/2021/02/03134518/210208oda-005-683x1024.jpg)
![インテリアはスモーキーなトーン。ダイニングテーブルとチェアは『HAY』、ペンダントライトは『NYTA』。](https://img.100life.jp/2021/02/03134522/210208oda-006-683x1024.jpg)
建築の一部が家具にもなる
4つの開口枠は空間を分けるだけでなく、時にデスク、時にベンチ、そしてカウンターテーブル、収納庫、子どもの遊び場と、臨機応変に用途を変える。開口枠内に設置したカーテンや引き戸を間仕切りとして使えば、プライベートを独立させることも可能だ。
また、1階の4つの空間は床材が違う。ダイニングはモルタル、ソファのある部屋はフローリング、キッチンがリノリウム、テラスにはウッドデッキ。どんなことをして過ごすスペースなのか、床材が雄弁に語ってくれる。
![ダイニングテーブルのある部屋と、手前のソファコーナーを分ける大きな開口枠。左手前の開口枠の向こうがキッチン。](https://img.100life.jp/2021/02/03134526/210208oda-007-1024x683.jpg)
![木枠は収納扉も兼ねている。フックが収納扉の把手だ。引き戸の扉もここに収納されている。](https://img.100life.jp/2021/02/03134530/210208oda-008-1024x683.jpg)
![ソファスペースの床はフローリングに。](https://img.100life.jp/2021/02/03135210/210208oda-009-2-1024x683.jpg)
![キッチンの右奥にはパントリーを備える。](https://img.100life.jp/2021/02/03134540/210208oda-010-1024x683.jpg)
![プライベートで使うキッチンはあえて奥まった場所に配置。](https://img.100life.jp/2021/02/03134545/210208oda-011-683x1024.jpg)
![玄関横の扉を開けると、シューズクローゼットを備えた土間スペースになっている。奥の扉が書棚スペースにつながっていて、グルリと回遊できる。](https://img.100life.jp/2021/02/03134549/210208oda-012-683x1024.jpg)
大きく回遊できる家
2階は主寝室や2つの子ども部屋、洗面所とバスルームなどで構成されている。ダイニング側とキッチン側にある2つの階段を使い、大きく回遊できる。
1階は4つの開口枠が様々な役目を果たしているのと同様、2階は回遊経路が場所によって役割が変化するのがおもしろい。洗面台が廊下になり、子ども部屋ではデスクとなるのだ。
![部屋の隅の異次元ポケットに吸い込まれていくようなダイニングにある階段は、白と木材を切り替えたデザイン。](https://img.100life.jp/2021/02/03134555/210208oda-013-683x1024.jpg)
![キッチン側にも階段があり、グルリと回遊できるしかけ。](https://img.100life.jp/2021/02/03135427/210208oda-014-2-683x1024.jpg)
![洗面ボウルは『Cielo』、『ZUCCHETTI』の水栓。引き出しはドライヤーを簡単にしまえるコンセント付きの収納になっている。](https://img.100life.jp/2021/02/03134604/210208oda-015-683x1024.jpg)
![洗面の脇にも階段が! この廊下の先は……、下の写真の子ども部屋に通じている。](https://img.100life.jp/2021/02/03134609/210208oda-016-683x1024.jpg)
![洗面台から伸びた廊下から階段を降りて子ども部屋へ。](https://img.100life.jp/2021/02/03134613/210208oda-017-683x1024.jpg)
![廊下の続きは、子ども部屋でデスクとして使える高さになる。](https://img.100life.jp/2021/02/03134617/210208oda-018-683x1024.jpg)
収納スペースはたっぷりと
「住宅を設計する際、事前にお施主様の持ち物を細かくヒアリングし、収納するものと場所を整理します。自邸もどこに何を収納するのかをあらかじめ決めて設計しました」
たとえば、ダイニングとキッチンの間の収納扉は、下15cmほど開けて、ルンバが自動で帰ってこれる基地に。仕事で使う建材のサンプルは、自然光が入る場所の近くで収納。ドライヤーを入れる引き出しにはコンセントを設置し、簡単に出し入れできるようにしている。
三角屋根の家の形が好き、という奥様のリクエストで、4つの家型が重なるように寄り添う外観になっている。室内は三角屋根を生かした三角天井。
“家”を感じるファサードと室内で、帰ってくるのが楽しみな小田内家の“我が家”になっている。
![三角の天井の家型フォルム。ドールハウスにいる気分になる寝室。](https://img.100life.jp/2021/02/03134621/210208oda-019-1024x683.jpg)
![天窓のある部屋は将来子ども部屋にする予定。](https://img.100life.jp/2021/02/03134625/210208oda-020-683x1024.jpg)
![寝室の右手前に大型のウォークインクローゼット。](https://img.100life.jp/2021/02/03134629/210208oda-021-683x1024.jpg)
![お籠り感を満喫できる場所も家のあちこちに。奏人くんが本を読んでいるのは、中二階の収納庫。](https://img.100life.jp/2021/02/03134633/210208oda-022-1024x683.jpg)
![寝室のハシゴがかかったロフトスペースを覗くと、かわいい小部屋が!](https://img.100life.jp/2021/02/03134637/210208oda-023-1024x683.jpg)
![テラスはエキスパンドメタルで囲っている。エキスパンドメタルは2重にすることでモアレが起き、通風を確保しながらゆるやかに外からの視線を遮る。](https://img.100life.jp/2021/02/03134642/210208oda-024-1024x683.jpg)
![4つの家型のボリュームをズラしながら配置した愛らしい外観。左側はエキスパンドメタルで囲ったテラス。真ん中の2つはガリバリウム鋼板、向かって右は杉板張り。玄関は、大きな引き戸で閉じることができる。](https://img.100life.jp/2021/02/03134646/210208oda-025-683x1024.jpg)
小田内邸
設計 小田内晃彦建築設計事務所
所在地 千葉県鎌ケ谷市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 138㎡