Design
Formex 2013秋冬 -2- 北欧のライフスタイル見本市レポート
広がりのあるノーディックテキスタイル
「フォーメックス」で最も出展が多いのがテキスタイルのプロダクト。スウェーデンからはアルメダールスやクリッパンなど、創業から100年以上の伝統のブランドが出展。メイド・イン・スカンジナビアも健在だが、今回、特に目立っていたのが、チュニジア、インド、東南アジアなどでの生産やコラボレーション。北欧のデザイナーがインドやアフリカの伝統的な技術を理解し取り入れた共同生産は、コストダウンにも繋がっている。コットン、リネン、ウールと、テイストも北欧らしいもの、ヨーロピアンなものから、エスニック系まで、エクレクティックな時代を反映した広がりを感じるラインナップだった。
almedahls アルメダールス
スウェーデンを代表するテキスタイルメーカー
1846年にハンス・H・ウェスラウによってヨーテボリ郊外エルグリーテに設立したリネンの工場アルメダールス。社名は創設者の娘、アルマに由来されていると言われている。クラッシックなテーブルクロスやタオルを手がけてきた、伝統と実績のあるメーカー。このところは有名デザイナーとのコラボレーションやテキスタイル以外にも、北欧らしいモチーフが施された生活雑貨などを展開している。今回の展示でも、リネンやコットンのティータオルやテーブルクロス、エコバックなどの他、カラフルなカッティング・ボードやトレイなどが並んだ。
klippan クリッパン
伝統的なウール繊維メーカーのニューライン
スウェーデンの南にあるクリッパンは、古くは16世紀、紙すき風車があった街。1879年にウール繊維工場を現在のクリッパン・シレファブリックのオーナー一族が買い取り、いまも4代目、5代目が引き継ぐ、歴史ある老舗メーカーだ。1990年代に入り、ホームテキスタイルを中心としたビジネス展開がスタートし、生産をラトビアに移しているが、自然素材を使った上質のテキスタイルを提供している。近年は「ミナ・ペルホネン」の皆川明やリサ・ラーソンといった人気デザイナーとのコラボレーションも話題となっている。
OYOY オーワイ・オーワイ
デンマーク生まれの洗練されたプロダクト
今年スタートしたデンマークのインテリアデザイン会社OYOY。実はこの社名、1929年からデンマークからの航空機に使われている記号で、デンマークの会社ということをさりげなくアピールしている。新しいコレクションのデザインは、北欧のプリント・デザインで実績のあるクリスチーナ・ダムを招いてコラボレーションしている。スカンジナビアらしい鮮やかな色使い、品質や機能性に日本のデザインのシンプルさからも影響を受けている。
mini Empire ミニ・エンパイア
イラストレーターのきめ細やかなドローイング
絵を描くのが小さな頃から好きで、ものづくりが徹底しているスウェーデン人アーティスト、ジェニー・フォン・デェルンが2010年にはじめた「ミニ・エンパイア」。フクロウ、ゾウ、チョウチョ、クジャクなどの動物と深い森がとにかく細かく、繊細にハンドドローされている。いわゆる子供らしい“可愛さ”というよりは、どんな年齢の人も受け入れられる心暖まるモチーフ。
HAPPY sthlm ハッピー・スリム
小規模で品質重視のクラフト・ブランド
ストックホルムのガムラ・スタンに2012年夏、ショップをオープンしたブランド「ハッピー・スリム」。ハンドクラフトにこだわりを持つ、セラミック・デザイナー、ジュエリー・デザイナー、テキスタイル・デザイナーの3人が集まり、伝統とイノベーションをミックスしたブランド。テキスタイルはカユサ・アロンソンがデザインを手がけ、北欧らしい色合いやモチーフが選らばれている。
RioRio リオリオ
若手デザイナー・デュオによるブランケット
今回のフォーメックスでヤング・デザイナーのコーナーに初めて出展した「リオリオ」。美大を卒業したばかりのマリアとソフィアが2人で立ち上げたブランドだ。幾何学的なパターンを連ねたベビー・ブランケット「Banjara」はパキスタン、タジキスタン、インドのノマド民族などのパターンを自分たちで解釈し、スカンジナビアらしい色合いで作り上げたもの。可愛いものになりがちなベビープロダクトだが、このブランケットはマルチにも利用できる。テキスタイル以外の文具などジオメトリックなスタイルでセンスがよく、彼女たちのこれから活動に注目したい。
Rym リム
スウェーデン・デザインとチュニジア・クラフトの融合
「ハウス・オブ・リム」はスウェーデン・デザイナー、アナとエリザベスがチュニジア出身のトゥンシとゼードと共にスタートしたブランド。古くからチュニジアに伝わるテキスタイルのハンドクラフトの伝統を取り入れたテキスタイルのブランケットやクッションの他、セラミックや木製ボールなどのキッチンアイテムも展開している。遠く離れた2つの国のコラボレーション、実は共通の色のセンスを発見するところもある。
afroart アフロアート
ハンドメイド!フェアトレード!
ストックホルムに1967年に誕生した「アフロアート」。世界の途上国のクラフトを応援する目的でアフリカからスタート。南アフリカではスウェーデンからのアーティストも参加し、ロルケス・ドリフト・アートスクールという工芸を奨励する学校が設立された。以来、活動の場所がラテンアメリカや東南アジアにも広がり、コラボレーションが広がっている。現在、オーナーは6名。全員が女性でスウェーデン芸術大学のクラスメートだったメンバーで世界中を飛び回り、現地のクリエーターと共にプロダクトを開発している。ストックホルムとヨーテボリにショップがあり、オンラインでも購入が可能となった。
Chhatwal & Jonsson チャットワル&ヨンソン
インドの織物とプリントに北欧の色使い
パーフェクトではなくてユニークというのがストックホルムのテキスタイルブランド、「チャットワル&ヨンソン」のスピリット。インドでハンドメイド生産されたコットンやリネンはスカンジナビアの色合いやデザインが伝統的なパターンに加わり、ヨーロピアンな雰囲気のインテリアにもマッチする上品な仕上がりになっている。
OTTAIPNU オッタイピイヌ
日本が誇る今治のタオル
今治産のタオルはヨーロッパでも着々と知名度を高めている。「オッタイピイヌ」は2005年にテキスタイル・デザイナー、鈴木マサルと今治の吉井タオルが提携してスタートしたコレクション。バスタオル「LinenLinen」はその独特な肌触りに共感するバイヤーが多かった。バスマット「chikurin」や「ishikoro」は日本らしいモチーフが目立っていた。これから北欧、ヨーロッパでの注目度の高まりそうなブランドだ。