Renovation
戦時中の木造家屋をリノベする曽祖父から家を受け継ぎ
味わいを生かして再生
縁側と土間のある家
1941年築。曽祖父が戦時中に建てた家を、曾孫の松本遼太さんが再生させた。遼太さんにとっても、思い出がたくさん残っている家だ。
「古い家の再生を数多く手がけている建築家の宮田一彦さんにリノベーションをお願いすることにしました。残した柱の仕上げの方法や、壁や床の色、壁材にした大谷石など、細かいところまで僕と趣味が合ったので、設計はトントン拍子に進みました」
あまりに好みが近すぎて、松本さんが買った古いフランスの掛時計を、実は宮田さんも狙っていた、という偶然もあったそうだ。
「建具や縁側など、古い家ならではの味が残っているものは、なるべく残すようにしました。廊下だったところを土間にしたくらいで、実は間取りもほとんど変えていません」
家族が長い時間を過ごすダイニング
ダイニングキッチンがある場所は、約20年前に増築した空間。壁に大谷石を、天井にはラワン合板を張った。
「実はリビングより、ここにいる時間のほうが長いんです。娘の波南もここで遊んで、妻と長い時間を過ごしています。ここでPCを開いたり書きものもするので、デスクライトもつけました。ヴィンテージのGRASです」
ダイニングテーブルの上のペンダントライトは、ハワードミラー社の、ヴィンテージのジョージ・ネルソンのバブルランプ(アップル)。
キッチンのボーダータイルの色味が古い日本家屋の空間によく映える。
老舗旅館のような佇まいの2階寝室
あえてそのまま残したという、昔風の急な階段を昇り、2階へ。年期の入った建具や、梁や野地板の風情が素晴らしい。老舗の旅館を訪ねたような、落ち着きを感じさせる。
「天井高を生かして、ロフトを作りたいと思っています。子どもが成長したら独立した部屋が必要になるかなと想像しているのですが、取り急ぎ、娘のために手作りで小さな家をDIYしています。キャスターをつけて、リビングの中で自由に動かせるようにします。梅雨になる前に早く仕上げないと!」
曽祖父から数えて5代目に当たる子どもたちが、美しく再生を果たした家で、すくすくと成長している。