Hobby
これからの変化が楽しみな家素材感にこだわった
心休まる住まい
「この家の竣工は3年前ですが、それまでの4年もの間、僕たちの希望に辛抱強くおつきあいいただきました。土地を探すところから始まって、設計図がほとんどできたところで敷地を買い増しすることになり、図面が白紙になることもありました。長く時間がかかったので、岩切さんが手がけた他の物件のオープンハウスには何度も足を運ぶ機会ができて、より具体的なコミュニケーションをとることができました。苦労をおかけしましたが、結果的に満足できる家ができたと思います。住むほどに愛着の沸く、オリジナリティの高い設計をしていただきました」
産婦人科医の潤さんは、現在隣の敷地に自身の病院を建てている最中でもある。
「家でくつろいでいるかのように過ごすことのできる病院を、岩切さんが在籍していた『NATURE DECOR』という設計事務所にお願いして作っていただいています。実は兄が小児科医で、既に岩切さんに頼んだ病院が完成しています。親子で来院しても楽しめるような、かなり素敵な病院を作ることができたと思います」
「『TRUCK』は大好きな店です。特にこのソファを気に入っていて、このソファのイメージを柱にして家の設計を考えていきました」
リビングの床はウィスキー工場で使われていた廃材を使用している。
「節がところどころにあります。その部分をカットして使わない選択肢もありましたが、そのまま使ってもらいました。以前は足の裏にトゲが刺さることもあったのですが、今はそんなこともなくなって、いい風合いになってきました」
壁にも古材を使っている。
「木をたくさん使って安らげる空間を作りたかったのですが、使いすぎると甘くなるので、古材で甘さを抑えました。月日が経つうちに、もっと古材が家に馴染んでくると思うんです。それも楽しみのひとつです」
取材に伺った11月下旬には、ストーブに薪がくべられていた。
「家を建てたら暖炉はぜひ作りたいと思っていました。使わなくなるよという声も聞きましたが、うちでは大活躍しています。暖房設備が、2階のこのストーブと、地熱を使ったサーマスラブを1階で使っているだけということもあるかもしれません。『PECAN』のストーブは手入れが簡単だったことと、この辺りは意外に薪が手に入りやすかったことも大きいですね。軽トラックの荷台一杯分の薪が約6000円で買えます。ストーブを使って料理をすると子どもたちも喜びますし、とても重宝しています」
男の夢がギュッと詰まったガレージと書斎
潤さんの大学生の頃からの趣味というオートバイとクルマは、ガラス越しに書斎からも眺められるようになっている。乗り物が趣味の男なら、誰もが夢見る空間だ。
書斎の棚には、ライカやハッセル、ニコン、オリンパス……アンティークのカメラがズラリ。
「フイルムカメラを見るとついつい手が出てしまって……。子どもを撮ったりもしますが、撮ることよりも、ついつい集めてしまうんです(笑)」
暖かさを感じさせる木とスチールの組み合わせ
西迫邸から感じられる暖かさは、長く人との生活に寄り添ってきた、木とスチールという素材が多く使われているからだろう。
「吹き抜けに面したスチール枠の窓やドアなど、ソファやイス以外の家具は、ほとんど製作してもらったものです」
産婦人科医という職業柄、旅行などで長期間家を空けることができないという西迫さん。
「ゆっくりくつろげる、そして趣味にも没頭できる家を作りたいと思いました。キャンプにもなかなか行けないので、ストーブでアウトドア気分を味わいながら料理をしています。あとはテラスでバーベキューをしたり……。楽しめて、くつろげて、そしてゆっくり古材の変化を楽しめる、いい空間を作ることができて満足しています」
設計 岩切剣一郎(カリフォルニア工務店)
所在地 神奈川県相模原市
構造 木造
規模 地上2階
延床面積 104.22m2