Renovation
人生を変えた古民家再生新旧が調和する開放的な空間
住まいの一室を保育室に
ヴィンテージ家具を引き立たせる古民家の趣き
鎌倉の静かな谷戸に建つ、築58年の古民家をリノベーション。
「まさか鎌倉に家を買うことになるとは考えていませんでした。ふらっと鎌倉を訪れた時にこの家を見つけ、直感で“いい家だな、気がいいな”と感じて購入を即決しました」
この家に住むことで、おふたりのライフスタイルや、人生観も大きく変わったのだそう。
豊かな自然に囲まれて生活することで、季節の移ろいを五感で感じることができる。日本の古い建築や街並み、ヴィンテージ家具の虜になり、東京のインターナショナルプリスクールで保育士をしていた奥様はこの住まいに小さな保育所を作った。
「おばあちゃんになったら自宅に保育園を作りたいとぼんやりと考えていましたが、こんなに早く実現するとは思いませんでした」
10年ほど空き家だった家はかなり荒れていたが、鎌倉の古民家再生を何軒も手がけてきた建築家の宮田一彦さんにリノベーションを依頼。
「実はこの家を買うまでヴィンテージ家具にはさほど興味がありませんでした。ところが宮田さんに出会ってから大いに影響され、今ではすっかりその魅力に取り憑かれてしまいました(笑)。古い日本家屋との相性が抜群に良いんです。そして家作りや家具選びを通して、古い日本家屋が持つポテンシャルに気付きました。」
できる限り広い空間を確保
リノベーションは、壁、床、天井をすべて剥がし、外壁や屋根も改修。
「構造上必要な壁や柱は残しながら、出来る限り空間を広々と使えるようにしました」
仕上げは白壁・ラワン・和紙・杉板・モルタルなど、昔から日本の暮らしの中にあった素材をアレンジ。古民家ならではの趣のある梁や天井と、白い壁のコントラストが美しい。
「家具はほぼ1950〜1960年代のフランス、デンマークのもの。この家とだいたい同い年です。ほかにもアフリカのスツールや小物、イランやモロッコのラグもありますが、不思議と全て馴染むところが、日本家屋の包容力だと思います。照明がとても多い家ですが、組み合わせによって様々に変化する表情を楽しむことができます。」
保育室を自宅にオープン
日当たりがよく暖かな一室は、奥様が運営する保育室に。玄関を別に作り、子どもが使う水道やトイレも設置した。
去年の夏にここに引っ越してきて、11月にプレオープン。4月から本格的にスタートさせた。
広く、奥に長い庭で子どもたちが走り回る。砂場を作り、お絵かきなどを楽しむアトリエ小屋もDIY。
「子どもたちには毎日元気よくどろんこになって遊んで欲しいと思っています。鎌倉ならではの豊かな自然に満ちた庭は、虫を見つけ、探検して、飽きることなく遊べます」
「鎌倉は都心に近い割に豊かな森と海に囲まれ、歴史ある神社仏閣が多く、とても恵まれた環境です。またこだわりを持って住んでいらっしゃる方が多くて、面白い。場所柄、家を手放す時も価格は落ちないだろうと考えて購入しましたが、ここなら一生住みたいと感じています」